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2022年に注目すべき15の「エマージングイシュー」…1位は?

登録:2021-12-04 10:48 修正:2021-12-04 11:13
国会未来研究院、キーワード抽出と専門家への調査の結果 
「米中対立」が可能性と波及力で最大の点数
米中対立は2022年のエマージングイシューの中で最も高い点数がついた=pexels提供//ハンギョレ新聞社

 2022年に最も注目すべき「エマージングイシュー」として、ますます先鋭化している米国と中国の対立が挙げられた。エマージングイシューとは、5~10年後に支配的トレンドに成長すると予測される社会の流れをいう。

 韓国の国会未来研究院は、将来社会的に大きな波及効果をもたらすと予想される「2022年・注目される15のエマージングイシュー(emerging issue)」を選定し、3日に発表した。

 研究院がコンピューターのアルゴリズムのキーワード抽出と専門家へのアンケート調査を通じて選んだエマージングイシューは、可能性と波及力が大きい10のイシュー、可能性は低いが波及力が大きい5つのイシューに分けられる。

 このうち、米中対立は可能性と波及力で専門家から最も大きな点数を得た。15のエマージングイシューの中で唯一、2項目がいずれも8点(10点満点)を超えた。

 研究院は報告書で「米国は中国を排除したまま経済と安保をまとめた同盟国連合を強化し、中国は建国100周年を迎える2049年に世界最強国となることを目標に米国の世界覇権に挑戦していることで、米中対立が新しい局面を迎えている」とし「米中競争は経済、技術、国防を超え、宇宙資源確保のための宇宙開発競争にまで拡大している」と指摘した。

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エマージングイシューを貫通する3つの流れ

 可能性と波及力が大きい10のエマージングイシューを貫通する流れは、気候変動、デジタル化、少子高齢化だ。

 まず、世界的な気候危機意識と2050年のカーボンニュートラル(炭素中立)目標を反映するかのように、気候変動と関連した流れは3つだった。環境災害の頻発による国家間対立の拡大、交通と物流分野を筆頭にしたエネルギー転換の急進展、気候危機を反映した新しい安全概念の空間の登場がここに含まれた。

 デジタル化の加速による流れも3つが挙げられた。専門家は、仮想現実(VR)の急進展、人工知能(AI)の誤用および偏向性、対面接触の減少による脱社会化を注目すべき流れとみている。

 また、社会的介護労働の増加、新しい賃金体系に対する論議、モザイク家族拡散の流れの底辺には、少子高齢化という人口構成変化が共通して観察される。

気候変動への対応を求めるデモ隊=pexels提供//ハンギョレ新聞社

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持続的な公論化と代案の模索が必要

 研究を率いた革新成長グループの責任者パク・ソンウォン氏は、報告書で「この10件のイシューはすでに起きており、今後徐々に深刻になると予想されるもの」とし、「世界各国は環境保護と技術競争で熾烈な対立を続け、気候変動への対応とAI技術によって混乱と社会的懸念が増大する」と述べた。報告書はまた、個人主義の強化と社会的脆弱階層の孤立に対する懸念を示した。

 可能性は低いが波及力のある5つのエマージングイシューとしては、土地の公共性浮上、エネルギー自立と分権化の結合、ロボットの自律性の増大と社会的合意、宇宙生活圏への進入、エコファシズムが挙げられた。パク氏は「可能性は低いが波及力の高いエマージングイシューを公論化し続け、代案を模索すれば、世界的な金融危機やパンデミック拡散などのブラック・スワン(予測できず、非常に強い衝撃を与える)イシューに対応できると期待する」と述べた。

デジタル化はエマージングイシューを貫通する底辺の3つの流れのうちのひとつ=pexels提供//ハンギョレ新聞社

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集団・公共よりも個人利益優先へ

 報告書は「15のエマージングイシューの波及力に対する専門家の判断では、個人主義対集団主義、または個人利益対公共利益という2つのフレームの対立が特徴的にあらわれ、専門家は個人主義および個人利益のフレームが優勢だと予想した」と明らかにした。

 エマージングイシューを把握するのは、社会変化の大きな流れを正しく理解し、より良い未来へと導くためだ。報告書によると、1970年代にはエネルギーの武器化と脱産業化、1980年代には環境汚染と高齢化、性差別、1990年代にはグローバル化と家族解体、2000年代にはベビーブーム世代の引退とサイバーブリング(ネットいじめ)、2010年代には気候変動と生態系の破壊が、それぞれエマージングイシューに浮上した。

 今回のエマージングイシューの発掘は3段階の過程を経た。まず国会未来研究院が独自開発したコンピューターのアルゴリズムを通じて抽出したエマージングキーワードと、延世大学のソン・イン教授(文献情報学)の研究チームが抽出したキーワードをもとに、100あまりのエマージングイシューを1次的に導出した後、諮問会議などを経て36を選別し、これを42人の専門家に依頼して10点満点で評価した。

クァク・ノピル先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/science/future/1021860.html韓国語原文入力:2021-12-03 11:09
訳C.M

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