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イスラエルとの関係考慮か…プーチン大統領「ヒトラーはユダヤ人の血統」発言謝罪

登録:2022-05-07 10:27 修正:2022-05-07 12:53
6日、イスラエル首相室「謝罪を受け入れ」 
孤立したロシア、両国関係を考慮したもよう 
アゾフスタリからの民間人避難も論議
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領(左)とイスラエルのナフタリ・ベネット首相(右)/AFP・聯合ニュース

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が「ヒトラーはユダヤ人の血統」という自国外相の発言について謝罪したと、イスラエル首相室が明らかにした。

 5日(現地時間)のUPI通信などの報道によると、プーチン大統領は同日、イスラエルのナフタリ・ベネット首相との電話で、ウクライナのマリウポリのアゾフスタリ製鉄所に残っている民間人の人道的救助案などについて話し合った。この電話でプーチン大統領は、最近物議を醸したロシアのセルゲイ・ラブロフ外相の発言について謝罪したと、イスラエル首相室が明らかにした。イスラエル首相室は「ベネット首相はプーチン大統領の謝罪を受け入れ、ユダヤ人に対する態度とホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)についての記憶を明確にしたことに感謝の意を表した」と明らかにした。

 ただし、ロシア側が明らかにした両首脳間の通話には、プーチン大統領が謝罪したという内容はなく、両首脳がウクライナ問題について話し合ったとだけ発表されている。ロシア政府は5日、クレムリン(ロシア大統領宮)のホームページを通じて「プーチン大統領とベネット首相は友好的なロシア・イスラエル関係をさらに発展させ、両国の指導者間の有益な接触を維持することに相互の関心を表明した。両首脳はウクライナの状況について詳細な意見交換を行った」と言及した。

 先日、ロシアのラブロフ外相はイタリアの放送に出演し、「(ウクライナの)ゼレンスキー大統領はユダヤ人であるのに、ウクライナの脱ナチス化は侵略の大儀名分になり得るのか」という質問を受け、「ヒトラーもユダヤ人の血統」だとし「ゼレンスキー大統領がユダヤ人であることは意味がない」と答えた。この発言に対し、イスラエルは強く反発した。これに対してイスラエルのベネット首相は「そのような嘘は、ユダヤ人に対して犯された歴史上最も恐ろしい犯罪の責任をユダヤ人に転嫁するもの」だとし「政治的目的のためにホロコーストを持ち出すな」と警告した。

 外国メディアは、プーチン大統領の今回の謝罪が出た背景として、戦争で世界的孤立に陥ったロシアがイスラエルとの関係を手放さないためのものと解釈している。ロシアとイスラエルは、シリアに対する軍事的利益のために微妙な関係を結んでいるが、イスラエルはロシアと進んで協力しようとする数少ない西側諸国の一つだと、英紙「ガーディアン」は指摘した。

 一方、今回の通話で、ベネット首相はプーチン大統領に、マリウポリのアゾフスタリ製鉄所から軍を撤退させる様々な策を検討するよう要請したとイスラエル首相室は伝えた。ウクライナがロシア軍の侵略に対抗する最後の砦であるこの製鉄所では現在、民間人数百人が残酷な状況に耐えているという。ロシア軍はここで3日間の休戦を発表したが、ウクライナの指揮官は依然として激しい戦闘が繰り広げられていると述べている。

 ロシア政府は「両国首脳は国連代表団と国際赤十字委員会などと協力し、アゾフスタリ製鉄所から民間人を撤収させるなど、人道問題に格別に気を使う」と、クレムリンのホームページを通じて伝えた。

 現在、同地では国連と国際赤十字委員会(ICRC)の協力が活発に行われている。6日(現地時間)のAFP通信の報道によると、国連の新しい輸送隊が、包囲されたアゾフスタリ製鉄所から市民をさらに救出する予定だ。国連のマーティン・グリフィス人道問題担当事務次官は5日、ポーランドのワルシャワで開かれた会議で「輸送隊は明日朝までにアゾフスタリに到着し、生き地獄に残されている市民を迎えられることを希望する」と述べた。国際赤十字委員会はAFP通信に「安全な通過作戦が進められている」とし、国連と協力中だと述べた。

キム・ミヒャン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1041855.html韓国語原文入力:2022-05-06 17:39
訳C.M

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