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コロナの影響、高校生は「成績下位圏」が増加…学力低下が顕著に

登録:2021-04-27 03:36 修正:2021-04-27 11:25
中学生は学力の両極化が深刻化 
高校生は学力低下が顕著 
災害の結果は平等ではなかった
今年から変わる大学修学能力試験体制に合わせた初の高校全国連合学力評価初日の3月23日、ソウル瑞草区の盤浦高校で1年生が試験開始を待っている/聯合ニュース

 光州(クァンジュ)のある高校は現在、1~2年生に対し、登校授業とリモート授業を交互に行っている。同校の教師Kさんは、リモート授業の朝にはコールセンターの職員のように忙しく電話をかける。眠っている生徒たちを起こすためだ。コロナ禍の2年目も生徒たちは「時差ぼけ」を直すのが難しいようだ。Kさんは「自己主導的学習能力が低い生徒はリモート授業で呼んでも返事がなく、学校に来ても携帯電話を握っている時間が多い」と話す。「コロナ禍以前は、5等級だった生徒が1等級に上がることもあったのに…」。Kさんの声からは、無気力になった生徒に対するもどかしさがにじみ出ていた。

 コロナ禍が始まってから、高校において減少した成績の中位圏の割合は、上位圏へ進出するよりも下位圏へと落ちるケースが多く、「学力低下」現象が著しくなっているとの分析結果が出た。このような現象は基礎学力不足ともつながっているため、早急に解決すべきとの指摘が出ている。

 今月26日、教育市民団体「私教育(塾や家庭教師など)の心配のない世の中」が記者会見を開き、YTNと共同で分析した「2020年コロナ学力格差の実態」を発表した。分析対象はソウル、光州、全羅北道などの全国の8つの市・道から標本地域として選び出した31の市・郡・区内のすべての中学校(560校)の2年生と高校(413校)の1年生だ。分析は、小・中学教育情報公示サービス「スクールインフォ」のホームページに公示された学校ごとの国英数の学業成就度をもとに行われた。20日にはソウル市教育庁からも、コロナ禍以降のソウル市内の中学校で「学力二極化」現象が深刻になっているという分析結果が発表されているが、この日の発表は高校生も含まれているため、分析範囲と対象がはるかに広くなったという点で意味がある。

 分析の結果、中学校では中位圏が減り、上位圏・下位圏が同時に増える「学力二極化」現象が深刻化し、高校では中位圏と上位圏が減り、下位圏が大幅に増える「学力低下」現象が現れていた。高校は遠隔授業と登校授業を並行する中で、中学校よりも学業の難易度が高いことが学力低下に大きく作用したものと分析される。また、登校授業の縮小で基礎学力が落ちたにもかかわらず、大学修学能力試験(全国一斉大学入学試験)の難易度を考慮して校内の試験問題を出題しなければならないため、中学校と異なり難易度を調整する余地が狭いという理由もある。

 2019年の1学期とコロナ拡散が始まった昨年の1学期の高校1年生の国英数の学業成就度分布を比較すると、コロナ以前の世代は上位圏(学業成就度A)が18.5%、中位圏(B~D)が54.8%、下位圏(E)が26.7%だった。ところが、コロナ以降の世代は上位圏が17.2%、中位圏が50.4%、下位圏が32.4%だった。コロナ前後で中位圏は4.4ポイント、上位圏は1.3ポイント減少している一方、下位圏は5.7ポイント増加したということだ。

 こうした学力低下によって、昨年1学期、高校では国英数の3科目でE等級を受けた下位圏が40%以上となる科目の割合が中学校の2倍とあらわれた。 中学校は、下位圏が40%以上となる科目の占める割合は14.1%だった。一方で高校は、下位圏が40%以上となる科目の割合は35.1%だった。これについて京畿道のチョン・ギョンウォン教育政策諮問官は「中位圏は教師や仲間の対面での助けがあれば上位圏へと上がりうる、すなわち登校授業の恩恵を最も多く受ける生徒だ。昨年の高校1年生の中位圏は、高校に上がって教育課程の難易度が上がったうえ、リモート授業の影響で基礎学力に最も大きな打撃を受けることになった」と指摘した。

 リモート授業の長期化に疲れ、自主退学した生徒も出ている。昨年、全羅南道のある人文系高校で1年生の課程を終えたYさん(18)は、先月中に退学して修学能力試験の準備に邁進している。Yさんは「リモートで先生が授業を進めても、登校してきちんと受講できなかったという生徒が必ずいるので、同じ内容を繰り返す。いっそのこと自主退学して大学入試で進学しようと決心するきっかけになった」という。Yさんが受けることになる2023学年度の大学入試では、定時選考(高校の内申点に関わらず入学試験の成績で大学進学すること)の割合が40%以上へと大幅に増える。

 さらに高校生の「学力低下」現象は、地域ごとの差が目立つ。学業成就度の下位圏が40%以上の科目の割合は、全国の学校の平均は35.1%だが、地域ごとにみると最低の14.3%から最高の57.6%までの格差がある。

 「私教育の心配のない世の中」は「(コロナという)災害はすべての学校に訪れているが、災害の結果は決して平等ではなかった」とし「学校教育の空白が厳しく作用する地域がある一方で、学習塾や家庭教師といった私教育が強力に作動する地域では、災害がかえって機会となり、上位圏が増えている」と指摘した。

 「学力二極化」と「学力低下」はいずれも問題だが、まず学力低下を早急に解決しなければならないという声も出ている。チョン教育政策諮問官は「学力低下現象は、基礎学力の足りない生徒がさらに増えたということと同じ脈絡」だとし「高校生の学力低下が累積しないよう、教育当局は早く解決策を講じなければならない」と述べた。

イ・ユジン、キム・ジウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/schooling/992588.html韓国語原文入力:2021-04-26 12:06
訳D.K

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