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【独自】新しい朝鮮労働党規約から金日成・金正日・金正恩の名前が消えた

登録:2021-06-02 06:39 修正:2021-06-02 10:24
主語のほとんどが「労働党」…名前が言及されない「3代」 
“個人による統治”から“制度による統治”へと移行 
朝鮮中央通信の今月7日の報道によると、北朝鮮の金正恩労働党総書記は今月6日、第8回労働党第2回会議で事業総化報告を行った=平壌/朝鮮中央通信・聯合ニュース

 1月9日の朝鮮労働党第8回大会で改正された新たな党規約には、金日成(キム・イルソン)や金正日(キム・ジョンイル)の個人名が一度も登場せず、序文では朝鮮労働党が主語になった内容が増えた。“個人による統治”から“党中心の制度による統治”へと重心が移動していることを示すものとみられる。

 「朝鮮労働党は偉大なる金日成-金正日主義党だ」で始まる党規約は、5年前の第7回党大会で採択(2016年5月9日)された党規約の冒頭と同じだ。しかし、その次の部分は明確に異なる。これまでの党規約では、「偉大なる金日成同志は」と「偉大なる金正恩同志は」で始まる内容が続く一方、今回改正された規約では、「金日成・金正日主義」で始まる2文目を除き、7文目まで主語がすべて「朝鮮労働党」だ。党規約の総論に当たる序文の前半の主語が金日成・金正日から朝鮮労働党に替わったのだ。第8回党大会以降、金正恩(キム・ジョンウン)労働党総書記時代の統治基調が、“個人”から“システム”へと重心を移す流れを加速化させるという宣言とみられる。

 従来の党規約の2文目は「偉大なる金日成同志は朝鮮労働党の創建者であり、永遠な首領だ」だった。そして「偉大なる金日成同志は」で始まる文の2つの段落がさらに続く。5文目は「偉大なる金正日同志は朝鮮労働党の象徴であり首班である」であり、「偉大なる金正日同志は」で始まる文の2つの段落が続く。

 しかし、今回の新たな党規約は2文目に「金日成・金正日主義」は「主体思想に基づいて完全に体系化された革命と建設の百科全書であり、人民大衆の自主性を実現するための実践闘争の中で、その真理性と生活力が検証された革命的で科学的な思想」という概念規定を新たに追加し、「朝鮮労働党は」で始まる文がその後に続く。

 今回と5年前の新・旧党規約における「金日成」「金正日」「金正恩」3人の最高指導者の名前の登場回数や方式から見ても、非常に意味深長かつ確実な変化を捉えられる。新たな党規約には「偉大なる金日成-金正日主義」や「社会全体の金日成-金正日主義化」という内容(合わせて10回)を除いては一度も金日成・金正日が個別に言及されていない。新たな党規約では、金日成・金正日を“人”ではなく、“思想”(金日成-金正日主義)として取り上げているということだ。金日成が44回、金正日が40回登場した以前の党規約とは明らかに異なる。

 「敬愛する最高指導者」と呼ばれる現職の最高指導者、金正恩労働党総書記の名前は、新たな党規約で一度も明記されていない。以前の党規約では、金正恩総書記を言及した回数が15回だった。「党員は偉大なる金日成同志と金正日同志を永遠の主体の太陽として高く崇め、敬愛する金正恩同志の領導を忠誠をもって仕えていかなければならない」という以前の党規約の「党員の義務」条項(第4条1項)は、新しい党規約において「党員は党中央の領導に絶えず忠実でなければならない」に替わった。「偉大なる金日成同志と金正日同志は…人民の慈愛に満ちた親である」などといった文も削除された。

 しかし、新しい党規約で“人”としての金日成、金正日、金正恩の名前の削除が「金日成-金正日主義」の格下げを意味するわけではない。新しい党規約は「金日成-金正日主義」を「革命と建設の永遠の旗印」だと規定した。「朝鮮労働党が革命と建設を指導する上で指導的指針」という従来の党規約規定より、むしろその意味が強化された。

 変化の核心は“人治”から“党中心の制度による統治”への重心移動だ。金正恩総書記は「首領の神格化」を警戒する発言と政策を示してきた。「首領の革命活動と風貌を神秘化すれば、真実が見えなくなる」という「第2回全国党初級宣伝員大会の参加者に送った書簡」(2019年3月6日)や「簡単に観光地を提供して得をしようとした前任者たちの誤った政策」を批判し、金正日総書記の“遺訓事業”である金剛山観光地区の南側施設物の撤去を指示(「労働新聞」2019年10月23日付1面)した事例がある。以前の党規約に15回登場した「首領」という表現が、新しい規約では8回に減り、一度も明記されたことのない「党中央」という表現が新しい規約には16回も登場するという変化も、このような脈絡から理解できる。

 党大会と道・市・郡党代表会、党細胞書記大会、初級党初期大会を「5年に1度ずつ召集」するよう明文化し、「労働党総書記の委任によって党中央委政治局常務委員会委員は政治局会議を主宰することができる」という条項(28条)を新設したことなども、「党中心の制度による統治の強化」に向けた布石と言える。

イ・ジェフン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/997605.html韓国語原文入力:2021-06-02 02:40
訳H.J

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