韓国政府は6日、尹錫悦(ユン・ソクヨル)次期大統領が進めている大統領執務室の龍山(ヨンサン)への移転のため、2022年度一般会計一般予備費の360億ウォン(約36億6千万円)の支出案を議決した。政権引き継ぎ委員会が当初提示した496億ウォン(約50憶5千万円)約より136億ウォン(約13億8千万円)少ない水準であり、安全保障関連施設の構築と韓米連合指揮所訓練終了時点などを考慮し、協議を続ける予定だ。
キム・ブギョム首相は同日、政府ソウル庁舎で開かれた臨時国務会議で、「大統領執務室の移転問題は賛否を問わず、次期政府が判断すべき事案だ。次期大統領の意志がはっきりしている以上、結局時期の問題であって、大統領執務室の移転は進めざるを得ない状況だ」とし、予備費を議決した。さらに「今引き継ぎ委が進めている大統領執務室の移転は、大統領府や国防部、合同参謀本部など安全保障の核心コントロールタワーと直接的な関連があるため、綿密に検討して進めていかなければならない」とし、「このような点を踏まえ、政府は引き継ぎ委側と意見調整と協議を通じて予備費を上程することになった。安保の空白のない順調な政府移譲に協力するための措置」だと説明した。
360億ウォンの費用の内訳を見てみると、政府は安全保障上の空白が発生しないよう、危機管理センターや警護総合状況室など、安保に欠かせない施設を優先的に構築するのに116億ウォン(約11億8千万円)を割り当てた。国防部の指揮部署などは必須安全保障施設が構築された後に移転するが、引越し費用一括契約の必要性などを考慮し、国防部の移転費用118億ウォン(約12億円)を全額策定した。また、一般オフィスの工事費や電算サービスシステムの構築などに101億ウォン(10億3千万円)を割り当て、新大統領官邸として使用するソウル漢南洞(ハンナムドン)の陸軍参謀総長公館のリモデリング費用25億ウォン(約2億5千万円)も反映した。大統領執務室の造成と警護処の移転費用などは、今月末に予定されている韓米連合指揮所訓練の終了時点などを考慮し、追加で協議する予定だ。
今回の予備費議決で予算問題が一部解消され、執務室移転の動きも軌道に乗る見通しだ。チャン・ジェウォン次期大統領秘書室長は、ソウル鍾路区通義洞(チョンノグ・トンウィドン)の引き継ぎ委事務室前で、記者団に対し「予備費が出れば、(執務室の移転作業を)すぐに始める」とし、「(大統領府との)協力が非常にうまくいっている」と述べた。引き継ぎ委は来月10日の就任に合わせて新しい執務室の使用を望んだが、物理的には難しい状況だ。ペ・ヒョンジン次期大統領報道担当は同日のブリーフィングで、「就任後も所要時間があり、来月10日にぴったり合わせて執務室の移転は不可能であり、時間がかかると予想される」と述べた。