米国のアントニー・ブリンケン国務長官とロイド・オースティン国防長官の訪韓を翌日に控え、朝鮮労働党中央委員会のキム・ヨジョン副部長が「米国の新政権にも一言忠告」を投げかけ、米国を牽制した。両長官が今回の訪韓期間中に出す北朝鮮に対するメッセージにより一層の関心が集まる。
日本を経て17日午後に京畿道烏山(オサン)の米空軍基地に到着する両長官は、チョン・ウィヨン外交部長官およびソ・ウク国防部長官とそれぞれ会談する。韓米外相会談はこの日の夕方6時半から、韓米国防長官会談は午後4時頃から1時間ほど行われる予定。新型コロナウイルス感染症の防疫状況を考慮し、両国は今回の訪韓期間に昼食と晩餐の日程は組まなかった。
両長官は、訪韓2日間の18日には午前9時半から約90分間、韓米外交・国防長官会談(2プラス2)に参加する。続いて7日に米国のワシントンで妥結した第11次韓米防衛費分担特別協定(SMA)の仮署名式を参観した後、11時半から韓米2プラス2会談の共同記者会見に出る。その席でバイデン政権発足後初の韓米間の共同声明も発表する。同日午後には文在寅(ムン・ジェイン)大統領を表敬訪問する日程が決まっている。
米国の国務・国防長官が同時に韓国を訪問したのは、2010年7月以来11年ぶり。韓国政府はそれだけに今回の訪問の意義が大きいとみている。今回の会談を準備してきた外交部当局者は16日に記者団と会い、「バイデン政権発足の初期に国務長官と国防長官が共に訪韓するのは、同盟の復元と同盟国の協力を通じてグローバルな懸案に対するリーダーシップを回復するというバイデン政権の強力な意志が反映されている」と解釈した。同時に両長官の任期初の海外歴訪地に韓国が含まれ、5年ぶりに外交・国防長官との会談が開催される点について「韓米同盟の重要性と堅固さを内外に向け明確に宣言したもの」だと評価した。外交部は別資料を出し、18日に開催される「2プラス2会議」が、外交・国防のリーダーシップ間の戦略的なコミュニケーションを拡大し▽韓米間で朝鮮半島問題について外交・国防長官級で緊密に調整しながら▽堅固な韓米同盟を主軸とし、地域とグローバルの問題を共助・推進することに意義があると説明した。
今回の2プラス2会談の議題は、韓米同盟▽朝鮮半島問題▽地域協力▽グローバル協力など4つだ。外交部当局者は「(議題が)安全保障的な側面だけに限定されるのではなく、(新型コロナや気候変動など)様々なグローバルな懸案」を包括するとしながら、このすべての課題が「同盟関係の中で扱われなければならない共同の課題」だと説明した。
両長官は、先日14日のワシントン・ポストへの寄稿を通じ、今回の歴訪期間に韓国と日本の両国と「中国の新疆ウイグル・チベットにおける人権蹂躙、香港の自治浸食、台湾の民主主義の弱化、南シナ海での国際法に反する海上領有権の主張」などの問題について協議するとしながら「我々は共に中国に責任を問うだろう」と強調した。外交部当局者はこれについて「(各懸案について)政府なりの立場があり、(韓米は)同盟関係であるから十分に深い議論ができる」と述べ、即答を避けた。
もう一つの関心事は、米国・日本・オーストラリア・インドが参加する対中国牽制用の協議体「クアッド」だ。しかし、今回の会談を機にクアッドへの参加に対する韓国政府の立場は急には変わらない見込みだ。外交部当局者は「開放性・包容性・透明性を前提とした協議体であるなら協力する」というこれまでの政府の原則を再確認した。また、米国が韓日または韓米日の協力を強化するよう要求してくる可能性を尋ねた質問には「(韓日関係改善は)米国がずっと提起してきており、新しい問題ではない」と返答した。
一方、外交部のチェ・ヨンサム報道官はこの日の定例会見で、午前に公開されたキム・ヨジョン副部長の談話について「韓国政府は南北対話と朝米対話が早期に再開され、完全な非核化と強固な平和体制の構築への努力に進展がなければならないという立場に変化はない。今回の米国の国務・国防長官の訪韓の機会を含め、様々な機会で韓米間の朝鮮半島平和プロセスの進展方法について深い議論を続けていく予定」だと答えた。キム副部長はこれに先立ち、北朝鮮メディアで公開した談話で「米国の新政権にも一言忠告する」とし、「今後4年間、ぐっすり眠りたいなら、最初から眠りを妨げるような真似はしない方がいい」と述べた。