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[コラム]イ・ジェミョン知事とイ・ナギョン元首相、大統領選挙で勝てるのか

登録:2021-07-27 06:16 修正:2021-07-27 08:35
イ・ジェミョン京畿道知事もイ・ナギョン元首相も、その程度の政治家だったのだろうか。2017年の大統領選候補を選ぶ党内選挙に出馬した、経験に裏打ちされた首都圏の知事の実力はどこに行ったのか。当選5回の国会議員、首相、党代表の能力はどこに行ったのだろうか。
昨年7月30日、京畿道庁で懇談会を行う直前に握手を交わしているイ・ジェミョン京畿道知事と共に民主党のイ・ナギョン代表(当時)=資料写真/聯合ニュース

 大統領選挙本選よりも党内予備選挙の方が熾烈なのは当然だ。「他人」に負けるより「味方」に負けることの方が耐え難いものだ。

 党内選挙で負ければ、「自分が候補にならなかったのだから、もう我が党は大統領選挙で負けるだろう」と思うようになる。神は人間の脳の構造をそのように作ったのだ。

 波乱万丈な予備選挙は多かった。1970年の新民党の予備選挙では金大中(キム・デジュン)候補が1次投票で2位となり、その後3位のイ・チョルスン候補の支援を受け、決選投票では金泳三(キム・ヨンサム)候補を制した。

 2002年の新千年民主党の予備選挙では盧武鉉(ノ・ムヒョン)候補が「光州(クァンジュ)の奇跡」で勝機をつかんだ。焦ったイ・インジェ候補は盧武鉉候補の義父の左翼活動を攻撃したが、「愛する妻を捨てろというのか」と述べた盧武鉉候補の反撃で敗北した。

 2007年のハンナラ党の党内選挙は、熾烈な競争と潔い承服の伝説となった。初めからそうだったわけではない。10年の間保守政権を取れなかったためか、当時の李明博(イ・ミョンバク)、朴槿惠(パク・クネ)両陣営の参謀たちの表情はハイエナのようだった。党はほぼ真っ二つに割れた。

 ハンナラ党には熟練の「スピンドクター」たちがいた。彼らは縄張り争いを路線闘争へと昇華させた。李明博候補の手には「実用保守」、朴槿恵候補の手には「正統保守」の旗を握らせた。「2台の機関車論」が生まれた。

 両陣営は、相手候補の不正疑惑を自ら暴露することはぜず、関連資料をメディアに提供した。

 「熾烈だが汚くはない」予備選挙が演出された。こうして2007年と2012年の大統領選挙に相次いで勝利した。両大統領の不正疑惑が事実であることが明らかになったのは、はるか後日のことだった。

 2012年の民主統合党の党大会の会場ではペットボトルが飛び交った。ソン・ハッキュ候補を支持する党員たちが、市民選挙団のモバイル投票に不満をぶつけたのだ。民主統合党は後遺症を克服できなかった。文在寅(ムン・ジェイン)候補は敗れた。

 最近、共に民主党の予備選挙がどんどん混乱してきている。「イ・ジェミョン1強」構図から「イ・ジェミョン-イ・ナギョン2強」構図へと変化したのは良いことだ。党内選挙の結果の不確実性が高まるので、党内選挙の興行効果が高まる可能性がある。

 だが、その争いはあまりにも幼稚だ。路線闘争は姿を消し、相手候補の人身攻撃に没頭している。今、17年前の盧武鉉大統領弾劾でどちらに投票したのかを問うことに、何の意味があるというのか。慶尚道と全羅道の地域対立を党内予備選挙に利用しようとする意図には、失望するにとどまらず怒りすら感じる。

 イ・ジェミョン京畿道知事もイ・ナギョン元首相(共に民主党前代表)も、その程度の政治家だったのだろうか。2017年の大統領選候補を選ぶ党内選挙に出馬した、経験に裏打ちされた首都圏の知事の実力はどこに行ったのか。当選5回の国会議員、首相、党代表の能力はどこに行ったのだろうか。イ・サンミン選挙管理委員長は「退行的で自害的」と警告した。本当にそうだ。2007年のハンナラ党よりもはるかに劣る。

 両者を支持する議員も同様だ。キム・ナムグク、キム・ヨンジン、パク・グァンオン、パク・ソンジュン、パク・チャンデ、パク・ホングン、ソル・フン、ユン・ヨンチャン、チェ・インホ、ホン・イクピョの各議員らが激しい争いを繰り広げている。いったい誰が誰の味方なのか当ててみてほしい。政治部の記者たちにもよく分からない。

 2007年の李明博候補対朴槿惠候補の予備選挙が激烈だったのは、大統領の地位がすぐ目の前にあったからだ。実際にハンナラ党の候補になれば、次の大統領への当選は間違いないと考えるに値する状況だった。

 今、イ・ジェミョン知事とイ・ナギョン元首相は、共に民主党の候補になりさえすれば、来年の大統領選挙で勝てると考えているようだということが気になる。本当にそうだろうか。

 世論調査では、文在寅大統領の職務肯定評価が若干上がった。新型コロナウイルス感染症の第4波の効果と見るべきだ。政権維持論よりも政権交代論の方が依然として強い。勘違いしてはならない。

 予備選挙で勝ったとしよう。その次は一体どうするつもりなのだろうか。大統領選候補は官職ではない。大統領選挙で負ければ何者でもない。

 誰が候補になろうとも、結局は党内選挙の陣営を解体して本選挙の陣営へと組み直さなければならない。川を渡ったらいかだは捨てなければならない。いかだで海を渡ることはできない。他の候補の全面的な支援を受けられなければ、大統領選挙で勝つことはできない。

 有権者は「取らぬタヌキの皮算用」をする政治家を最も嫌う。

 このところ野党の支持率が下落傾向にあるのはなぜか。4月7日のソウル市長補欠選挙の圧勝で傲慢になったからだ。来年3月の大統領選挙で勝てると考えて、候補が乱立しているからだ。

 傲慢の代価は墜落だ。しっかりしなければ今度は与党の番だ。

//ハンギョレ新聞社

ソン・ハニョン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1005147.html韓国語原文入力:2021-07-26 14:31
訳D.K

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