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日本は2004年から「痴呆」→「認知症」へ、オランダには「認知症の街」

登録:2021-12-18 02:21 修正:2021-12-18 06:54

町をあげて見守る認知症 
 
認知症患者のための海外の政策
埼玉県三芳町にある認知症専門デイケアセンター「けやきの家」で、認知症患者たちが子どもたちの夕食を作るために長芋の皮をむいている=資料写真//ハンギョレ新聞社

 1億5000万人。2019年に世界保健機関(WHO)が予測した2050年の世界の認知症患者の数だ。5000万人(2019年現在)の3倍にのぼる水準にまで増加するとする見通しだ。認知症の患者が増加するだけに、国外においても認知症患者のための様々な政策が推進されている。

 高齢社会である日本の例は参考するに値する。日本政府は2004年から「痴呆」という言葉を使わないことを正式に決めている。「おろかの痴」、同じく「おろかの呆」で表す単語は患者たちを傷つける可能性があるとして、認知症と呼び替えているのだ。認知能力に関する病気という意味だ。日本は2012年に「認知症施策5カ年計画(オレンジプラン)」を立て、2015年には地域社会での見守りを強化した「新オレンジプラン」を発表している。これは2025年までの長期計画で、省庁横断的に発表したほど主要な政府課題となっている。2025年は団塊の世代(ベビーブーム世代)が75歳以上になる時期だ。

 日本は、認知症患者本人や家族に早期に介入するため、「認知症初期集中支援チーム」を地域包括支援センターに置いている。センターは患者の状態の管理、環境改善、家族支援などを通じて認知症患者の自立をサポートする。担当医療陣と連携して支援する「認知症疾患医療センター」も設置している。

 認知症患者に勇気を与えるための対国民キャンペーンも進められてきた。また日本では認知症当事者の運動も活性化している。日本認知症当事者協会が結成されており、日本政府は当事者の提示する意見を政策に反映するよう努めてきた。

 オランダには「認知症の街」として有名なホーヘワイクがある。中央政府と地域機関の協力、認知症療養専門の看護師のアイデアによって、2009年に街開きした。認知症を持つ200人あまりの住民が、各家で6~7人ほどで共同生活を送る。スーパーマーケット、飲食店、公園、福祉館、美容室、劇場なども揃っている。認知症を持つ人々が集まって共に料理を作ったり、社交行事を開いたり、買い物したりもする。患者の安全のために、250人あまりの介護者、医師、療養保護士、職員などが街のあちこちで彼らを手伝っている。最近、英国もこの街をモデルに認知症タウンの設立を進めるなど、国際的にもこのような形のケアシステムを取り入れようという声があがっている。

 英国は「認知症介護経路」政策にもとづき、患者を個別のケースに分類して管理する。この政策の中心軸は認知症ケアマネージャーだ。ケアマネージャーは診断、認知症治療薬の処方、診断後に地域社会で提供可能な各種の保健・福祉サービスの案内、サービスの調整・連携などの役割を担う。2015年から、すべての認知症患者には認知症ケアマネージャーが指定されることになっている。

パク・チュニョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/1023698.html韓国語原文入力:2021-12-17 04:59
訳D.K

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