10日、共に民主党の大統領選候補に選ばれたイ・ジェミョン候補の前には、「政権継承」という重い課題が課せられているが、予備選終盤に反映された「大庄洞疑惑」対する批判世論により、辛うじて過半数を確保し、「不安要素を抱える候補論」を払拭しなければならない負担まで加わった。大庄洞開発疑惑で動揺する民主党支持層をなだめなければならない宿題が加わったということだ。
■大庄洞特恵論議、克服できるか
イ・ジェミョン候補は第3回国民選挙人団投票で28.3%を得票し、衝撃的な敗北を喫した。 「大庄洞疑惑」をめぐる民主党支持層の不安が遅れて反映されたのだ。首都圏の大規模開発事業の特恵論争がただでさえ爆発寸前の不動産政策に対する批判世論に火をつけかねないという与党内部の懸念が、低い得票率として現れたわけだ。これにより、イ・ジェミョン候補は中道層への支持拡大に対する懸念を抱えたまま本選に上がり、「不安な出発」をすることになった。政治評論家のキム・スミン氏は「忠清道圏と第1次スーパーウィークの結果を見たイ・ナギョン候補支持層が第3次選挙人団に大勢登録したようだ」とし、「大庄洞の影響による不安な出発という分析が相次ぎ、中道層への支持拡大が困難かもしれないという印象を与えている」と指摘した。
イ・ジェミョン候補はこれまで、「大庄洞特恵疑惑」が与党「国民の力」の関係者らによる不正疑惑だとして反撃に出ることで、予備選挙における支持層の結集には成功したものとみられてきた。しかし第3次国民選挙人団投票結果を踏まえ、大統領選では支持拡大のために戦略を修正する可能性が高い。イ候補は最近、不動産開発で生じた不労所得を法的に公共が還収する「開発利益国民還収制」を導入し、土地開発投機を遮断する内容の公約を掲げた。「イ・ジェミョン不安論」を抑え、「イ・ジェミョンは変えられる」という認識を植えつけるというのがイ候補陣営の戦略だ。
■深まった溝、ワンチーム構成できるか
最高潮に達したイ・ナギョン元首相側との対立をどのように解決していくかもカギとなる。イ元首相側は連日、「不安要素を抱える候補」であることを強調し、イ・ジェミョン候補側と対立してきた。特に、イ・ナギョン陣営の共同選挙対策委員長を務めるソル・フン議員が最近、野党側が言い立てている「イ・ジェミョンゲート」に言及し、「(イ・ジェミョン)候補が拘束される状況も考えられる」と述べるなど、攻勢を強めて双方の溝がさらに深まった。
イ候補側は「ワンチーム」のため党中心の選挙対策委員会の構成に従うと明らかにした。イ・ジェミョン陣営の関係者は「党を中心にするという立場」だとし、「イ・ナギョン陣営側の人々を前に立たせなければならない。我々は(得票率の)51%だけ関与し、残りは党にすべて一任しようという考えだ」と語った。ただし、双方の「化学的結合」まではやや時間がかかる見込みだ。イ・ナギョン陣営関係者は「イ候補側が我々を慰労する時間を作り、治癒する時間を持ちながらワンチームの話をすべきだ」と話した。予備選挙中に辞退した候補の得票を無効処理したことに不満を示してきたイ・ナギョン陣営が、今後この問題を再び提起する可能性もある。
■高まる政権交代世論をいかに突破するか
大統領選挙が近づくほど政権交代論が上昇する一方、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が政権後半期に歴代最高の国政支持率を示している点は、イ候補にとってはジレンマだ。政権交代論を乗り越えるためには現政権との差別化が必要だが、それを強調しすぎると、与党支持層を失いかねないからだ。イ・ジェミョン陣営の関係者は「朝鮮半島平和など基本的な文在寅政権の政策は当然受け継ぐが、不動産などの分野では異なる政策を打ち出さなければならない」と述べた。「人物」の差別化と斬新な政策で政権交代論を突破しながらも、現政権の主要政策は継続していくことを目指すということだ。
慶煕大学フマニタスカレッジのキム・ユンチョル教授は「普通の場合、大統領選は今後の期待値が反映される側面が強いが、今回は政治・経済的によくなるという期待感が薄く、これまでの判断に基づく『回顧的』投票の傾向が強く現われるものみられる」とし、「現政権に対する審判投票になれば、イ知事には困難な戦いになるだろう」と分析した。龍仁大学のチェ・チャンリョル教授は「政権交代を求める声が高まっているが、野党がそれを代弁できておらず、対決構図が熾烈になるだろう」と見通した。