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韓国外交部、駐韓日本大使を呼んで原発汚染水の放出決定に抗議

登録:2021-04-14 02:27 修正:2021-04-14 07:14
相星駐韓日本大使「韓国国民の心配よく知っている」
日本が福島第一原発事故で発生した放射性物質に汚染された水を海に排出することを決定した13日の午後、ソウル鍾路区都染洞の外交通商部庁舎に呼ばれた相星孝一駐韓日本大使(左)が車に乗って地下駐車場から出てきている/聯合ニュース

 韓国政府は13日、日本政府が福島第一原発の汚染水の海洋放出を決定したことについて、相星孝一駐韓日本大使を外交通商部に呼び、強く抗議した。

 外交部のチェ・ジョンムン第2次官は13日午後2時、ソウル鍾路区(チョンノグ)の政府ソウル庁舎の外交部に相星大使を呼んで、20分間会談した。外交部によると、この席でチェ次官は「今回の決定への韓国国民の反対の立場を伝え、韓国国民の健康と環境に及ぼす潜在的な脅威について深い憂慮を表した」という。外交部はまた、チェ次官が相星大使に、汚染水処理に関するあらゆる情報の提供▽国際社会が受け入れ可能な関連環境基準の順守▽国際社会の参加を通じた客観的な検証の必要性を強調するなど、韓国側の立場を記した口述書を渡したことを公表した。

 これに先立つこの日午前、韓国政府は、国務調整室長の主宰で「福島第一原発汚染水放出対応関係省庁タスクフォース(TF)」関係次官会議を緊急招集し、日本の決定に「強い遺憾」の意を表するとともに、「韓国国民の安全を最優先の原則として、必要なあらゆる措置を取っていく」と明らかにした。また日本の今回の決定について「最隣接国である韓国との十分な協議、および了解過程なしに行われた一方的な措置」とし「汚染水の処理過程全般についてのすべての情報の公開と検証を強く要求」した。

 政府が原発汚染水の海洋放出の安全性について「情報公開」と「意思疎通」に重点を置いて対応しているのは、実際に海洋放出を防ぐこれといった方法がないからだ。外交部当局者は「日本の陸上に保管されているものを(日本の)領海に放出するものであるため、実質的に韓国が何らかの阻止手段を取ったり、こうした(放出撤回)要求をして現実のものとするには、明らかに限界がある」と説明した。日本がタンカーなどに汚染水を積んで公海に捨てれば国際法違反事項となるが、現在のところは放出による直接的かつ具体的な被害が立証されない限り、制裁する手段はないということだ。これまで外交部が福島第一原発の汚染水放出計画について「日本政府の主権的決定事項」であるとの立場を表明してきた理由はここにある。

 外交部当局者の説明によると、政府がこの日、強い遺憾を表明したのは「日本の決定が思ったより早く、突然」だったほか、「決定を下す過程で(韓国政府との)直接的なコミュニケーションが不足」していたためだ。日本は、この日に原発汚染水の海洋放出決定を下すということも「ごく最近」になってようやく通知してきたという。

 政府はひとまず、原子力安全委員会の専門家が汚染水放出の安全性を判断するために必要だとして挙げた情報を、日本側に要求し続けていく方針だ。日本政府が汚染水をどのように処分するのか、放出開始の時期および期限、総処分量などだ。また、国際原子力機関(IAEA)などの国際社会と協力して、放出された汚染水の安全性の検証に力を入れる計画だ。韓国の研究機関または専門家が直接検証に参加する方策も推進中だ。政府は、国内海域への放射能流入や輸入食品の放射能検査、原産地の取り締まりも強化する計画だ。国際司法裁判所や国際海洋法裁判所への提訴も検討していくことも明かしている。

 韓国政府がこの日、日本側の情報共有が不足していたと指摘した一方で、米国務省は12日(現地時間)、「日本はオプションと影響を検討し、決定について透明だった。(日本政府は)国際的に容認された原子力安全基準によるアプローチを選んだとみられる」と表明し、注目を集めた。アントニー・ブリンケン米国務長官はツイッターで「日本の隠すことなき努力」に「感謝」を表明した。これについて外交部の関係者は、「米国がいかなる根拠とファクトにもとづいて国際基準を満たしていると言ったのかは分からない」とし、日本側の具体的な情報提供が必要だとの立場を表明した。別の当局者は「米国が日本に対し、IAEAとの調整を続けていくことを期待している、というところに重点が置かれている。海洋放出に何の問題もないのなら、検証と調整の必要性になぜ言及するのか」と述べた。実際にブリンケン長官のツイートや米国務省の報道官の声明も、「継続的な調整」や「モニター」などに言及している。

 一方、相星大使はこの日、韓国記者たちに送ったメッセージで「ALPS(多核種除去設備)処理水の処分について、多くの韓国国民の皆様が心配していらっしゃることはよく知っている」とし「韓国を含む周辺国の環境に影響を与えないよう責任を持って対処する」と述べた。ALPS処理水とは、原発の汚染水の放射性物質を浄化処理したという意味で日本政府が使用している名称だ。相星大使は、海洋放出の決定が「福島地域の再建と廃炉の両立を図ると同時に、安全に配慮した最も適切な方法」だとし「海洋放出が行われても、韓国を含む周辺国の海洋環境や水産物の安全性に悪影響は及ぼさない」と主張した。そして、「環境影響に関する情報を随時公表し、透明性向上に努め、科学的根拠に基づいた徹底した情報公開を通じて、韓国国民の皆様の心配を軽減できるよう努めていく。何とぞ韓国国民の皆様のご理解をお願い申し上げる」とメッセージを締めくくった。

 日本政府はこの日朝、福島第一原発の敷地内のタンクに保管中の汚染水を海洋に放出する計画を含めた「処理水の処分に関する基本方針」を閣議決定した。

キム・ジウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/990839.html韓国語原文入力:2021-04-13 17:00
訳D.K

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