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静かに過ぎた朝鮮労働党創建76周年記念日…南北、「追加行動」に出るか

登録:2021-10-12 06:11 修正:2021-10-13 07:53
金正恩総書記「人民の衣食住の問題解決」 
対南、対米、核・ミサイルなど軍事関連の言及なし 
 
記念日を機にした北朝鮮の軍事行動に注目してきた韓国政府 
「慎重」モード切り替え、積極的行動に出るか
金正恩朝鮮労働党総書記は今月10日、「朝鮮労働党創建76周年記念講演会」で、「社会主義建設の新たな発展期に合わせて党事業をさらに改善・強化しよう」という題名の「綱領的な演説」を述べたと「労働新聞」が11日付1~2面に掲載した/朝鮮中央通信・聯合ニュース

 韓国政府が北朝鮮の戦略的軍事行動が行われるかどうかに注目してきた朝鮮労働党創建76周年記念日(10月10日)が、「静かかつ無事に」過ぎた。北朝鮮側では、大規模な軍兵力と兵器が動員される軍事パレードはなく、中長距離弾道ミサイルだけでなく短距離(弾道)ミサイルの発射もなかった。金正恩(キム・ジョンウン)労働党総書記は「人民の衣食住問題の解決」を強調するなど、内政に焦点を合わせた演説を行った。

 武力示威なしの「党創建記念行事」は、それ自体で前向きな対南・対米シグナルと言える。文在寅(ムン・ジェイン)大統領の国連総会演説での「3者または4者終戦宣言」の提案(9月21日)と、金正恩総書記の最高人民会議施政演説(9月29日)によって実現した南北直通連絡線の再稼働(10月4日)を経て、韓国と北朝鮮当局が「追加行動」に出る最小限の環境が整ったわけだ。

 金正恩総書記は10日、労働党中央委本部で開かれた「党創建76周年記念講演会」の演説で、「人民大衆第一主義が党風、国風、社会的気風として確実に切り替わった」とし、「人民」を特に強調した。11日付の「労働新聞」は、金総書記が「(労働)党第8回大会が設定した5カ年計画期間を、国の経済を立て直し、人民の衣食住問題を解決する上で効果的な5年にするという決心と意志を改めて明らかにした」として、1面から2面にかけて報じた。金正恩総書記は「人民を離れた、人民から離脱し人民に依拠しない党と国家事業はあり得ない」という「1948年(金日成)首領の直筆」が、「党建設と活動の全過程に貫かれている不変の指針であり原則」だとし、「万古不変の大命題」だと強調した。さらに労働党を「人民のために働く党」と規定し、「わが党にとって人民の利益を侵害し、党と大衆を離脱させる行為は絶対に容認できない」と述べた。

 金総書記は「前代未聞の難関が重なった我が革命の主客観的環境」で「自力で富国強兵の大業を果たす」ことにおいて、「思想は最も威力的で唯一の武器」だとし、「社会主義は我々の命であり、生活であり、未来」だと述べた。

 注目すべき点は、金総書記の演説を要約して掲載した「労働新聞」の報道(8552文字)に対南・対米に関する内容がなく、「核」や「抑止力」という言葉も登場しなかったという事実だ。金総書記が「この10年間、党建設で成し遂げた輝かしい成果」として「核武力・大陸間弾道ミサイル」を含む軍事部門の成果を取り上げなかったのは、党創建記念日における軍事行動の不在とともに、意味深い対米・対南シグナルと言える。

 韓国政府は前向きな対南シグナルが発信された金総書記の施政演説後も、2回にわたる国家安全保障会議(NSC)常任委会議(9月30日、10月7日)の後、「軍事的緊張を高めてはならないという点」と「朝鮮半島情勢の安定的維持」が「非常に重要」だと強調するなど、北朝鮮側に「軍事行動の自制」を遠まわしに求め、慎重モードを維持してきた。「労働党創建記念日が無事に過ぎるまでは安心できない状況」(政府高官)という状況判断による北朝鮮に対するシグナルの発信と言える。労働党創建記念日が「静かかつ無事に」過ぎただけに、政府がこれまでの「慎重モード」よりもっと積極的な対北行動に出る可能性が高いという期待混じりの見通しも示されている。

朝鮮労働党創建76周年記念日の今月10日午後、平壌の金日成広場で行われた「青年学生たちの夜会」の様子/朝鮮中央通信・聯合ニュース

 一方、「労働新聞」の報道によると、10日の「党創建76周年」を契機に、慶祝公演「私の母」(平壌教芸劇場)▽青年学生夜会(夜間舞踏会)と祝砲発射(金日成広場)▽国立交響楽団慶祝音楽会(牡丹峰劇場)▽革命演劇「血憤万国会」(国立演劇劇場)△血の海歌劇団の野外公演(平壌大劇場前)など、さまざまな祝賀行事が行われた。

イ・ジェフン先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/1014659.html韓国語原文入力:2021-10-11 22
訳H.J

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