本文に移動

駐韓大使ら、トランスジェンダー軍人を追悼し「真の自分になってこそ能力も発揮」

登録:2021-10-09 08:03 修正:2021-10-09 10:41
アムネスティ・インターナショナル韓国支部とトランス解放戦線が記者会見 
駐韓欧州連合大使「トランスジェンダーの人権のために行動する」
トランス解放戦線のキム・ギョウル代表が今月8日午後、ソウル龍山区梨泰院広場で開かれたトランスジェンダー可視化キャンペーン「ランス、お誕生日おめでとう」でキャンペーンの意味について発言している/聯合ニュース

 「トランスジェンダーはどこにでもいますが、どこにもいない存在としてみなされてきました。死を哀悼する代わりに、互いに祝い合って生きていこうという意味で、『私たちはここにいるよ』という言葉を噛みしめたいと思いました」(キム・ギョウル・トランス解放戦線代表)

 8日、ソウル龍山区(ヨンサング)の梨泰院(イテウォン)広場には「ランス、お誕生日おめでとう」と書かれた2メートルの大きさのケーキの模型が設置された。韓国社会でトランスジェンダーが直面する人権問題を喚起し、この世に生を受けてトランスジェンダーとして生きていることを祝おうという趣旨のキャンペーン「ランス、お誕生日おめでとう」を知らせるためだ。

 同日、アムネスティ・インターナショナル韓国支部とトランス解放戦線は、梨泰院広場で記者会見を開き、キャンペーンの開始を発表した。彼らは同キャンペーンが「毎年人権侵害でこの世を去るトランスジェンダーをただ追悼するのを越え、トランスジェンダーとして生きていることを大切に思い、共に連帯していきたいというメッセージを込めた」と説明した。

 パク・ハンヒ弁護士(希望をつくる法代表)は「前日、大田(テジョン)地裁で、故ピョン・ヒス前下士(下士官)の除隊処分は違法であり取り消すという判決が言い渡された。しかし誰よりもこの判決を望み、喜んだはずのピョン前下士は私たちのそばにいない」とし、「追悼を越えて、生きることについて語りたいと思う。現在もこの社会で共に生きているトランスジェンダーたちが、これ以上差別と嫌悪に苦しむことがないよう、共にその人生を応援し、連帯して、祝うことに参加を呼び掛けたい」と述べた。

 マリア・カスティーヨ・フェルナンデス駐韓欧州連合大使は「昨日トランスジェンダー軍人のピョン・ヒス下士事件に関する行政裁判所の判決があったため、今日のこの場がより時宜にかなっていると思う」と発言を始めた。彼女は「韓国ではこの数年間でトランスジェンダー人権運動は成長したが、トランスジェンダーに対する差別は軍隊内部を含め、様々な形で続いている」とし、「欧州連合はトランスジェンダーの人権増進と保護のために持続的に率先して、全世界で行動する」と明らかにした。

 フィリップ・ターナー在韓ニュージーランド大使は、ニュージーランド軍の軍隊内のトランスジェンダーに対する政策を紹介し、「ニュージーランド軍は国民が真の自分になってこそ最高の能力を発揮できると考える」と述べた。 「こうした政策はニュージーランド国防分野のリーダーたちの全面的な支持を受けている。それが正しいだけでなく、ニュージーランド軍の任務遂行の効率性を向上させると考えるからだ」とし、「ニュージーランドの経験が韓国でこの問題を取り上げる時に役立つことを願う」と述べた。

 前日、大田地裁行政2部(オ・ヨンピョ裁判長)は、ピョン前下士が陸軍参謀総長を相手取って起こした除隊処分取り消し請求訴訟で、原告勝訴判決を言い渡した。2019年に性別適合手術を受けたピョン下士は、手術後も継続して服務することを望んだが、陸軍は「心身障害」を理由に、昨年1月23日に強制除隊処分を下した。ピョン前下士は強制除隊取り消しを求める行政訴訟を起こしたが、今年3月に清州の自宅で遺体で発見された。ピョン前下士の遺族は、原告の資格を受け継ぎ、行政訴訟を続けてきた。

キム・ユンジュ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1014512.html韓国語原文入力:2021-10-09 00:54
訳H.J

関連記事