本文に移動

「ワクチン特許停止」現実となるか…米通商代表、ファイザー・アストラゼネカと会合

登録:2021-04-28 09:09 修正:2021-04-28 12:10
看護師が今月26日、米ケンタッキー州ルイスビルのリンファミリースタジアムで、注射器にファイザー製のコロナワクチンを注入している=ルイスビル/AFP・聯合ニュース

 米国の通商政策を統括する通商代表部(USTR)のキャサリン・タイ代表が26日(現地時間)、新型コロナワクチン製造会社であるファイザーのアルバート・ブーラ最高経営責任者(CEO)とアストラゼネカのルード・ドーバー副会長とオンラインで会合し、ワクチン関連の知的財産権を一時停止する問題などについて話し合ったとロイター通信が報じた。

 今回の会合は、インドなど開発途上国の新型コロナウイルスの感染拡大が深刻な水準に突き進んでいる中で行われたもの。ワクチン普及促進のため製薬会社の特許権主張を猶予しようという、開発途上国などを中心に提起された主張が力を得るか注目される。

 ロイター通信は、タイ代表がワクチンを生産する製薬会社の代表らと会ったのは、この問題に対する高い関心を反映しているということだと分析した。今月初め、タイ代表は世界貿易機関(WTO)の会議で先進国と開発途上国間のワクチンなど医薬品アクセス権のはなはだしい格差について「絶対に受け入れられないこと」だとし、危機の時期には業界にも犠牲が必要だと述べたことがある。

 タイ代表は今回の製薬会社代表との会合で、新型コロナ危機状況で「ワクチン生産と普及の深刻な格差問題を解消するための開発途上国の役割」などを含め、WTO加盟国と共に役割を果たす意思を明らかにしたとUSTRが伝えた。

 これに先立ち、インドと南アフリカ共和国はWTOに正式に「貿易関連知的財産権協定(Agreement on TRIPS)」において一部の条項の適用を猶予することを提案しており、WTOはこの問題を今月30日に議論する予定だ。

 米国の民主党議員や市民団体、60人の元国家元首、100人のノーベル平和賞受賞者も、貧しい開発途上国のコロナへの対応を助けるために、ワクチンと関連した知的財産権を一時猶予することをジョー・バイデン米大統領に求めた。バーニー・サンダース上院議員は23日の記者会見で「できるだけ早く多くの人に予防接種を受けさせ、コロナの変異株が生じる可能性を減らすのが米国にも利になる」とし「米国はこうした道徳的問題に対して正しいことをしなければならない」と述べた。

 新型コロナワクチンに関する特許権の猶予の提案は、WTOでも100余りの加盟国が支持しているという。しかし、米商工会議所やファイザー、バイオエンテック、モデルナ、ジョンソン・エンド・ジョンソンなどの製薬会社は、集団でこれに反対する声を上げている。ロイター通信は、これらの業界が「知的財産権の適用停止がワクチンの安全性を落とす。ワクチンの普及網を改善する方がより重要な問題」だと主張していると伝えた。

パク・ビョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/globaleconomy/992860.html韓国語原文入力:2021-04-28 02:32
訳C.M

関連記事