先月の慶尚北道地域における新型コロナウイルスの感染者の半数は、感染力が20%ほど強い米カリフォルニア変異株への感染と推定される。しかし政府は、カリフォルニア変異株とインド変異株への感染者については、英国変異株、南アフリカ変異株、ブラジル変異株への感染者とは異なり、接触者を特に把握しておらず、かなり大きな管理の隙となっているとの指摘が出ている。京畿道では、地域社会での感染者のうち6人からワクチンの効果を弱める南ア変異株が新たに確認され、懸念が高まっている。
中央防疫対策本部のパク・ヨンジュン疫学調査チーム長は4日の定例ブリーフィングで「慶尚北道地域の先月の感染者から73点の検体を得て遺伝子分析を行い、カリフォルニア変異株が35点から確認された」と発表した。防疫当局は集団感染を含め、地域ごとに感染者の15%ほどから標本を抽出し、変異の有無を調べている。このような分析の結果、慶尚北道地域ではカリフォルニア変異株の検出率が先月47.9%に達したことが確認されたのだ。疾病管理庁が先月29日に発行した「週刊健康と疾病」に発表された3月の変異株の状況分析でも、慶尚北道でのカリフォルニア変異株の検出率は48.7%にのぼった。首都圏の3.9%、全国平均の6.4%に比べてはるかに高い。
防疫当局は、世界保健機関(WHO)がカリフォルニア変異株を「その他の変異株」と分類していることを理由として、疫学調査による接触者の事例把握や別途の管理などは行っていないことも明らかとなった。WHOは、感染力や致命率などの特性が十分把握された英国変異株、南ア変異株、ブラジル変異株の3種を「主な変異株」に分類している。しかし米国疾病予防管理センター(CDC)は、カリフォルニア変異株の感染力が従来のウイルスより20%ほど強いと判断し、独自に「主な変異株」に分類して管理している。ソウル大学医学部のキム・ユン教授(医療管理学)は「その他の変異株はそれほど危険ではないというわけではなく、まだどれだけ危険なのか分かっていない変異株と理解しなければならない」とし「英国変異株の感染力が1.3~1.5倍で、カリフォルニア変異株の感染力はそれより少し弱いものの、特定地域で大きく拡散していることが捕捉されていたのなら、とっくに接触者を管理し防疫対策などを立てておかねばならなかった」と述べた。
4日午前0時までに韓国で発見されているカリフォルニア変異株は416件、インド変異株は33件。同じ期間に発見された英国変異株が551件、南ア変異株が71件、ブラジル変異株が10件であることに比べても、少なくない数だ。パク疫学調査チーム長は「変異ウイルスの拡散の程度は(変異の)検出率で推定している」と説明した。感染者の15%程度で遺伝子分析を行っているが、この中からどれほど変異株が検出されるかで、変異株の拡散規模を推定するというのだ。
政府はこの日、蔚山(ウルサン)地域での最近6週間(3月第2週~4月第2週)の英国変異株の検出率は60%(80点の検体の分析の結果、51人が変異株)に近いという分析結果も新たに提示した。これについてパク疫学調査チーム長は「3月中旬以降から地域社会での追跡管理の一部に漏れがあったことで、さらなる感染のつながりが遮断されなかった結果と判断している」と述べた。隠れた感染者を十分に捜し出せず「感染経路調査中」の割合が増える間に、英国変異株が優勢となってしまったとの説明だ。政府は蔚山地域の検査所を増やすとともに、感染者の接触者の管理を強化するなど、変異株のさらなる拡散の防止対策を3日から実施している。
先月25日から今月1日にかけて、地域社会での感染者の中から南ア変異株が新たに8件見つかったことも、緊張を高める要因となっている。このうち6件は京畿道、1件は仁川(インチョン)、1件は釜山(プサン)で確認されたもの。翰林大学江南聖心病院のイ・ジェガプ教授(感染内科)は「まだ発見された数は少ないものの、京畿道は1日の感染確認数が多い地域であるだけに、変異株がさらに感染し、ソウルに拡散する可能性は高い」と語った。同期間の国内の地域社会での感染者の、主な3種の変異株の検出率は12.8%で、直前の週の11%より高くなっている。