ワクチン接種率の高い英国とイスラエルでは、新型コロナウイルスのデルタ株によって再び流行が拡大しているが、死者数はそれほど増えていないことが分かり、「迅速な予防接種が感染と死亡とのつながりを断ち切った」との評価が出ている。
ロイター通信の26日(現地時間)の報道によると、同日の英国における新型コロナ新規感染者数は1万8270人。今年2月5日(1万9114人)以来最も多い水準だ。英国内の1日の感染確認数は、今年1月8日には6万7000人にまで増加したものの、ワクチン接種の進んだ先月初めには1000人台にまで減少した。その後、デルタ株の拡散によって再び増加している。これを受け英国は、今月21日に予定されていたマスクの着用、人と距離を取ること、在宅勤務などの防疫措置の緩和を4週間延期した。英国ではデルタ株がコロナ感染の98~99%を占めている。
しかし同日の新たな死者は23人で、20人台を保った。ロイターはこれについて「迅速な予防接種が感染と死亡とのつながりを断ち切ったようだ」と報じた。感染者数の増加推移が類似していた昨年9~10月、一日の死者が10人から70人の間を行き来していたことと比べても、死者数は少ない。英国では、同日までに1次接種を終えた人は全人口の83.7%、2次接種まで完了した人は61.2%を占める。
イスラエルでもデルタ株によって感染者が増加し、再び屋内でのマスクの着用を義務付けた。この日「エルサレム・ポスト」などの現地メディアは、イスラエル保健省が前日正午から全国に屋内でのマスク着用を義務付けたことを報じた。当初の計画より1日繰り上げての実施となった。
イスラエルは世界で最速レベルのワクチン接種により、今月15日に世界で初めて屋内でのマスク着用義務措置を解除したが、約10日後に再びこれを復活させた。また病院や福祉機関を訪問したり、そこで働いているコロナ非感染者、自主隔離対象者に対しては、屋外におけるマスク着用も義務付けた。
イスラエルの新規感染者は4月から5月にかけて0人にまで減少するなど、1~2桁にとどまっていたが、今月21日(125人)から25日(208人)までの5日間には3桁にまで増えている。イスラエルのナフタリ・ベネット首相は22日(現地時間)、「不幸にもイスラエルは国内でデルタ株が拡散する入り口に差し掛かっており、感染源が不明の事例も出ている」と明らかにした。
しかしイスラエルでも、コロナによる重症患者や死者は数十人台にまで減っている状態が保たれている。25日に発生した重症患者は26人で、昨冬の1日1200人の2%程度にとどまっている。死者も、今月10日に10人が報告された後は発生していない。イスラエルは現在、1次接種率が61.2%、2次接種率が57.0%。イスラエルのコロナ防疫責任者であるナフマン・アッシュ博士は国営のイスラエル放送で「最近、新規感染者が急増する地域が増えているが、再度の流行とは考えていない」とし「高いワクチン接種率のおかげで重症患者は多くは発生していない」と述べた。