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ワクチン、北朝鮮核問題、半導体…韓米首脳会談の主要争点の行方は

登録:2021-05-18 06:07 修正:2021-05-18 06:47
文大統領「今回の訪米をワクチン協力強化の契機にする」 
21日に初の韓米首脳会談を控えた両国間の主要争点は
文在寅大統領が今月17日、大統領府で開かれた首席・補佐官会議で発言している/聯合ニュース

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領と米国のジョー・バイデン大統領の初の首脳会談が迫り、会談の成果をに対する関心が高まっている。同会談は今後4年間の韓米関係の大枠を決めるだけでなく、新型コロナウイルスの大流行と半導体など先端産業をめぐる米中対決が本格化する時期に行われることから、これまでのどの首脳会談よりも韓国社会に深く広い影響を及ぼす可能性が高い。

 文大統領は17日に開かれた首席補佐官会議の冒頭発言で、「防疫に万全を期し、ワクチン接種を滞りなく行い、少しでも早く日常を回復できるよう、最善を尽くす。今回の訪米を、ワクチン協力を強化し、(韓国を)ワクチン生産のグローバル・ハブにする契機にする」という意志を改めて明らかにした。韓国政府がワクチンの供給など新型コロナ防疫をめぐる韓米協力の強化を会談の主な議題に据えていることをうかがわせる。

 米国は一時、自国内の防疫を優先視する姿勢を示してきたが、13日にワクチン接種を完了した人に対するマスク着用の義務をなくすなど、急速に余裕を取り戻している。今回の会談を通じてワクチン供給日程をどれだけ繰り上げ、韓米バイオ企業間の「ワクチン・パートナーシップ」をどこまで具体化できるかに注目が集まっている。

 韓米首脳が意見をまとめなければならない他の主要イシューとしては、北朝鮮政策▽中国政策▽半導体など先端分野の協力などがある。このうち主要な議題はやはり北朝鮮の核問題だ。文在寅大統領は10日に行った就任4周年の特別演説で、「長い熟考の時間もそろそろ終わりを迎えている。米国と北朝鮮の対話を復元し、平和協力の歩みを再び踏み出すための道を模索したい」と述べ、北朝鮮の前向きな反応を促した。先月末、バイデン政権が北朝鮮政策の見直し結果の大枠を公開し、外交を通じて北朝鮮核問題を「漸進的かつ段階的」に解決するという意志を明らかにしただけに、政府は今回の首脳会談を通じて北朝鮮が応えられる韓米共同の誘引策を引き出すため、全力を尽くすものとみられる。

 文大統領はまず、韓米両国が「朝鮮半島の完全な非核化」に対する金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮国務委員長の誓約を盛り込んだ6・12シンガポール共同宣言を継承するという内容を、共同宣言文などに取り入れることを目指すとみられる。さらに一歩踏み込んで、北朝鮮が対話の前提条件として掲げてきた「敵視政策の撤回」の核心の内容である大規模な韓米合同軍事演習の調整(または停止)、米国が強くこだわる北朝鮮の人権問題など、難題をどう処理するかも関心事だ。

 米国が推進中の対中国牽制戦略に韓国がどこまで足を踏み入れるかも、今回の会談で避けては通れない主要イシューだ。日本は先月16日に開かれた米日首脳会談で、中国が「核心利益」として挙げてきた台湾問題を共同宣言に言及し、米国の対中国戦略にさらに深く密着する姿を見せた。一方、韓国政府は中国牽制のための安全保障協議体である「クワッド」参加など関連質問が出るたびに「クワッドへの参加に対する米国の要請はなかった」、「韓国の新南方政策と米国のインド太平洋政策のバランスの取れた協力を進める」という消極的な答弁にとどまった。しかし最近、政府が韓米間のワクチン協力を強調し、変化の兆しを見せており、従来の立場から意味ある変動が起こる可能性もある。

 最後のイシューは、半導体など先端産業分野の韓米協力強化だ。バイデン大統領は就任直後の2月25日、半導体など重要4品目のサプライチェーンが安全かどうかを100日間にわたり点検するよう指示する行政命令に署名した。中国が強みを持っている第5世代通信網(5G)や人工知能(AI)、ビッグデータ分野の競争で勝つために、これを裏付ける基幹産業である半導体などで強みを見せる韓国や台湾などを結集させ、サプライチェーンの再編を試みているのだ。韓国企業はこれに積極的に参加する立場であり、今回の会談を機に大規模な対米投資計画が発表されるものとみられる。

キル・ユンヒョン、イ・ワン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/995526.html韓国語原文入力:2021-05-17 21:20
訳H.J

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