文在寅(ムン・ジェイン)大統領は28日、尹錫悦(ユン・ソクヨル)次期大統領との晩餐会合で、尹氏の公約である大統領執務室の移転問題に協力するという意向を表明したと、尹氏側が明らかにした。大統領選投票日から19日たって会談した文大統領と尹氏は、小商工人や自営業者の支援のための補正予算の編成問題と、対立を引き起こしている人事権問題などについて、協議を続けることにした。
チャン・ジェウォン次期大統領秘書室長は、この日の晩餐会合後、ソウル市通義洞(トンウィドン)の大統領職引き継ぎ委員会で会見を開き、「(会合では)自然に大統領執務室の龍山(ヨンサン)移転の話が出てきた」とし、尹氏が「金泳三(キム・ヨンサム)政権の時から『大統領府の時代を終わらせ、国民と共にするような時代を開く』と言われてきたが、現実的な難しさのため、移転ができなかったではないか。今回こそ必ずやり遂げたい」と述べたという。これについて文大統領は、「執務室の移転地域についての判断は次期政権の役割だと考え、現政権は正確な移転計画にともなう予算を綿密に検討し協力する」と述べたと、チャン室長は伝えた。
チャン室長は、「執務室の移転予算を閣僚会議に上程するのかどうかについて論議したのか」という質問には、「手続き的に具体的な話はしなかった」とし、「私の感じでは、実務的に時期や移転の内容なども互いに共有し、大統領が協力するという意味だと理解した」と明らかにした。
新型コロナによる被害支援のための補正予算の編成の必要性については、文大統領と尹氏が共感したと、チャン室長は明らかにした。チャン室長は「(編成の)必要性については二人が共感し、具体的な事案は実務的に協議しようという意見を交わした」と述べた。チャン室長はまた、「文在寅大統領が『本当に息切れするほど忙しく駆けてきたが、これからは最後の任期の間に新型コロナの問題をうまく管理し、政権を委譲するのが課題だ。最善を尽くして管理し、政権の引き継ぎをする』と述べた」と伝えた。
関心を集めた李明博(イ・ミョンバク)元大統領の特別赦免問題は、この日の会合で議論されなかったと、チャン室長は明らかにした。また、これまで双方が神経戦を行っていた人事権の問題も、「イ・チョルヒ首席秘書官と実務的に協議を続けていくことにした」とチャン室長は伝えた。
文大統領と尹氏は、北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射などの最近の安全保障の状況について、意見を交わしたという。チャン室長は「文大統領と次期大統領は、国家の安全保障に関わる問題について、政権の引き継ぎの過程で漏れがないよう最善を尽くして協議して行くことにした」と説明した。
この日の会合には、ユ・ヨンミン大統領秘書室長とチャン・ジェウォン次期大統領秘書室長が同席した。歴代大統領の会合では、同席者がしばらくの間離席し、大統領と次期大統領が二人で会合する形式で進められたりしたが、今回の会合では2時間36分の間、それぞれの秘書室長が同席した状態で行われたと、チャン室長は説明した。