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コロナ重症後遺症「頭脳20年老化、IQマイナス10」に匹敵

登録:2022-05-05 03:02 修正:2022-05-05 08:18
韓国でも「認知力低下」訴え相次ぐ 
3日、英国研究陣の研究でも確認 
「統計的に有意ではないが、方向性は正しいだろう」
電子顕微鏡で見た新型コロナウイルス=出典:NIAID//ハンギョレ新聞社

 新型コロナウイルスに2回感染したKさん(35)は先日、電話していた時に言おうとしていたことが思い出せず、しばらくのあいだ考え込んでしまった。感染以前にはなかった現象だ。単語が思い出せない。文章を書く時も同じだ。感染前には書くことに自信があったが、最近は文章を構成することも難しい。人の顔を忘れることも増えた。

 Kさんはデルタ株が流行していた昨年12月末にコロナに感染し、重い肺炎の症状で苦しみ、2週間入院した。3月にはオミクロン株にも感染した。Kさんはコロナ感染後、明らかに認知能力に変化があったと感じる。

 Kさんは4日の本紙のインタビューで「つい今しがたあったことなのに、よく思い出せないという現象がひどい」、「会社での業務はよく記憶しておくことが大切で、記憶力だけは良かった。今は文章を書く時に文脈もよく把握できない」と話した。

 Kさんに見られる認知能力の低下とコロナには因果関係があるということが、研究で立証された。英国のインペリアルカレッジとケンブリッジ大学の研究陣は3日(現地時間)、医学ジャーナル「eClinicalMedicine」に掲載した論文で、コロナ入院患者の認知能力の損傷は20年ほどの老化の進行に相応し、いわば50歳の人の認知能力が70歳の人のそれになるものだと発表した。また、頭脳の処理速度IQは、感染前に比べほぼ10低下すると付け加えた。研究対象は、2020年3月10日から7月31日までの間にケンブリッジのアデンブルック病院に入院した46人のコロナ感染者。平均年齢は51歳で、うち16人はコロナ治療当時、人工呼吸器を使うほど重症だった。

 研究陣は彼らに対して、陽性判定から6カ月後に推論、問題解決能力などを追跡調査した。対象者は、研究対象以外の6万6000人あまりの対照群の同じくらいの年齢、教育水準の人と比較された。その結果、重症患者は対照群に比べ、感染後の言語分析推論などでは共通して単語を覚えることが難しく、問題を解決する速度も遅かった。研究陣は、研究対象者の脳の前頭葉におけるブドウ糖の消費量が減少したことを確認したが、これは上の結果と一致する。

 研究陣は、コロナの後遺症による認知障害は他の神経障害などが原因で発生する認知症とは異なることをつかんだ。研究陣は、一部の患者は感染から10カ月たっても認知力の改善が非常に遅いことを確認した。続いて研究陣は、この事例について「統計的に有意ではないものの、方向性は正しいだろう」とし「患者の一部は認知力が完全には回復しない可能性が高い」と付け加えた。

 研究陣は認知力の減退について、ウイルス感染も直接の原因になりうるが、より大きな原因は、脳に対する酸素または血液の供給の不足▽血液の凝固による大小の血管の詰まり▽微小出血などである可能性が高いと見ている。また、新たに身体の炎症反応や免疫システムによる損傷などが影響を及ぼした可能性も高まっていると述べている。

パク・チュニョン、チャン・ヒョヌン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/1041583.html韓国語原文入力:2022-05-04 16:10
訳D.K

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