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阿鼻叫喚のインド、1日38万人感染…公園・駐車場が火葬場

登録:2021-04-30 07:12 修正:2021-04-30 08:08
世界の新型コロナ患者の38%がインド 
死亡者があふれ、公園や駐車場で遺体を火葬 
一部の都市では1平方キロメートルあたり300件発生 
ヒンドゥー教の祭りなどを許可したモディ首相が「スーパー・スプレッダー」
28日、インドのニューデリーで新型コロナに感染して亡くなった人たちを火葬する様子を遺族が防護服を着て見守っている=ニューデリー/AFP・聯合ニュース

 悪化する新型コロナウイルス感染症の危機により、インドが大恐慌状態に陥っている。

 急増する新型コロナの感染者と死亡者により医療システムが崩壊し、市民の間では恐怖が広がるなか、アッサム地域では強い地震が発生した。死亡者の増加により火葬場が不足し、駐車場など街頭のいたる所で行われている遺体の火葬が、社会の恐慌の雰囲気を強めている。

 29日、インド保健家族福祉省によると、同日午前現在、新型コロナの1日の新規感染者数(前日から約24時間の州別統計値の合計)は37万9257人で、前日に出た1日の最高感染者数(36万960人)をわずか1日で超えた。累積感染者数は1800万人以上に増えた。過去1週間は毎日30万人以上の感染者が発生している。

 しかし、これは集計された公式の数値でしかなく、実際にはより多くの感染者が発生していると推定されている。3月から死亡者が急増し、7日間の平均値でみると現在は1日2800人の死亡者が集計されている。これまでの死亡者は20万人を超えているが、最近の死亡者の急増により、実際の死亡者ははるかに多いとみられている。

 インド北部のウッタル・プラデーシュ州の場合、保健担当の公務員は今月初めに1日68人程度の死亡者が発生したと報告したが、地元の新聞は、州都ラクナウだけで1日98件の新型コロナによる死亡者の葬儀があったと報じた。農村地域で新型コロナにより亡くなった人たちについては、ほとんどが公式に報告されていないのが実情だ。

 火葬場は夜通し稼動中で、死亡者の家族は長い列を作り故人の火葬を待っている。公園や駐車場など都心の空き地に薪を積み上げ、火葬する姿がまん延しているのが実情だ。このような街頭の火葬場でも、より多くの薪を焚いて火葬をはやく進めるよう要求するいざこざが起きているる。

 東北部のアッサム地域では28日、マグニチュード6.4の強い地震が起きた。地震による死亡者はまだ報告されていないが、この地域の建物や道路などのインフラが被害を受けた。余震を恐れる住民が外に出て、新型コロナの感染がよりいっそう懸念される状況だ。

 新型コロナにより最悪の被害を受けた都市の一つであるバンガロールでは、1平方キロメートルあたり約300件の新型コロナの発生が報告されていることが推定されると、BBCが報道した。

 病院の受け入れ能力が不足し、患者らの家族は自己治療のための医薬品や装置を闇市場で購入している。効能が認められていないレムデシビルのような医薬品や酸素供給機などの価格は、天井知らずに高騰している。

 世界保健機関(WHO)は感染病週報で、先週は全世界的に570万件の新型コロナの患者が発生したが、そのうちの38%がインドで発生したと明らかにした。インドで新型コロナが破局的に発生している理由は、変異ウイルスと無分別な大衆集会のためだと分析されている。

 インドではB1617という二重変異ウイルスの発生率が高く、このウイルスは感染力が強いと推定されている。インドでのワクチン接種は人口の10%近くになされており、世界でも高い接種率を記録している。接種率の速度が感染の速度に追いついていない状況だ。

 コルカタなどの東北部で最近まで続いた大規模なヒンドゥー教の祭礼や祭りが、今回の感染拡大の最大の主犯と目されている。これに加えて選挙集会もあった。ナレンドラ・モディ政権は、医療界の警告を無視し、ヒンドゥー教の祭りと選挙集会を強行したという非難に直面している。

 インド医療協会のナブジョト・ダヒヤ副総裁は、モディ首相が「すべてのコロナ関連の規定を空中に蹴とばしてしまったスーパー・スプレッダーだ」と非難した。モディ首相は27日に緊急会議を3回も開き医療機器の調達の対策などを議論し、医療機器の輸送に軍用機や列車などを投入することを決めた。しかし、政府がこのような緊急事態でも軍を動員し野戦病院を設置するなどの戦時に準ずる対策を用意できずにいるという非難が強い。

 米国などの外国も援助に乗り出している。米国は、自国の注文分のアストラゼネカのワクチン2000万回分をインドに回す一方で、酸素供給機など1億ドル(約109億円)規模の物品を支援することにした。シンガポール、ロシア、ニュージーランド、フランスも緊急医療機器を送ることを約束した。インドと紛争を繰り広げていた中国とパキスタンも支援を明らかにしている。中国は自国のワクチンを供給する意向を表明したが、インドはまだ受諾するかどうかを決めずにいる。

チョン・ウィギル先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/asiapacific/993171.html韓国語原文入力:2021-04-30 02:45
訳M.S

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