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[社説]欧州くらい豊かなのに不平等の深刻な韓国、累進課税を強化すべき

登録:2021-12-09 10:55 修正:2021-12-10 10:43
世界不平等報告書2022の表紙//ハンギョレ新聞社

 「所得水準は西欧諸国とほぼ同じだが、不平等はより深刻だ」。世界不平等研究所が7日に発行した「世界不平等報告書2022」の韓国に対する診断だ。所得水準では先進国の仲間入りは果たしたものの、分配の正義がきちんと実現されていないため、社会統合が非常に脆弱だという診断と読み取れる。

 今回の報告書は、フランスのパリ経済学校のトマ・ピケティ教授などが参加する世界不平等研究所が、2018年に続き4年ぶりにまとめたもので、発行は二度目となる。同報告書によると、今年は世界上位10%の富裕層が所得全体の52%と資産の76%を占有している。所得不平等は20世紀初めの帝国主義が頂点だった時代と同じように深刻だが、資産不平等はより深刻だ。

 韓国も例外ではない。報告書は、今年の韓国の成人人口の平均所得を購買力平価(PPP)の為替レートで3万3000ユーロ(約3843万ウォン)と評価した。英国、スペイン、イタリアと同水準だ。しかし上位10%と下位50%の格差は韓国が14倍で、フランス(7倍)、イタリアとスペイン(8倍)、英国(9倍)、ドイツ(10倍)などの西欧諸国に比べて最大で2倍も大きい。さらに、韓国の上位10%が保有する資産は下位50%の52倍であり、所得より不平等が一段とひどかった。勤労所得全体に占める女性の所得の割合は2020年が32.4%で、日本(28%)やインド(18%)よりは高いものの、西欧(38%)や東欧(41%)よりは低かった。至るところ不平等だらけだ。

 報告書が指摘するように、韓国で所得と資産の不平等が拡大したのは、高成長時代に「セーフティネットが脆弱な中で脱規制と自由化が行われた」ことと関係している。高齢化の急速な進行も、貧困と格差を広げている。所得と資産の不平等が拡大し続けるのは、政府の改善努力が悪化のスピードに追いついていないためだ。韓国の所得上位10%の取り分は、2012年は44.9%だったが、今年は46.5%と1.6ポイント上昇している。

 積極的な再分配政策もなしに不平等の拡大を放置すれば、それが深刻な社会的対立へと広がる可能性が高い。世界不平等研究所は、累進的な租税政策で税を徴収し、教育や保健などに投資することを代案として提示している。残念ながら韓国では、所得格差の解消に向けた政府の積極的な役割に賛成する割合が低下しつつある。政府の再分配政策の信頼度が低いことも一因となっている。その理由を綿密に検討し、政策の信頼度を高めるための体系的な研究が必要だ。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1022535.html韓国語原文入力:2021-12-08 18:19
訳D.K

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