昨年6月、西海(ソヘ)最北端の仁川市甕津郡(インチョンシ・オンジングン)の白ニョン島(ペンニョンド)でモーターボートを盗んで北朝鮮へ渡ろうと試みた(越北)容疑で起訴され、執行猶予付きの懲役刑を受けた40代の男性が、再び越北を試みて逮捕された。
仁川地裁刑事4単独のユン・ミオク判事は、検察が最近請求したA氏(40)の執行猶予取消を認容する決定を下したと、2日に発表した。
A氏は国家保安法上の潜入・脱出と窃盗などの疑いで拘束起訴され、昨年9月に懲役1年6カ月、執行猶予3年の判決を受けて釈放された。A氏は執行猶予の判決とともに保護観察命令を受けたが、釈放後「外出の有無を確認するために自宅に電話機を設置せよ」という保護観察官の要求に従わなかった。精神疾患の治療を受けるようにとの指示も拒否したA氏は、2週間以上抵抗した末に自宅に電話を設置したが、その後、毎日午後10時から翌日午前8時までの外出を禁止した特別順守事項に18回も違反した。また昨年11月、京畿道坡州市(パジュシ)の統一大橋を訪れて越北経路を把握し、12月には白ニョン島に渡って越北を試みたことが明らかになった。
ユン判事は「被告は保護観察を条件に執行猶予という善処を受けたにもかかわらず、順守事項に違反した」とし「違反の程度が重く、執行猶予を取り消す」と明らかにした。
A氏は昨年6月16日午後8時ごろ、白ニョン島のヨンギ浦新港に停泊していた1.33トン級のモーターボートを盗んで北朝鮮へ渡ろうとしたが、運転ができず未遂に終わった。昨年5月12日と28日にも坡州市の統一大橋の南門を通過して北朝鮮に渡ろうとし、監視兵によって阻止され未遂に終わった。
A氏は裁判で「自由主義と社会主義を同時に考えて意思疎通すれば統一の一助になると判断した」と述べ、「(今では)越北すれば国家安保の脅威となり、北朝鮮の体制宣伝に利用されるという点を十分に熟知した」と主張していた。これに対し裁判所は「精神的な問題が犯行に影響を及ぼしたものとみられる」とした上で、「犯行が予備または未遂に終わっており、荒唐無稽な考えに陥って犯行に至ったのであって、北朝鮮を称賛したり擁護して犯行を犯したとは思えない点などを酌量した」と述べていた。