共に民主党の大統領候補予備選挙の後遺症が深まっている。イ・ナギョン元首相陣営では「無効票処理」に関して法廷争いの可能性まで公に言及した。党では、沈黙を守るイ元首相に対して「名分のない不服」で対立を生んでいるとし、決断を促す声が大きくなっている。
イ・ナギョン陣営の共同選挙対策委員長を務めたソル・フン議員は12日、CBSラジオのインタビューで、「無効票処理に対する異議申し立ての結果を見守る」としながらも、「仮処分訴訟などが可能なのか」というラジオパーソナリティの質問に対し、「いくらでもそのような方法がある」と答えた。党が決選投票の要求を受け入れなければ、この事案を裁判に持ち越すこともできるという話だ。イ・ナギョン陣営の別の関係者も「予備選挙に参加した有権者の誰でも問題提起できる」とし「怒った方々が(法的対応を)考えていると聞いている」と述べた。陣営が直接乗り出さなくても、支持層に法廷で争おうとする人がいるということだ。政党が自ら問題を解決できず司法府に判断を求める行動は「政治の失敗」と受け止められるが、イ元首相側がこのような破局的状況まで公然と取り上げているということだ。
論議の当事者であるイ元首相は、前日に続きこの日も外部日程はなく姿を見せなかった。2日前の予備選挙直後、「気持ちが整理され次第申し上げる。落ち着いた気持ちで、責任ある気持ちで待ってほしい」という言葉が最後だったが、彼の周辺では予備選挙不服のメッセージがさらに強まっている。イ・ジェミョン陣営はこの日解団式を行ったが、イ・ナギョン陣営は解団式の日程を決めていない。
承服を拒否しているイ元首相に対する党内の批判は、まず手続き上の問題から始まる。イ元首相は先月、チョン・セギュン候補が辞退し、規定どおりチョン候補の票が無効処理されてから初めて得票率の再算定を問題視した。「予備選挙の過程で候補者が辞退した場合、その候補者に対する投票は無効とする」という特別党規の規定を「試合中(予備選挙中)に変更することはできない」という民主党指導部の立場は確固としていた。民主党の重鎮議員は「予備選挙前に問題提起をしたならともかく、予備選挙の途中で党指導部が解釈を変えることはできないということをイ元首相が知らないはずがない」とし「私は党で20年間さまざまな選挙を見てきたが、こんなに予備選挙後に候補が承服しないケースは初めてだ」と皮肉を述べた。
このような状況で、イ元首相側が訴訟の可能性まで取り上げるのは、度を越しているという声が出ている。民主党指導部の関係者は「実際に訴訟を起こせば収拾まで非常に長い時間がかかり、その間に支持者の間の分裂だけが広がるだろう」と懸念した。民主党関係者は「投開票操作など不正があったのではなく、2012年から続いてきた党規条項の解釈問題をめぐり、15万票差がある状態で2位になった候補が問題にするのは党にとってあまりにも大きな傷だ」と述べた。
イ元首相の不服は、道義的にも理解できないという指摘も多い。金大中(キム・デジュン)元大統領が抜擢して政界入りしたイ元首相は、国会議員5期を経て全羅南道知事、首相、党代表を歴任した民主党の元老だ。イ元首相は2002年、新千年民主党の大統領選予備選挙で盧武鉉(ノ・ムヒョン)候補が確定した後、候補交代を要求したいわゆる「候補一本化協議会事態」も間近で見ていた。予備選挙後の内紛で危うく政権再創出に失敗するところだった歴史を覚えている民主党の人々としては、当時のトラウマを思い出させる状況だ。同日、ソン・ヨンギル党代表がTBSラジオのインタビューで、2002年の予備選挙当時ユ・ジョングン候補が中途辞退して得票が無効票として処理されたところ、これを「残念なことだ」と述べた「イ・ナギョン民主党報道担当」の公式論評を取り上げて語ったのも、こうした脈絡からだ。党指導部の関係者も「今は離党して出馬するのは法で制限されているためそうはできないが、支持者を分裂させるという次元で2021年版『候補一本化協議会』と同じだ」と皮肉を述べた。
イ元首相側は「訴訟は一部の強硬な人々の話にすぎず、陣営の公式立場ではない。異議申し立てに対する党指導部の解釈が出た後、行動を決める」とし、予備選挙不服によって起こる逆風を懸念した。結局、現在の混乱を終わらせるにはイ元首相が直接予備選挙の承服を宣言しなければならないという声が大きい。民主党の大統領選候補だったキム・ドゥグァン議員はこの日、自身のフェイスブックに「ソル・フン氏が今日、イ・ジェミョン候補の『拘束の可能性』まで言及した」とし「悔しさを理解できないわけではないが、これは野党『国民の力』の報道担当が発するようなメッセージであって、民主党の大先輩が述べる言葉ではない」と書いた。さらに「イ・ナギョン元代表は、ソル・フン氏の後ろに隠れていてはいけない。ワンチームの団結と大統領選の勝利のために、明日の最高委の決定を待たずに今日承服演説をしてくださることを切実に願う」と付け加えた。支持者の反発と動揺を収拾できる人物はイ元首相本人であるという点を重ねて強調したのだ。