元日に起きた東部戦線の越北(北朝鮮に渡ること)について、韓国当局は脱北民のA氏を越北者と推定し、関連事実を確認中だと明らかにした。
韓国国防部関係者は3日、「Aは2020年11月に江原道高城(カンウォンド・コソン)の軍事境界線を越えて韓国に渡った30代初めの人物」だとし、「Aを越北者と推定する根拠は、1日正午ごろ、江原高城一帯の民間人統制線(民統線)の監視カメラにAが映っていたため」だと説明した。越北者は今月1日午後6時40分に一般監視所(GOP)の鉄条網を越え、同日夜10時40分に軍事境界線を越えた。A氏は昨年12月29日を境に、12月30日以降は連絡が途絶えたという。
同関係者は「当局の確認過程で民統線の監視カメラ画面に映った人がAと顔や着衣が同一と言っていいほど酷似しており、肉眼で顔の識別が十分に可能だった」と説明した。軍事境界線2キロメートル下に南方限界線の鉄条網がある非武装地帯があり、軍の作戦と保安のため軍事境界線10キロメートル前後に民間人統制線が設定されている。民間人の出入りが厳しく統制された非武装地帯とは違って、民統線は監視警戒所で身元が確認されれば、民間人の出入りが可能だ。
国防部関係者は「脱北ルートと越北ルートは江原道高城地域だが、同じルートではないものと聞いている」と説明した。
同関係者は「今回の越北に北朝鮮が関連した可能性はないと聞いており、詳しいことは関連機関で確認している」と明らかにした。当局は、A氏が国内に定着した後の職業が軍事情報などに接近しにくいうえ、A氏の韓国定着過程が順調ではなく、ホームシック気味で、周りに不遇を嘆いていた点などを踏まえ、北朝鮮との関連性は低いと見ている。
国防部関係者は「Aが一部メディアの報道どおり、北朝鮮で体操選手として活動したかどうかは確認されていない」と述べた。A氏は2020年11月に脱北した際、「学校で器械体操を学んだ」と話したことがあるという。
国防部の関係者は「(越北者の)身辺安全保障に関する内容を記した対北朝鮮通知文を2日午前、午後にわたり2回送った」とし、「北朝鮮は何の反応も示していないわけではなく、『受信した』と返信した。身辺安全保障に対する返事はなく、現在待っている状態」だと述べた。