尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は16日、初の国会での施政方針演説で「私たちには、与野党が激しく競争しつつも国民生活の前では超党的協力を通じて危機を克服してきた誇らしい歴史がある」として「協治」を強調した。北朝鮮については「呼応するなら、新型コロナウイルスワクチンを含む医薬品、医療器具、保健人材などの必要な支援を惜しまない」と人道支援の意思を示した。
尹大統領はこの日の国会での施政方針演説で、国内外の金融市場の不安▽インフレ▽北朝鮮のミサイル発射などを危機としてあげ、「私たちが直面している危機と挑戦の重さは、陣営や党派を超えた超党派的協力をいつにも増して強く求めている。法律案、予算案だけでなく、国政の主要事案について、議会指導者や議員のみなさんと緊密に議論する」と述べた。
尹大統領は「いま大韓民国には、各自の指向する政治的価値は異なるものの、共同の危機を克服するために喜んで手を結んだチャーチルとアトリーのようなパートナーシップが、いつにも増して必要だ」とし、第2次大戦当時の英国の例にも言及した。
尹大統領は、コロナで被害を受けた自営業者や零細事業者に対する損失補償金などが含まれる59兆4000億ウォン(約5兆9800億円)規模の補正予算案の早急な処理も要請した。大統領は「補正予算案は小商工人に対する損失補償と庶民生活の安定のための重要な事業を含んでいる」とし「国民生活の安定がいつにも増して早急に求められているということを考慮し、補正予算が早いうちに確定できるよう、国会の協力を切に要請する」と述べた。
尹大統領は「補正予算案だけでなくその他の国政懸案についても、尊敬する議員のみなさんが深い関心を持って助けてくださるようお願いする」とし、ハン・ドクス首相候補の承認も求めた。
尹大統領は4200字あまりの演説で「議会主義」を4回、超党派的協力を3回使用した。10日の就任演説で協治や統合に言及しなかったのとは異なる姿勢を示した。
コロナが拡散している北朝鮮については、コロナワクチンの援助などの人道支援を行うとの考えを示した。尹大統領は「私たちは、コロナウイルスの脅威にさらされる北朝鮮住民に必要な支援を惜しんではならない」とし「人道支援については南北関係の政治、軍事的考慮なしにいつでも扉を開いておくとの考えを何度も明らかにしてきた」と述べた。
尹大統領は年金、労働、教育を3大改革課題としてあげた。大統領は「年金、労働、教育の改革は、いま推進しなければ私たちの社会の持続可能性が脅かされることになる。これ以上先送りすることはできない」と述べた。ただし、「グローバルスタンダードに合致する改革」に言及した労働分野以外は、具体的な方向性は明らかにしなかった。
尹大統領は21日にソウルで行われる韓米首脳会談で、中国牽制の性格を帯びるインド太平洋経済枠組み(IPEF)を通じたグローバルサプライチェーンについての協力強化策を議論するとし「様々な経済安保に関する事案が(議題に)含まれるだろう」と述べた。