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「急ぐ必要はない」…文大統領が新任外交部長官にかけた言葉の真意とは

登録:2021-02-16 06:40 修正:2021-02-16 08:11
大統領府「速度調節」との拡大解釈を警戒 
北朝鮮政策に関する韓米の歩みに進展みられず 
韓日関係の解決を求められるなど、悩み深まる
文在寅大統領が今月15日、大統領府で新任国務委員任命状授与式後、任命状を受け取ったチョン・ウィヨン外交部長官(左から二番目)、クォン・チルスン中小ベンチャー企業部長官(左)、ファン・ヒ文化体育観光部長官(右端)などと移動している=大統領府写真記者団//ハンギョレ新聞社

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領が新任のチョン・ウィヨン外交部長官に任命状を授与し、「与えられた時間内の可視的な成果をあげるために急ぐ必要はない」と述べた。

 カン・ミンソク大統領府報道官は15日、「新任国務委員任命状授与式に関する書面ブリーフィング」で、文大統領がチョン長官に「朝鮮半島平和プロセスを成功させるための最後の努力をする機会であることを改めて強調したい。朝鮮半島平和プロセスが成功するためには、韓米同盟を強化しなければならない。ジョー・バイデン新政権と緊密にコミュニケーションを取り、協力してこそ可能なことだ。周辺国とも緊密に協力し、国益を守るために努力してほしい」と述べたという。注目すべき発言はその次に出た。文大統領が「我々に与えられた時間が多くないのは事実だ。しかし、与えられた時間内に可視的な成果を上げるために急ぐ必要はないと申し上げたい。着実に進めてほしい」と述べたという。

 文大統領はこれまで、長期の膠着が続く朝米対話を再開するには、韓米間の協議を早く進める必要があるという立場を重ねて示してきた。文大統領は先月18日の年頭記者会見では「できるだけ早く韓米首脳間の交流を実現させ、朝鮮半島平和プロセスに対する共感を再確認したい」と述べ、4日のバイデン大統領との初の電話会談でも「なるべく早期に包括的な北朝鮮戦略を共に講じていく必要がある」と強調した。このような大統領の意向を受け入れ、外交部も9日に北米局長、10日に朝鮮半島平和交渉本部長、旧正月の12日にチョン・ウィヨン長官がそれぞれ米国側との電話会談を行った。このため、「急ぐ必要はない」という文大統領の発言は、朝鮮半島平和プロセスの「速度調節論」を意味するものとも解釈できる。

 しかし、大統領府と外交部当局者は文字通り「着実に韓米間の懸案を解決してほしいという意味」だと説明した。大統領府当局者は速度調節を言及したような大統領の発言について、「大きな意味が込められているとは見られない」と述べており、外交部当局者も「一歩一歩着実に懸案を解決していく」という原則的な反応を示した。

 韓米が北朝鮮政策を調整していくこれからの過程を考えると、「焦らずに」「一歩一歩」歩いていくほかない。韓米の間にはまだ調節するほどの速度が出ていないのが冷静な現実であるだからだ。最大の障害は、2018年6月12日の朝米「シンガポール宣言」を対話の出発点にしようという韓国の意見に、バイデン政権が簡単に共感しない場合だ。政府がシンガポール合意を諦め、韓米和合という「可視的成果」にこだわる場合、ドナルド・トランプ政権時代に成し遂げた朝米間の多くの成果が水の泡と帰してしまう。米国が、北朝鮮政策を見直す過程で韓国だけでなく日本とも協議する方針を示したことで、朝鮮半島平和プロセスの再稼動のためにも韓日関係をまず解決しなければならないという声が上がっているのも事実だ。しかし、これを過度に意識すると、文在寅政権が発足当初から掲げてきた「被害者中心主義」の原則を崩すことになるかもしれない。

イ・ワン、キム・ジウン、キル・ユンヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/983034.html韓国語原文入力:2021-02-16 02:48
訳H.J

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