米国のアントニー・ブリンケン国務長官とロイド・オースティン国防長官の訪韓の日程が17~18日に確定したことで、文在寅(ムン・ジェイン)政権と米国のバイデン政権の初の高官級協議の内容に注目が集まっている。ドナルド・トランプ政権のもとでぎくしゃくしていた懸案を整理し、いわゆる「同盟復元」を確認する一方、今後の朝鮮半島情勢をめぐる協議も行われる見通しだ。
11日、韓国政府側の説明を総合すると、チョン・ウィヨン外交部長官は17日午後、ブリンケン長官との初会談に臨む。両長官は18日にソ・ウク国防部長官やオースティン長官と共に、5年ぶりに開かれる韓米の外交・国防長官会議(2プラス2)に出席する予定だ。両国は、米国務・国防長官による文在寅大統領の表敬訪問及びソ・フン国家安保室長との面会日程も調整している。今回の訪韓を機に、第11回韓米防衛費分担金特別協定(SMA)の仮署名も行われる可能性が高い。
韓米外相会談では、同盟関係が主な議題になる見通しだ。韓国側は「韓米同盟に関する両国間の意見一致」のメッセージを、米国側は「米国の復帰、同盟の復元」のメッセージを発信することになるというのが、外交部側の説明だ。実務レベルでは、最終段階とされるバイデン政権の北朝鮮政策の見直しに対する立場について意見交換も行われるとみられる。韓国側はバイデン政権による速やかな北朝鮮問題への関与の必要性を強調する見通しだ。
バイデン政権が強調している韓米日協力強化およびインド太平洋地域における両国の協力も議題になるものと予想される。ただし、中国側との初の高官級協議を控え、直ちに中国に対する牽制メッセージを強く提起する可能性は高くないと、韓国政府側はみている。このほかにも、気候変動への対応やミャンマーのクーデター、イラン核合意と連動した韓国内のイラン凍結資金、韓国船舶と船長の抑留問題なども幅広く協議されるものとみられる。
韓米防衛相会談では戦時作戦統制権の移管問題や韓米日安保協力体制の復元、在韓米軍の訓練環境改善問題などが主な議題になる見込みだ。
韓米は当初、昨年の未来連合司令部の完全運営能力(FOC)の検証評価を完了する予定だったが、新型コロナの感染拡大や米国の消極的な態度などで今年も実施が難しくなるなど、戦作権の移管が見送られている。これに対して韓国は、戦作権の早期移管に向けた米国側の積極的な協力を求めるものとみられる。
米国側は韓米日の安保協力強化を求める可能性が高い。実際、デービッド・ヘルビー米国防次官補代行は10日、米下院軍事委員会聴聞会で「最近、韓日の緊張が3カ国の国防協力に大きな被害を及ぼすなど、困難が多かった」としたうえで、「こうした分裂は敵性国を利するだけであり、(米国は)米韓日三角協力の維持を優先的に考えている」と述べた。在韓米軍の訓練環境の改善は、最近米軍が深刻に提起している問題だ。