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65~69歳の「若い高齢者」55%が賃労働

登録:2021-06-08 02:05 修正:2021-06-08 14:41
福祉部による3年ごとの高齢者実態調査 
 
高齢者の74%は生活費を工面するために労働 
65~69歳の経済活動の割合、10年あまりで40%→55% 
高齢者全体では30%から37%に増加 
子がくれる生活費などの私的移転所得の割合は急減 
子と別居の高齢者単独世帯は80%に迫る
ある大学の清掃労働者が早朝に出勤し、トイレの洗面台を拭いている=資料写真//ハンギョレ新聞社

 子と別居して働く65歳以上の高齢者が増えている。特に65~69歳の「若い高齢者」の経済活動参加率は55.1%で、12年前と比べて15ポイント以上増えている。高齢者の74%は、働く理由として「生活費の工面」をあげた。

 保健福祉部は7日、韓国保健社会研究院(保社研)が実施した「2020年高齢者実態調査」の結果を発表した。高齢者実態調査は老人福祉法に則り2008年から3年ごとに実施されているもので、今回の調査は保社研が昨年3月から11月まで全国1万97人の高齢者を対象として実施した。

 調査結果によると、65歳以上の高齢者の経済活動参加率は2008年が30%、2017年が30.9%、2020年が36.9%で、着実に上昇している。特に65~69歳で上昇幅が大きく、2008年は39.9%だったのが、2020年は55.1%と半数を超えている。就業業種は48.7%が単純労務職、13.5%が農漁業、12.2%がサービス職。月150万ウォン(約14万7000円)以上の勤労所得があるのは働く高齢者の47.9%のみだった。残りの半分ほど(52.1%)の月収は150万ウォンに満たなかった。

 経済活動を行っている理由は「生活費の工面」が73.9%で最も多く、「健康維持」(8.3%)、「小遣い稼ぎ」(7.9%)、「暇だから」(3.9%)などのその他の理由はそれほど多くなかった。特に、農村の高齢者(79.9%)と一人暮らしの高齢者(78.2%)で生活費工面のための経済活動への参加の割合が高かった。どんな消費負担が最も大きいかという問いには、46.6%が「食費関連の支出」と答え、続いて「住居管理費に関する費用」(22.3%)、「保健医療費」(10.9%)の順だった。

 特に目立ったのは、直前の2018年の調査において食費の負担が最も大きいと答えた人は18.7%に過ぎなかったのに対し、2020年は46.6%へと倍以上に増えたことだ。いっぽう医療費負担をあげた人の割合は23.1%から10.9%に減少していた。これについて保社研のイ・ユンギョン博士は「新型コロナウイルスのせいで家にいる時間が長くなったほか、国の医療費支援が増加した結果とみられる」と説明した。また「ただ地域によって大きな差がある。都市部では食費負担が最も高くなっているが、農漁村が中心の地域では冷暖房費の負担が大きいと認識するため、住居管理費に大きな負担を感じている」と付け加えた。

 経済活動に参加する高齢者が増えたことで、高齢者の所得構成にも変化が現れた。2008年には、子から受け取る生活費などの私的移転所得の総所得に占める割合が46.5%で最も高かったが、2020年には13.9%へと大幅に減少した。代わりに勤労所得の割合が6.5%から24.1%へ、事業所得が11.8%から17.2%へと上昇。その他、私的年金所得は2008年の0.6%から2017年は1.3%へとやや増えていたが、今回の調査では10.3%へと急上昇した。昨年の高齢者所得で最も大きな割合を占めたのは公的移転所得だったが、総所得の28.4%で、2008年の28.4%から変化はなかった。韓国の高齢者の総所得に占める公的移転所得の割合は、経済協力開発機構(OECD)平均の57.1%(2019年現在)の半分にも満たない。ドイツ(70.6%)はもとより、日本(49.2%)や米国(41.4%)などよりも低い。

 子と別居する「高齢者単独世帯」(独居高齢者世帯、または高齢者夫婦世帯)は2008年の66.8%から2020年は78.2%に上昇した。子との同居を希望する割合は2008年の32.5%から2020年は12.8%へと低下した。今後も高齢者単独世帯の増加の流れは続くことが予想される。

 体が不自由になったら療養所などの施設で生活することを望む高齢者は31.3%に過ぎなかった。56.5%は在宅サービスを受けながら現在住んでいる家で暮らすことを希望し、7.2%は配偶者や子、兄弟姉妹と共に暮らすことを、4.9%は子または兄弟姉妹の近所への転居を希望していた。

 福祉部のヤン・ソンイル第1次官は「これまでの韓国社会は、全般的に高齢者のことを受動的で依存的な対象だと認識してきたが、実態調査の結果を見れば、今後の高齢者政策は高齢者を積極的な主体と認識し、高齢者が自ら希望する老後の生活を志向できるかたちへと転換する必要がある。今後は内実のある高齢者雇用、社会参加、社会貢献活動が可能となるよう政策を推進するとともに、医療と介護・安全が連係した地域社会において統合的なケアを行う政策を積極的に推進する」と述べた。

チェ・ハヤン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/998275.html韓国語原文入力:2021-06-07 11:50
訳D.K

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