「テレビを見てHPVワクチンを打たなければと思いました」
キム・ナムグォンさん(24)は先月20日、ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンを接種した。キムさんは「テレビで、HPVワクチンは女性だけでなく男性にも疾病予防効果があると言っていました。25歳以前に打たなければいけないというので、今年接種しました」と語った。
2020年にtvNで放送されたテレビドラマ『青春の記録』に、俳優のパク・ボゴムさんがワクチンを接種する場面が登場したことで、キムさんのようにHPVワクチンに関心を持つ男性が増えている。しかし、依然として女性のみが接種するワクチンであるという認識と、接種完了までに最大で90万ウォンがかかるコストのせいで、接種をためらう男性が多い。
性的接触を通じて感染するHPVは、男女ともに疾病を誘発する。子宮頸がん、陰茎がん、尖圭コンジローマ(性器にできるイボ)などが代表的な疾病だ。疾病管理庁の「感染症監視年報」2020年版によると、感染報告は1万945件に達し、尖圭コンジローマは2001年には281件だったものが、2020年には4864件へと増えている。子宮頸がんの発生率も2017年現在で10万人当たり11.4人で、世界保健機関(WHO)の子宮頸がん克服目標(6人)の2倍にのぼる。慶熙大学産婦人科のチョン・ミンヒョン教授は、「HPVは治療方法がなく、2年間ほど定期検査を受けながら自然に消えるのを待たねばならない。性別に関係なくワクチンを接種するのが最善の方法」と述べた。順天郷大学感染内科のキム・タク教授も「男性にも予防接種を受けることをお勧めする」と述べた。
「子宮頸がんワクチン」として知られているため、男性もHPVワクチンを打つべきだとの認識は比較的低い。「男性と共にするフェミニズム」で活動し、「2021HPVワクチン接種遠征隊長期プロジェクト」を主催したイ・ハンさんは「子宮頸がんの注射として知られているため、私自身、性教育の講義をしているのに男性も打つべきだということは最近になって知った。ワクチン接種は不要だと考えている男性は依然として多い」と語った。
費用が負担となってためらうケースもある。現在は満12歳の女性だけが無料で接種でき、成人女性や男性は自費(非給与)でワクチンを打たなければならない。キム・ハンボムさん(24)は「彼女ができたのでワクチンの接種を当たってみたが、価格が数十万ウォンを超えるため延期した」と語った。健康保険審査評価院の非給与診療費情報を確認すると、病院でHPVワクチン「ガーダシル9」を3次まで接種すると、43万4448ウォンから92万1000ウォン(約4万1700円から8万8500円)の費用がかかる。
HPVワクチンの国家予防接種事業の対象を成人女性と男性にまで広げるべきだとの声は常にある。世界71カ国(2017年3月現在)が国の予防接種(NIP)として実施しており、英国、ドイツ、デンマークを含む11カ国は男児にも予防接種を支援している。チョン教授は「全員に支援するのは難しくても、接種効果の高い20歳以前の人口に支援する必要はある」と述べた。