ロイター通信が、中国の電気自動車(EV)用電池メーカーのCATLが上海に大規模な工場を新設する計画だと報じた。米EVメーカー・テスラの中国上海工場の周辺に電池生産基地を作り、テスラの物量をかっさらうという戦略だ。
「第2の半導体」と呼ばれるEV用電池市場の主導権争いが、ますます激しくなっている。韓国と中国企業各社が開発したEV用電池の新製品も、近いうちに市場にあふれだす予定だ。各社の電池の技術的特徴や長所・短所は何か、気になる部分を7問7答の形で解いてみる。
-なぜEV用電池が重要なのですか。
「ガソリンと軽油を入れる従来の内燃機関自動車はエンジンが最も重要ですね。EVではこのエンジンの役割をするのがバッテリー(電池)です。EVの電池は、単に電気を貯蔵する燃料タンクではなく、EVの力や走行距離など性能を直接左右するからです。同じ時間でより多くの電気エネルギーを作る効率の高い電池を付けた方が、電気モーターをより速く回し、車も遠くまで走らせることができます」
-EV用電池はどうやって作られるのですか。
「EVに搭載される電池はリチウムイオン二次電池と呼びます。簡単に言うと、金属物質であるリチウムの化学反応を利用して、充電して再度使える電池なのです。リチウムは電子をよく放出する気まぐれで不安定な物質です。EVに充電器を差し込むと、電池のプラス極にあったリチウムイオンが電子と分離され、マイナス極の黒鉛に移動しながら電池が充電されます。車が走る時は再びリチウムイオンが液体電解質を通過してプラス極に移動し、電池は放電します。この時、リチウムから分離した電子も電線に乗って再びプラス極に移動します。この電子の移動過程で電気が発生します」。
-どの企業が1位ですか。
「EV市場調査会社のSNEリサーチによると、今年1~4月の世界のEV用電池市場でシェア1位を占めたのは、中国のCATLです。同期間に販売されたEVの3台に1台(容量基準)の割合で同社の電池が搭載されています。韓国のLGエネルギーソリューションは2位(市場シェア22%)、サムスンSDIは5位(5%)、SKイノベーションは6位(5%)です。韓国企業3社を合わせると、CATLと同じくらいのシェアになります」
-韓国産と中国産では何が違うのですか。
「EV用電池はリチウムのあるプラス極にどの素材を追加するかが電池の容量などの性能を決めます。韓国製の電池はプラス極にニッケル、コバルト、マンガンを主に使い、三元系電池と呼ばれます。CATLなど中国のメーカーは、高価なコバルトやニッケルの代わりに、安価な鉄やリンが入ったリン酸鉄電池を多く作ります。EV用電池はニッケルの含有量が高いほど電池の容量も大きくなります。そのため、中国製の電池は安価だが容量が低く、韓国製の電池は中国製よりも高価だが性能もよいと評価されています」
-LG、サムスン、SKの電池は何が違うのですか。
「3社ともニッケルの割合を高め、コバルトの割合を下げた三元系電池の新製品を開発中です。会社ごとに使用する細部素材が少しずつ違います。LGは、従来のニッケル、コバルト、マンガン(NCM)の電池にアルミニウム(Al)を追加したNCMA電池を今年下半期から発売する予定です。サムスンはマンガンを除いてアルミニウムを入れたNCA電池を下半期に発売します。SKはプラス極内のニッケルの比重を約90%に高めて、コバルトとマンガンの比重を5%に下げた9半々(9½½)電池を来年量産する計画です。3社とも電池のプラス極に入るニッケルの割合を90%程度に引き上げ、性能を高めるということは共通しています。一方、中国のCATL社は、高価なリチウムの代わりに同様の性質を持つ海水中のナトリウムを利用したナトリウムイオン電池を来月披露すると発表しました。実際の生産の可能性については見守らなければならないと思います」
-全固体電池とは何ですか。
「『夢の電池』とも呼ばれています。全固体電池は、電池の中でリチウムイオンが移動する通路の役割をする液体電解質を固体に変えた電池です。固体の電解質を使えば、電解液が電池の外に漏れる危険がなくなり、プラス極とマイナス極間の接触を防ぐ分離膜を作らなくても済むので、電池の容量が大きくなるというメリットがあります。ただし、商用化まではまだ遠いようです」
-中国への依存度が高いというのはどういうことでしょうか。
「韓国企業が作るEV用電池の原材料のほとんどが中国製だからです。国際エネルギー機関(IEA)によると、電池の主要な原料であるリチウムはオーストラリアとチリが全体生産量の74%(以下2019年基準)、コバルトはコンゴ民主共和国が69%、ニッケルはインドネシアが33%をそれぞれ生産してるため、特定の国家への偏り現象が激しいのです。特に、これらの鉱物のほとんどが中国で加工しているので、EV用電池市場で中国の支配力が大きいと言えます」