2030年の国家温室ガス削減目標(NDC)を、2018年比35%以上削減することを明示した「気候危機対応のための炭素中立(カーボンニュートラル)・グリーン成長基本法」(炭素中立基本法)が先月31日、韓国の国会本会議で成立した。気候・環境団体は「国際勧告に及ばない削減量に規定し、将来世代に削減負担を押しつけた法」だと批判した。
同日、国会本会議を通過した炭素中立基本法には「政府は2050年のカーボンニュートラルを目標に、環境と経済の調和のとれた発展を図ることを国家ビジョンとする」、「政府は2030年までに、2018年の排出量比35%以上の範囲内で大統領令で定める割合を削減することを中長期目標とする」などの内容が含まれている。同法が議決されたことで、韓国は欧州連合(EU)、英国、フランス、ドイツ、カナダ、日本などに続き、世界で14番目にカーボンニュートラルを法制化した国になった。
気候・環境団体と政界では、カーボンニュートラルを法制化したのは意味があるとしながらも、2030年のNDC数値が国際社会の勧告水準をかなり下回っていると批判した。
環境団体グリーンピースは同日、声明を発表し、「カーボンニュートラルを国家目標に定め、法制化したことは意味がある」としながらも、「2030年の目標を国際社会と科学界の基準に合致するよう規定せず、『2018年比35%以上』だけを明示したことに失望した」と明らかにした。
気候危機非常行動も立場声明を発表し、「(同法案の)2030年削減目標は、未来世代に炭素削減の負担を押し付けるという指摘を免れないだろう」とし、「気候危機『対応』のための法律ではなく、気候危機対応を『放棄』した法案として記憶されるだろう」と批判した。
正義党のカン・ウンミ議員は同日の本会議で、炭素中立基本法処理を糾弾する反対討論を行い、「失望を禁じえない」と批判した。カン議員は「2030年のNDCは2010年の排出量の45%以上を削減してこそ国際勧告基準に合致する」とし、「これを韓国に適用して2018年基準に換算すれば50.4%削減という数値が出るが、今回の代案はわずか35%以上」だと指摘した。さらに「こうした削減量で子どもたちに安全な未来を語ることができるだろうか」と述べた。
法案に明示された「グリーン成長」に対する批判も相次いだ。気候危機非常行動は「未曾有の気候災害に対抗するには、経済成長ではなく気候危機対応が優先されなければならない」とし、「今回の法案は失敗したグリーン成長を取り入れ、気候危機対応の足を引っ張る格好だ」と批判した。また「成長と利益を優先した既存のシステムをそのまま維持するための法案」だと付け加えた。カン議員は反対討論で「炭素排出源を画期的に減らそうという気候法の題名と各条項に、李明博(イ・ミョンバク)政権時代の国土破壊の亡霊である『グリーン成長』をあえて入れた理由は何なのか」とし、「グリーン成長は炭素中立目的を損ない、むしろ気候危機を脅かすグリーンウォッシング(偽装環境主義)用語」だと述べた。