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重症患者、過去最多…日常回復の準備も予測も失敗した韓国政府

登録:2021-11-18 02:46 修正:2021-11-18 07:48
新規感染者数、二度目の3千人台…首都圏の重症患者病床の稼働率76.7% 
専門家「外国の状況ばかり見て、高齢層の突破感染への対処が遅かった」
首都圏での新型コロナウイルス感染症の拡大で重症患者用の病床不足が懸念される中、17日午後、ソウル中浪区のソウル医療院で医療スタッフがコロナ重症患者治療病床を確認している/聯合ニュース

 新型コロナウイルス感染症の重症患者数が段階的な日常回復(ウィズコロナ)の開始から17日にして500人を超え、ソウルの重症患者専門病床の稼動率も80%を超えた。政府は、日常回復後も新規感染者が5000人までは現在の医療体制で耐えられると公言してきたが、これが虚言となったことで、重症患者の治療対応に赤信号が灯っている。専門家は、政府が外国の状況ばかりを見て療養型病院などの高齢層の突破感染(ブレイクスルー感染)に備えないなど、日常回復の準備を疎かにしたことが、このような状況をもたらしたと指摘した。

 中央防疫対策本部(防対本)は、17日午前0時現在のコロナ重症患者数を522人と発表した。政府が「安定的に管理できる」と説明してきた重症患者数である500人を初めて超えた。重症患者はソウルなど首都圏を中心に急速に増えており、ソウルはこの日のコロナ重症患者専門病床の稼働率が80.6%となり、初めて80%を上回った。ソウル、仁川(インチョン)、京畿道など首都圏の重症患者病床の稼働率は76.7%で、政府が「非常計画(サーキットブレーカー)」発動の条件と述べてきた75%を連日上回っている。高麗大学保健大学院のチョン・ビョンチョル教授(予防医学)は「重症患者病床の稼働率が70~75%というのは、すでに病床が埋まっているのと同じだ」と述べた。

 新規感染者数も3187人となり、これまでで二度目の3000人超えとなった。過去最多の新規感染者が出たのは、日常回復前の秋夕(チュソク、旧暦8月15日の節句)連休期間中に移動量が増加した9月25日で、人数は3270人。ワクチン接種から時間が経過したため感染予防効果が落ちている療養型病院入所者をはじめとする高齢層を中心に突破感染が増加したこと、日常回復後に人との接触が増えたことなどが、感染者の増加理由としてあげられる。

 日常回復前に政府は何度も、新規患者数が5000人台までは現在の医療システムで耐えられると明らかにしていたものの、予想とは異なり3000人台ですでに重症患者数が500人台を超えるとともに、病床稼動率にも赤信号が灯っているという点で、政府は予測に失敗しており、それに伴って対応も遅れているとの指摘がある。順天郷大学富川(プチョン)病院のキム・タク教授(感染内科)も「政府は、致命率と重症化率については全年齢層を考慮して計算したという側面があるが、最近の流行は60代以上の高危険群の高齢層を中心に進んでいるため、重症化率が予測を上回る水準で上がった。よって高危険群の追加接種(ブースターショット)を急がなければならない」と話した。

 ソウル大学のキム・ユン教授(医療管理学)は「感染症専門病床や重症患者移送システムなどの準備なしに日常回復を実施した政府の責任は大きい」とし「現在の感染者数の増加は、高齢層の突破感染を防ぐ追加接種を早期に実施できず、ワクチンを打っていない青少年(学生)を保護する対策を立てていなかった、明白な政府の政策の失敗」と語った。嘉泉大学吉病院のオム・ジュンシク教授(感染内科)は「首都圏で第4波が続いていたため、重症患者病床や移送システム、在宅治療などを定着させ、病床動員命令も相当な準備をしたうえで日常回復を開始すべきだったのに、そのような準備が十分にできていなかった」とし「すでに以前の流行で経験しているため、短時間ではできないということは十分に分かっていたはずなのに、こうした状況がまたしても生じた」と述べた。

 このような中、防疫当局は今後、毎週コロナ流行の危険度を評価し、日常回復を今後も続けるか中止するかを決定することを決めた。防対本がこの日公開した「コロナ危険度評価計画」によると、危険度の評価基準は大きく3つの領域の17の細部指標で構成される。防疫当局はこの中で特に、集中治療室の病床稼働率▽医療対応力に対する発生率▽週間新規重症患者数▽60歳以上の感染者の割合▽60歳以上と高危険群の追加接種率の5つを最重要指標と設定し、流行の危険性を判断する計画だと述べた。医療対応力に対する発生率とは、最大病床数を基準とした、週間1日平均の重症感染者発生率をいう。このところ60歳以上の高齢層の感染者が増加するとともに、突破感染が増えていることで、重症患者も急増していることを反映したもの。

 防対本と中央事故収拾本部(中収本)は、このような体系にもとづき、防疫医療分科委員会への諮問を経て、週ごとにコロナの危険度を「非常に低い」、「低い」、「中間」、「高い」、「非常に高い」の5段階で評価する計画だ。評価は、1週間隔で実施する「週間評価」、4週間の危険度を分析する「段階評価」、流行の危険度が高い状況において実施する「緊急評価」に分けられる。緊急評価は、集中治療室の病床稼働率が75%を超えた場合▽週間危険度の評価結果が「高い」または「非常に高い」の場合▽4週間の段階評価の結果が「高い」または「非常に高い」の場合▽その他、政府が防疫医療分科委員会の専門家の意見にもとづき、非常計画を検討する必要があると判断した場合の4つの要件にもとづいて実施される。

 中央災害安全対策本部は、防疫当局の危険度評価の結果についての日常回復支援委員会への諮問を経て、日常回復の次の段階への移行の是非や非常計画の実施などの措置を最終的に決定することになる。

イ・ジェホ、パク・チュニョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/1019720.html韓国語原文入力:2021-11-17 17:11
訳D.K

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