史上初の「新型コロナウイルス感染症の新規感染者一日60万人台、死者400人台」(17日午前0時基準)を記録する中、全国の保健医療現場で類を見ない大混乱が起きている。 収容能力を超過した病院、医院、保健所、薬局などは、人手不足や薬品不足を訴えており、利用者も混乱している。 突然の感染者急増により、一般の職場でも業務麻痺などが懸念されている。
専門家用迅速抗原検査を行う地域の病院や医院(呼吸器専門クリニック)は、患者が押し寄せ、ごった返している。17日正午、ソウル市鍾路区光化門(チョンノグ・クァンファムン)駅周辺の耳鼻咽喉科医院のスタッフは、「20分ほど待たなければならない。普段は待ち時間が40分ほどだから、今(検査を)受けた方が早い」と語った。すでに待合室には少なくない人がいたが、昼食時間を利用して迅速抗原検査を受けようとする会社員たちが次々と入ってきた。京畿道高陽市一山(コヤンシ・イルサン)に住むLさん(54)は「この近くに新型コロナ検査指定病院が3カ所しかないため、1時間待つのは基本」だとし、「病院前の廊下にまで長い列ができている。保健所の検査より時間もかかりそうだし、かえって危ないかもしれない」と話した。
解熱剤や風邪薬の需給にも問題が起きている。ソウル冠岳区(クァナクク)のある薬局は「新型コロナの症状が現れた人があまりにも多く、タイレノールは底をついた。ほかの解熱剤を推奨している」と話した。京畿道龍仁市(ヨンインシ)に住む40代のCさんは「新型コロナの陽性判定が出て、喉の痛みに効くと噂になった薬を求めて、夫が近くの薬局4カ所を回ってソウルまで行ったが、結局手に入れることができなかった」と語った。京畿道高陽市一山西区(ソグ)で薬局を経営するある薬剤師は、「新型コロナの処方に欠かせないのが消炎解熱鎮痛剤だが、卸売業者は先週初めから注文を受け付けていない。直接製薬会社に電話をかけたところ、『生産委託業者から3月末ごろに新規物量が入ってくる予定だと言われた』とのことだった」とし、「在庫がなくなれば処方箋なしで買える一般の風邪薬を勧めるしかない。患者が多すぎて息つく暇もないのに、様子を見て卸売業者や製薬会社に電話をかけ、薬がいつ入荷するのか確認しなければならない」と話した。
新規感染者が急増したことで、保健当局の管理が行き届かないケースも増えている。新規感染者のうち60歳以上は集中管理群に分類され、医療機関から1日2度電話をかけ、患者の状態をチェックすることになっているが、それがきちんと守られていない。自宅療養中の80代のLさん(慶尚南道金海市)は、「昨日は病院から電話があったが、今日の午前中にはかかってこなかった」と話した。ソウル冠岳区に住むMさん(67)は、「孫が自宅療養をしているが、熱が40度を超えたのに、薬を処方してくれた小児科と電話がつながらず、気をもんでいる」と語った。
専門病床不足で妊婦が数百キロメートル離れた病院に移動して出産することも珍しくない。今月13日、京畿道平沢(ピョンテク)のある妊婦は、首都圏と江原地域の病院約30カ所から「受け入れ不可」と言われ続けた末に、慶尚南道昌原(チャンウォン)の慶尚大学病院に搬送され、無事出産した。これに先立ち、10日にも京畿道光明市(クァンミョンシ)のある30代の妊婦が救急車で忠清南道洪城郡(ホンソングン)に、8日には京畿道広州市(クァンジュシ)の産婦がヘリで全羅北道南原市(ナムウォンシ)に移送され、出産するケースもあった。
新規感染者が爆発的に増えたことで、学校でも業務の空白が目立っている。慶尚北道亀尾(クミ)の高校教師Pさん(30)は「生徒の中にも感染者が多いが、同僚教師5~6人の感染が確認され、隔離された。彼らの授業を他の教師が受け持たなければならないが、補講が多くなると、生徒に自習をさせるしかない」と語った。感染が判明しても休めない会社員も多い。ソウル中小企業に勤めるPさん(29、女性)は「14日に陽性判定を受けて、自宅療養中だが、会社と取引先からひっきりなしに連絡が来る。チームが一番忙しい時期ではあるが、体の調子が悪いのに仕事をしなければならない状況が悲しい」とし、「声が出なくて了解を得てメッセンジャーで連絡したり、薬を飲んで寝ぼけた状態で連絡したりしているうちに、虚しくなった」と語った。会社員のKさん(48、ソウル瑞草区)は「すでに会社で感染者が多数出た状況で、私まで感染が判明すると業務が回っていかないと思い、倦怠感があるにもかかわらず、迅速抗原検査を先送りしている」とし、「在宅勤務に切り替えたが、仕事で家族に被害を与えかねないと思うと、不安だ」と話した。