本文に移動

韓国政府が野球場には1万人の入場認めたのに、集会は99人に制限するわけは

登録:2021-11-13 04:41 修正:2021-11-13 06:12
[ハンギョレS] 来週の質問
//ハンギョレ新聞社

 かつて警察担当記者にとって土曜日は「集会取材の日」だった。大小の集会やデモがほとんど毎週土曜、ソウルの都心で行われるからだった。市民の様々な声と衝突などの動きを現場で取材し、記事にするのが土曜当直記者の主な日課だった。だからこそ、社会部記者だった2016年末は、忘れられない記憶として残っている。同年10月29日から「朴槿恵(パク・クネ)政権退陣非常国民行動」が主催し始めた弾劾ろうそく集会には毎週、参加者数が爆発的に増えた。12月3日にはソウルの参加者だけで170万人(主催側推算)に達した。推算が多少正確ではないとしても、「(普段は歩いて10分の)光化門(クァンファムン)にあるソウルファイナンスセンター(SFC)から世宗文化会館まで2時間かかる」という「都心集会怪談」は真実に近かった。当直記者一人では現場をカバーができず、2、3人ずつ非常勤務体制を組んで取材を続けた。前代未聞のウイルスが発見される数年前の話だ。

 新型コロナウイルスが韓国で広がり始めると、状況が180度変わった。拡散初期から集会が真っ先に禁止された。当直になっても取材に出かける現場がなく、待機する日が増えた。出勤途中の地下鉄はまだ満員で、デパートなどの商業施設に出入り記録をつける前だったにもかかわらず、集会は認められなかった。コロナ禍で生計に困っていた人々と被害を受けた人々は、街頭で声を上げたくてもそれができず、沈黙を強いられた。憲法の基本権は感染病予防法の前に無力だった。警察の関係者も「集会禁止通告として、集会および示威行動に関する法律(集示法)ではなく、感染病予防法第149条2項(地方自治体が集会を制限できる根拠)が適用される日が来るとは、夢にも思わなかった」と述べた。

 その間、新型コロナウイルスの感染者数が乱高下を続けたが、ワクチン接種率が70%を超えたことで、ついに「ウィズコロナ」(段階的日常回復)の時期が到来した。今月1日から適用された集会可能な人数は最大499人。しかしこれは2回目までワクチン接種を完了した場合に限られる。未接種者が混ざっている場合は99人に制限される。一方、野球場では何の制限もなく、1万人以上が集まり、チキンとビールを楽しむこともできる。韓国政府が誰と「ウィズ」(共に)するコロナを追求するのか明確になる指針だ。個人の経済活動を制限したことで、政府は莫大な財政負担を抱えなければならなかった。だが、集会やデモを制限したからといって、補正予算を組み「災害支援金」を支給する必要はなかった。こうした政府の動きを後押ししたのが「集会嫌悪世論」だった。 市民団体「人権運動空間ファル」の活動家のランヒ氏は「コロナ禍以前から韓国では集会とデモが基本権ではなく、渋滞誘発要因とみなされてきた」とし、「市民の集会嫌悪を土台に、政府が聞きたくない声を遮断する姿勢を維持している」と指摘した。

 13日、全国民主労働組合総連盟(民主労総)は、全泰壱(チョン・テイル)烈士の精神を称え、労働者の権利保障のための全国労働者大会集会を行うことを決めた。民主労総が届け出た集会は、499人ずつ70メートルの距離を置き、20の集団に分けて集会を開くもので、ソウル市と警察は事実上、1万人規模の「分割集会」だとし判断し、事前禁止通告を下した。これを受け、キム・ブギョム首相や警察庁長とソウル警察庁長は1カ月前同様、「違法集会には厳正に対応する」と強調した。野球場には1万人以上が集まってもいいのに、なぜ集会はダメなのかと、公平性問題を提起すると、「防疫当局の防疫規則を執行するだけ」と主張した。そう言っていたキム首相は今月6日、大学の同窓たちを首相公館に招待し、自分を含め11人で会食をしたという(会食の人数を10人までに制限した防疫規則違反)。次の防疫指針の改編では、どんな運命が集会を待っているだろうか。

パク・スジ|イシューチーム記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1019149.html韓国語原文入力:2021-11-12 20:16
訳H.J

関連記事