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日本の経済産業省と韓国の産業部、気候危機対応がなぜ異なるのか

登録:2021-06-19 03:34 修正:2021-06-19 11:25
[気候ニュースを読む] 
日本、2030年の温室効果ガス削減目標の引き上げを決定 
再生可能エネルギーの拡大に日本企業も賛成 
韓国全経連「原発活用」「支援必要」主張 
「韓国産業界が積極的になれば政府の負担を軽減するだろう」
日本の菅義偉首相(左)が今年4月22日、東京で地球温暖化対策推進本部を開催し、2030年度の温室効果ガス排出量を2013年度に対し46%削減するとの方針を明らかにした。この目標は、従来の26%削減を大幅に引き上げるもの。右は小泉進次郎環境相/共同ニュース・聯合ニュース

 4月22日から行われた気候変動サミットの前に、日本は2030年度の温室効果ガス排出削減(NDC)目標を2013年度に対し46%削減することを発表した。従来の目標であった26%削減を大幅に上回るものだ。その後、小泉進次郎環境相が削減目標設定の理由を問われ「シルエットが浮かんできた」と答えたことが物議を醸したが、目標引き上げの背景には日本の経済産業省と経済団体連合会(経団連)の再生エネルギー拡充の意志があった。

日本の発表後の日本政府とメディアの動向を見ると

 4月末と5月初めに駐日韓国大使館が日本の政府とメディアの動向をまとめた文書「日本政府NDC引き上げ関連後続措置」などによると、日本も韓国と同様、カーボンニュートラルへと向かう道は順調だとばかりは言えなさそうだ。

 梶山弘志経済産業相は、温室効果ガス削減目標の引き上げ発表翌日の4月23日の記者会見で、2030年までに再生可能エネルギーを最大限増やし、「脱炭素電源」(二酸化炭素を排出しない非化石電源)の割合を50%以上に増やすと発表した。

 これについて駐日韓国大使館は「日本国内で排出される二酸化炭素の約40%が電力から発生することから、温室効果ガス削減目標の達成のためには火力発電の縮小が避けられないと(日本は)判断した」と、決定の背景を説明した。ただし、再生可能エネルギーの普及拡大は難航しうることと、原発の割合を20%に保つという現行の目標も紹介している。

削減目標引き上げに対する日本政府の自信は? 産業界の支援

 日本政府による温室効果ガス削減目標の引き上げに対しては、日本の産業界の支持があったという分析が出ている。日本の気候変動対策に関わる企業や自治体、NGOなどの連合体である気候変動イニシアティブ(JCI)に参加中の92の日本企業は1月、「高い目標が定まれば、再生可能エネルギーの導入を加速させ、日本の企業は脱炭素化の進む世界のビジネスの中でより大きな役割を果たし、気候危機回避に向けた挑戦に一層積極的に貢献できるようになります。…2030年度の再生可能エネルギー電力目標を40~50%とすることを求めます」とのメッセージを発表した。

 このメッセージにはソニー、パナソニック、日産、ソフトバンク、ニコン、アサヒグループホールディングスなどの日本の各分野の主要企業、経団連を代表する企業である東芝も参加している。

 ある炭素中立委員会の関係者は「世界的な日本の諸企業は、いずれにせよ温室効果ガス削減などの変化を求められる現実の中で、先んじて対応することを決めた」とし「日本の産業界が政府寄りだということは理解しているが、民間部門のカーボンニュートラル戦略が切実に求められる状況において産業界が自発的に参加するというのは、政府の負担を軽くするだろう。韓国政府としては非常に羨ましいこと」だと述べた。

韓国の産業界は「自国産業の保護と炭素中立目標の並行」を要求

 韓国の状況は日本とは多少異なる。韓国の産業通商資源部は気候変動サミットの前に、現実的な理由を挙げて気候危機対応のスピード調節を要請する資料を発表した。産業部温室効果ガス削減チームが作成したこの資料は、「NDC目標の引き上げは、産業競争力、電力需給などの国家経済の全分野に直接的な影響を及ぼすため、引き上げ水準についての十分な検討が必要」と強調している。さらに「韓国の経済・産業に及ぼす影響の分析と十分な社会的議論・合意を経て、耐えうる水準に決定する予定」と述べている。また「特に産業競争力が損なわれぬよう、産業界などとの十分な協議を通じて目標設定を進める」と付け加えている。

 産業部のこのような判断は、産業界の雰囲気を反映したものだ。国内のある企業の広報チームは「政府が予算を拡充して企業負担を軽減する手続きが先に出てこなければ、企業は安心して動けない」と語った。韓国において温室効果ガス排出量で上位を占めるある大企業は18日、本紙に対し「政府が2030年の削減目標を再修正しているが、企業の抱く最大の懸念は、温室効果ガス排出に関して今後、原価負担がどれほど増えるか」だとし「世界の主要国は温室効果ガスの削減を進めつつ自国産業の保護にも総力を傾けている。韓国もやはり、大義に賛同しつつも、自国産業の保護とカーボンニュートラルという目標を並行させるべき。低炭素革新技術の開発などで政府の支援が必要だ」と強調した。

 実際に、韓国の全国経済人連合会(全経連)は4月23日、「カーボンニュートラル政策には共感するが、現場の困難さが政策に反映されるべき」だとし、気候危機への対応にもスピード調節が必要だとのメッセージを発している。また5月28日には「2050カーボンニュートラルに原子力発電を積極活用すべき」とし、韓国国内の「脱原発」基調を維持している文在寅(ムン・ジェイン)政権と食い違う主張をしている。16日にはムン・スンウク産業通商資源部長官が原発輸出協力のためにチェコへと向かっており、産業界と足並みをそろえている。

日本の自民党政権と経団連の長年の協力関係にも注目

 日本専門家は、日本の産業界と自民党政権との特別な関係を考慮すべきだと説明する。昨年、『日本学報』に発表された論文「日本の経団連の政治的関連性に関する研究」(第一著者は東国大学校日本語日本文学科修士課程のキム・ヒョンジョン)に監修者としてかかわった東国大学日本学科のソン・ジョンヒョン教授は、「経団連は敗戦後に発足してから、ずっと自民党との協力関係を維持している。そのため、現与党の自民党が進める政策に経団連は当然同調するだろう」と説明した。さらにソン教授は「菅首相の前の安倍首相時代から、自民党政権は『ソサエティー5.0』というキャッチフレーズを掲げ、第4次産業を現実社会に結び付けると述べてきた。そのため、炭素排出量の低減や環境関連の規制などは韓国より進んでいるといえる。ただ、日本社会も韓国のように、どのように具体的かつ実質的に実現するかは議論が続いている」と説明した。

チェ・ウリ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/environment/999987.html韓国語原文入力:2021-06-18 16:09
訳D.K

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