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月城原発「経済性評価を操作」疑われた前産業部長官、令状棄却に

登録:2021-02-10 02:50 修正:2021-02-10 08:44
裁判所「犯罪容疑の疎明が不十分」
ペク・ウンギュ前産業通商部長官(後方右)が8日午後、大田地裁で開かれた令状実質審査に出席するところ=ソン・インゴル記者//ハンギョレ新聞社

 月城(ウォルソン)原発1号機の経済性評価の操作に関わった疑いが持たれているペク・ウンギュ前産業通商資源部長官(57)に対する拘束令状請求が棄却された。これにより、与党を中心として「政治捜査」という批判が高まるとみられる。大統領府の上層部に捜査の刃を向けた検察の負担も重くなった。

 大田(テジョン)地方裁判所のオ・セヨン令状担当部長判事は9日未明、大田地検によって出されていた職権乱用権利行使妨害および業務妨害の疑いによるペク前長官に対する事前拘束令状の請求を棄却した。令状実質審査が始まってから10時間が経過していた。オ部長判事は「被疑者が長官の職権を乱用し、韓国水力原子力(韓水原)とその関係者に義務のない仕事をさせ、月城1号機の業務を妨害したという犯罪容疑についての疎明が不十分であるため、被疑者に防御権を保障する必要がある」と棄却事由を明らかにした。また「すでに主要参考人が拘束されており、関係者の陳述が確保されている状態なので、被疑者に証拠隠滅の恐れがあると断定するのは難しい」と付け加えた。

 オ部長判事は8日午後2時40分、大田(テジョン)地裁301号法廷で、ペク前長官が出席する中、拘束前被疑者尋問を開始。この日の令状実質審査で検察は「ペク前長官が月城1号機閉鎖の決定過程で長官の地位を利用し、産業部の公務員の月城原発に関する業務過程に介入した」と主張した。これに対しペク前長官側の弁護団は「ほとんどが事実ではない」とし、項目ごとに反ばくした。検察と弁護団は同日夜8時50分まで6時間あまりにわたって攻防を繰り広げた。

 ペク前長官は令状実質審査に先立ち、取材陣に対し「月城1号機の早期閉鎖は国の原則に基づき、適法な手続きに則って処理した。月城1号機の早期閉鎖は国民の安全を最優先にした国政課題だった」と述べた。

 ペク前長官は先月25日、検察での取調べで、業務妨害容疑の大半を否定したという。また、監査院による監査直前の昨年12月1日夜に原発関連資料530件を削除した疑い(公用電子記録等損傷、監査院法違反、住居侵入)で起訴された産業部の3人の公務員の行為についても「知らない」と供述したという。

 ペク前長官に対する令状の請求が棄却されたことで、韓国ガス公社のチェ・ヒボン社長(前大統領府産業政策秘書官)など、大統領府による介入疑惑関連の捜査も推進力が落ちることになった。韓水原のチョン・ジェフン社長(61)らに対する召喚聴取も当面は延びる見通しだ。検察は、ペク前長官に対する拘束令状の再請求を行うかどうか検討する模様だ。検察関係者は「棄却事由が納得できない。さらに徹底的に捜査する予定」と述べた。

 月城原発1号機の早期閉鎖疑惑事件は、2019年10月に国会が月城原発1号機の早期閉鎖決定の妥当性と、韓水原取締役会の取締役たちの背任行為の有無の判断を求めて、監査院に監査を要請したことが発端となった。監査院は昨年10月、「経済性が不合理に低く評価されているとともに、産業部の職員が関連資料を廃棄した」と発表し、膨大な資料を「捜査参考資料」として検察に送付した。

 同事件を捜査している大田地検刑事5部(イ・サンヒョン部長)は昨年12月23日、産業部の公務員3人を監査院法違反などの疑いで起訴した。また検察はペク前長官に対し、月城原発1号機の閉鎖に先立ち、韓水原の経済性評価に不当に関与した疑い(職権乱用権利行使妨害)、2018年4月に「月城原発の即時稼動中止」を指示し、月城原発の運営主体である韓水原の正当な業務を妨害した疑い(業務妨害)で、4日に事前拘束令状を請求していた。

ソン・インゴル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/area/chungcheong/982400.html韓国語原文入力:2021-02-09 01:15
訳D.K

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