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「新型コロナ飲み薬」韓国など10カ国契約…低所得国はまた後回しに

登録:2021-10-19 07:07 修正:2021-10-19 08:07
米FDAが承認を検討…アジア太平洋諸国、購入急ぐ 
値段約700ドル…製薬会社は知的財産権も放棄しない見込み
メルク社の経口抗ウイルス薬「モルヌピラビル」/AP・聯合ニュース

 新型コロナウイルス感染症への対応で、いわゆる「ゲームチェンジャー」として期待されている「新型コロナ飲み薬」の承認を控え、再び低所得国家が同薬の確保から疎外されるという見通しが示されている。

 米CNNは17日(現地時間)、新型コロナの抗ウイルス薬である米製薬大手メルク社のモルヌピラビルを購入するために、世界で10カ国が契約を締結または交渉中だと報じた。10カ国のうち、シンガポール、マレーシア、タイ、オーストラリア、ニュージーランドなどアジア太平洋諸国が8割を占める。

 韓国の場合、疾病管理庁がモルヌピラビル1万8千人分の確保のために最終協議に入ったという事実が今年8月末に公開された。米国は今年6月、自国の製薬会社であるメルクに12億ドルを支払い、170万人分をすでに確保した。1人分当たり約700ドルだ。

 同放送は、メルク社と契約した国の大半が昨年新型コロナワクチンの確保が遅れたか、失敗した国だとし、これらの国が同じミスを繰り返さないために、まだ使用承認を受けていない薬の注文を急いでいると報道した。現在、米食品医薬品局(FDA)が同薬の緊急使用承認のための審査に入っており、12月以降に承認の可否が決まる見通しだ。

 モルヌピラビルの高い価格も、開発途上国による同薬の導入を困難にする要因とされる。米国の購入過程を見ると、モルヌピラビルの価格は1人分当たり約700ドルと推算されるが、これは新型コロナワクチン価格(4~20ドル)より数十~数百倍高い金額だ。ただし、メルク社は今年6月、声明を発表し、「国別に薬価を変更して策定する」とし、「104カ国の低所得・中間所得国で薬を手に入れやすくするためにジェネリック医薬品メーカーと使用権契約を結んだ」と明らかにした。

 メルク社がモルヌピラビルに対する知的財産権を放棄することが、薬を大衆化できるより確実な方法だが、可能性はそれほど高くない。これに先立ち、新型コロナワクチンの知的財産権放棄に関する国際議論が行われたが、製薬会社はもちろん、ドイツ、英国など製薬会社を保有する国が反対したため、失敗に終わった。現在、国境なき医師会がメルク社に同薬の知的財産権を放棄することを勧告している。

 非営利団体「顧みられない病気の新薬開発イニシアティブ」(DNDi)のレイチェル・コーエン北米担当役員は「モルヌピラビルは本当にゲームを変えることができる潜在力を持っている」とし、「しかし、私たちは歴史を繰り返してはならない。新型コロナワクチンで見たようなミスを繰り返してはならない」と述べた。

 国際統計サイトのアワー・ワールド・イン・データの資料によると、17日現在、全世界に66億ドースの新型コロナワクチンが普及され、全世界の人口の半分に近い47.5%が少なくとも1回以上ワクチンを接種した。しかし、1人当たりの年間所得が1千ドル以下の低所得国家の場合、1回以上ワクチンを接種した割合は2.7%に過ぎない。

チェ・ヒョンジュン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1015554.html韓国語原文入力:2021-10-18 11:34
訳H.J

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