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韓国政府がパクスロビドを承認し、モルヌピラビルの承認を先送りした理由とは

登録:2021-12-28 06:26 修正:2021-12-28 07:03
最初の臨床試験より20%低下した効果に承認に二の足 
 
専門家「重症患者には効果が違うかも」 
「プランB」としてモルヌピラビル承認の必要性強調
メルク社の飲む新型コロナ治療薬「モルヌピラビル」/AFP・聯合ニュース

 韓国の食品医薬品安全処が飲む新型コロナ治療薬としてファイザー社の「パクスロビド」について緊急使用を承認する一方、メルク社の「モルヌピラビル」を承認するかどうかについては、投薬効果を判断するまでもう少し時間が必要という見解を明らかにした。

 キム・ガンリプ食品医薬品安全処長は27日のブリーフィングで「検討が完了し、関連手続きと法廷委員会を通じて承認された製品(パクスロビド)について、今日承認決定をした」とし、「モルヌピラビルも緊急使用承認申請を受けて検討しているが、効果に関する資料を追加検討する必要がある」と述べた。

 食品医薬品安全処は22日、コロナ飲み薬のパクスロビドに対する疾病管理庁の緊急使用承認申請を受け、モルヌピラビルは先月17日、緊急使用承認申請を受け付けた。承認申請は、モルヌピラビルの方が1カ月ほど早かったが、最初に報告したものより投薬効果が低いことが分かり、韓国をはじめ一部の国々は緊急使用承認に二の足を踏んでいる。

キム・ガンリプ食品医薬品安全処長が今月27日午後、忠清北道清州の食品医薬品安全処のブリーフィングルームで、米ファイザー社が開発した飲む新型コロナ治療薬「パクスロビド」の緊急使用承認について説明している=清州/聯合ニュース

 メルク社は先月26日、自社のホームページに「入院と死亡など重症化を30%減少させた」とし、モルヌピラビル臨床試験の結果を公開したが、これは先に公開した結果に比べ効果が20ポイントも減少したものだった。10月1日の臨床試験の中間結果の発表では、「775人を対象に試験を行った結果、重症化リスクを50%下げる」と報告した。これにより、今年10月にモルヌピラビルの先行購入契約を締結したフランスは22日、契約を取り消した。

 一方、160万人分のモルヌピラビルを注文した日本は24日、緊急使用を承認した。英国は(先月5日)症状が現れてから5日が経っていない18歳以上の患者に投薬する条件でモルヌピラビルを承認し、米国(今月23日)も今月23日、18歳以上の患者を対象に新型コロナ治療薬として使用することを承認した。

 新型コロナ患者の重症化を予防する効果はパクスロビドの方が高いが、新型コロナの感染拡大の勢いを見極めにくい現状では、モルヌピラビルも確保しておくべきだと専門家らは指摘する。嘉泉大学吉病院のオム・ジュンシク教授(感染内科)は「実際の効果は臨床で使ってみなければ分からないが、重症患者に対してはパクスロビドよりモルヌピラビルの方が効果がある可能性もある」とし、「パクスロビドをできるだけ多く確保しなければならないが、(パクスロビドを)使用できない場合に備え、プランBとしてモルヌピラビルに対しても使用を承認する必要もある」と述べた。

 合計100万4千人分の新型コロナ飲み薬の購入契約を進めている韓国防疫当局は、これまでモルヌピラビル24万2千人分、パクスロビド36万2千人分の購入契約を締結した。

イ・ジェホ、クォン・ジダム記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/1024965.html韓国語原文入力:2021-12-27 17:52
訳H.J

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