韓国で週末の間に新型コロナウイルスのオミクロン株への新たな感染者がさらに6人確認された。既存の感染者の知人や飲食店などの地域社会での接触によって感染した人であることが確認されたことから、オミクロン株の地域社会での「n次感染」が現実化したとの分析が出ている。ソウル大学、慶煕大学、韓国外国語大学などのソウル市内の大学でも感染の疑われる人が確認されており、オミクロン株がソウルに流入するのではないかとの懸念の声が高まっている。
4日にオミクロン株への感染が確認された3人(ナイジェリアから帰国した40代の牧師夫婦を自宅まで車で送った30代の男性Aさんの妻、義母、知人)が、先月28日午後1時頃に仁川(インチョン)のある教会で行われた礼拝に参加していたことが確認されたことで、彼らを通じてオミクロン株による集団感染が教会で起きる可能性が高まった。また、5日に新たに確認されたオミクロン株感染者は、Aさんと飲食店で接触した人物だ。このことから、後になってオミクロン株への感染が確認されたAさんを通じた地域社会への伝播が本格化したのではないかとの懸念が出ている。
Aさんは先月24日、40代の牧師夫婦を空港から自宅まで送りとどけたことでオミクロン株に感染したが、疫学調査の過程で牧師夫婦(25日にオミクロン株への感染が判明)は「防疫タクシーを利用した」と嘘をついたため、先月29日になってようやく隔離措置された。その間、Aさんの家族にオミクロン株が広がり、家族はそのことを知らずに教会の礼拝に参加した。同教会の8人の信者、信者ではないが教会を訪れた1人、そして信者の家族2人と知人1人がコロナ陽性判定を受けたため、オミクロン株であるかどうかを確認している。この12人が感染したウイルスがオミクロン株であるかどうかは、6日午前頃までには判明する予定だ。変異株への感染が確認されれば、施設でオミクロン株の集団感染が発生した初の例となる。
防疫当局の努力にもかかわらず、オミクロン株は抑えきれていない。ソウル市などの話を総合すると、ソウル大学、慶煕大学、韓国外国語大学の在学生らが仁川の教会を訪問後にコロナ感染が確認された。ソウル市はこの日、「ソウル大、慶煕大、韓国外国語大の在学生各1人がオミクロン株への感染の疑われる事例に分類された。ただし、まだ検査結果は出ていない」と発表した。3人はいずれも外国人。
防疫当局がオミクロン株に関連する濃厚接触者として分類、管理している人は、教会関連の411人を含め719人にのぼる。政府が先制的な検査の対象者として分類している他の時間帯の礼拝参加者(369人)も含めると、オミクロン株に関連する管理人数は1088人。
防疫当局がオミクロン株の地域社会での拡散に神経を尖らせている中、5日にも5000人台の新たなコロナ感染者が確認された。防対本の発表によると、5日午前0時現在で新たに確認された感染者は5128人。前日(5352人)より224人減少したものの、日曜日の発表(集計日は土曜日)で5000人台は初。重症患者数は744人で、前日(752人)より8人減ったものの、1日から5日連続で700人を上回っており、保健医療システムに赤信号が灯っている。
前日午後5時現在で、ソウルの重症患者専門病床は349床のうち318床が使用されており、病床稼動率は91.1%にのぼる。仁川も同稼動率は91.1%(79床中72床使用)、京畿道はやや低い79.0%(366床中289床)。全国では79.1%で、連日80%前後を推移している。防疫当局は週末の間に重症患者用病床をさらに80床動員したが、稼働率を下げる効果はさほどなかった。
連日5000人前後の感染者が出ていることから、病床の空きを待っている人の数も1000人にのぼる。5日午前0時現在、首都圏で病床の空きを1日以上待っている感染者は954人。4日以上待たされている人も299人にのぼる。病床待機者のうち541人(56.7%)は70歳以上の高齢患者で、早急な病院への搬送が求められるとの指摘が出ている。非首都圏の病床待機者は23人で、前日(4人)より19人の増。非首都圏では、2日までは待機者がいなかったが、最近になって高齢者を中心に感染者が増えていることから、全国的に患者分類と病床配分の負担が重くなりつつある。在宅治療中の患者は全国で1万4944人。