テレグラム「博士ルーム」での性搾取映像の制作・流布、犯罪収益隠匿の罪で、一審において懲役45年を言い渡されたチョ・ジュビン被告が、控訴審で懲役42年に減刑された。博士ルーム事件の一審では40年を、追加起訴された犯罪収益隠匿事件の一審では懲役5年をそれぞれ言い渡されたが、控訴審では2つの事件が合併されたことで総量刑が減少した。
ソウル高裁刑事9部(ムン・グァンソプ裁判長)は1日、わいせつ物の制作・配布および犯罪団体組織などの容疑で起訴されていたチョ被告に対し、懲役42年を言い渡した。一審では博士ルーム事件で13年を、犯罪収益隠匿事件で懲役2カ月をそれぞれ言い渡されたK(ハンドルネーム:ドナルド・プーチン)被告は、懲役13年を言い渡された。一審で懲役15年を言い渡されたC(ラロ)被告は懲役13年に減刑された。ともに起訴された共犯者のL(太平洋)被告には長期10年、短期5年が、J(オデン)被告には懲役7年が、L(ブルー99)被告には懲役8年が一審と同様に言い渡された。
裁判所は「オフライン性犯罪とは比較できないほど多数の被害者を生み、被害程度も瞬時に回復不可能な水準に拡大するため、犯罪手法は非常に深刻」だとし「人と直接対面しないデジタル性犯罪の特性上、加害者は犯罪行為に参加しながらも一種の娯楽を楽しむように罪の意識が感じられず、(被害者を)同等の人格体ではなく奴隷と呼び、利益追求の対象として、社会の健全な性観念を歪曲させた」と指摘した。
控訴審は、2019年9月に活動の程度に沿った等級制システムが導入されたテレグラムの小規模グループチャットルーム「市民議会ルーム」が開設から2~3週間で閉鎖されたことから、市民議会ルームのすべての会員が犯罪集団の加入者だとは必ずしもみなせないとしながらも、その頃から博士ルームが性搾取物の制作・配布の犯罪を繰り返し行える組織的な構造と体系を整えていたため、犯罪集団に当たると判断した。チョ被告を中心として、K被告らが結合体を作り、反復的に活動したメンバーがさらに結合してチョ被告を助け、被害者を誘引する広告や性搾取物の制作・配布などの方法を通じて犯罪集団を維持するための活動を積極的に行っていたというのだ。同高裁は「チョ被告が制作した性搾取物の配布行為は法律上認められない反人倫的な行為であるということが未必的ながら認識されており、博士ルーム開設後の犯罪頻度や回数などがチョ被告1人での犯行時に比べ圧倒的に増加していることは、犯罪集団による組織的な行為にもとづいたものと考えるべき」と説明した。
チョ被告は2019年5月から昨年2月にかけて、児童や青少年を含む女性被害者たちを脅迫して性搾取映像を制作し、テレグラムのグループチャット「博士ルーム」を通じて販売・流布したとして起訴された。チョ被告は2019年9月に「博士ルーム」という犯罪団体を組織した容疑などで追加起訴され、昨年11月の一審で懲役40年を言い渡された。今年2月には博士ルームの犯罪収益を仮想通貨で受け取って両替し、1億800万ウォン(約1070万円)を隠匿した疑いで追加起訴され、懲役5年の判決を受けたことで、一審の量刑が合計で懲役45年に増えた。チョ被告は最近、3人の女性を脅してヌード写真を撮らせ、これを自身に送らせていた疑いでまたも起訴された。裁判所はこの日、「『博士ルーム』事件と犯罪収益隠匿事件が控訴審で併合されたため、当審では競合犯の規定上、一つの刑を言い渡さなければならない。長期間の受刑生活を通じて矯正される可能性が全くないとは言えず、チョ被告の父親の努力で被害者の一部とはさらなる合意が成立している」と量刑理由を説明したうえで、「チョ被告は最近、この事件と関連のある別件で起訴され、追加で刑が科される可能性もある」と付け加えた。
判決直後、チョ被告の父親は、チョ被告が自ら作成した反省文を公開した。裁判所に提出した裁判分をその日のうちに公開までしたのだ。反省文には「今、私の心の中では非常に鋭い雨が止むことを知らない。これからは毎日裁判を受ける心情で生きていくつもりだ。博士という仮面に隠れて底なしに卑劣だった私の過去がとても恥ずかしい」との内容が記されている。