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[社説]80年ぶりに「北主導革命統一論」を廃棄した北朝鮮

登録:2021-06-02 05:55 修正:2021-06-02 06:35
韓国における憲法のような労働党規約から削除 
南北格差を認定…「体制生存」集中への意向 
北朝鮮による改訂の意図を綿密に把握し対応を
1月12日、北朝鮮労働党の金正恩総書記が平壌で第8回労働党大会を締めくくっている。1月5日に始まった党大会は12日までの8日間の日程を終えた=平壌/朝鮮中央通信・聯合ニュース

 北朝鮮が韓国を「革命の対象」と明記した朝鮮労働党規約の「北主導革命統一論」の文言を1月の党大会で削除した。この事実は本紙の取材によって確認された。北朝鮮社会での労働党規約は、韓国における憲法のような絶対的権威をもつ最上位の規範だ。これは、北朝鮮が解放以来80年近く韓国との関係で維持してきた、いわゆる「赤化統一論」を事実上廃棄したことを意味する。今後の北朝鮮の対南政策が「統一」より「共存」の模索を強調する可能性が高まった。

 本紙が先月31日に朝鮮労働党の新規約の序文を確認した結果、北朝鮮は「朝鮮労働党の当面の目的」を、「全国的な範囲で民族解放民主主義革命の課業を遂行」から「全国的な範囲で社会の自主的かつ民主的な発展の実現」に変更した。北朝鮮は解放直後の1945年12月に「民主基地論」を提唱して以来、「北主導革命統一論」を固守してきた。北朝鮮は朝鮮半島の北側に全朝鮮の革命のための基地(民主基地)を建設したが、韓国は米帝国主義者らにより強制的に占領され「未解放地区」として残っているため、米帝国主義の侵略軍を追い出し植民地統治を清算し、南朝鮮の人民を解放して全国統一を完成しなければならない(国土完整)と主張した。北朝鮮は国土完整論理を掲げ、1950年に朝鮮戦争を起こした。民主基地論は1月まで労働党規約に「民族解放(人民)民主主義革命」として定着していた。

 それ以外にも「北主導革命統一論」を意味する党規約の多くの文言が、大幅に削除されたり修正された。これまでの労働党規約の序文の「朝鮮労働党は、社会の民主化と生存の権利のための南朝鮮人民の闘争を積極的に支持・応援」するという文言も消えた。北朝鮮はこの文言を、1960~70年代の大規模な武装スパイ浸透や韓国国内での地下組織設立などの根拠にした。

 北朝鮮がこれらの規約をなくした背景には、冷戦終結後の北朝鮮の経済難で明確になった南と北の国力の差が挙げられる。現実性が希薄になった北朝鮮主導の統一を取り下げ、当面は体制生存に集中するという意味だと読みとれる。2012年に北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が政権を掌握して以来、民族より国家を一貫して強調してきた「二つの朝鮮」(Two Korea)志向を、党規約に明示的に入れたとみられる。

 労働党規約の「北主導革命統一論」が韓国の国家保安法の存続の根拠であるため、韓国社会の国家保安法存廃論争にも影響を及ぼすものとみられる。国家保安法は、赤化統一を最上位規範としている反国家団体である北朝鮮に対抗するために必要だという名目で維持されてきた。労働党規約と保安法は“敵対的共存”の関係であるわけだが、片方が廃止されれば、もう片方の存立根拠も揺らぐことになる。

 北朝鮮の対南政策の変化は、労働党規約の全文が公開され北朝鮮の行動が具体化されれば判断できるはずだ。今回の規約改訂は南北関係全般に大きな影響を及ぼしうるだけに、政府は北朝鮮の意図を綿密に把握し、対応と戦略を設けなければならない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/997456.html韓国語原文入力:2021-06-01 16:34
訳M.S

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