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カン・ギョンファ韓国外相、外交部を去る…「3年8カ月、ときめく思い出として残る」

登録:2021-02-09 07:24 修正:2021-02-09 08:04
文在寅政権1人目の外交部長官、1332日で去る 
「私の指標はチームワーク…至らなかった点は力不足のため」 
「人生で最もやりがいがあり、誇らしかった時間」
文在寅政権の発足から3年半以上外交部を率いたカン・ギョンファ長官が8日午後、外交部庁舎を去るにあたり手を振っている/聯合ニュース

 文在寅(ムン・ジェイン)政権の最初の外交部長官であり、最後の“元年内閣メンバー”だったカン・ギョンファ外交部長官が、3年8カ月で外交部を去った。1332日前、初の非外交官試験出身の非主流の女性として業務を始め、上っていったその階段で、幹部らとあいさつを交わし任期を終えた。

 カン長官の離任式は8日午前、国会外交統一委員会で後任のチョン・ウィヨン外交部長官候補者の人事聴聞経過報告書が採択されてから始まった。17階の長官事務室から出たカン長官は、16階から外交部庁舎の事務室を回り、あいさつを交わしたという。外交部当局者は「言葉通り、すべての部屋を残らず回った」とし、「直筆の手紙を書いて渡す職員もかなりいた」と伝えた。ある課では事務室入口に「長官、愛しています」というメッセージを張ってカン長官を迎えたという。新型コロナで公式の離任式を開かなかったことも理由としてあるが、在任期間は職員と気さくに過ごしたカン長官を見送る心残りを込めたものだとみられる。

カン・ギョンファ長官が8日午後、外交部庁舎を去り、チェ・ジョンゴン第1次官から花束を受け取っている/聯合ニュース

 カン長官はこの日午後、外交部職員に送った辞任のあいさつで、これまでの在任期間を振り返り、「私の指標は、国家と国民に対する献身と国際社会で誇れる大韓民国、そして、これを先頭で固めていく外交部のチームワークだった」とし、「チームワークは真のコミュニケーションがある時のみ可能であるため、外交部内外のコミュニケーションの深さと幅を拡げるために、皆さんとともにいつも努力した」と明らかにした。そして、「その努力が実ったことに対し感謝し、至らなかった点については私の力不足のためだとして持っていく」と付け加えた。

 カン長官がこの日、外交部庁舎を去る前に最後に寄った所は記者室だった。彼女は「これまでの3年8カ月近くを振り返ると、本当に困難な瞬間も多かったが、職員や関係省庁、大統領府とともに、難しい峠を本当にたくさん越えていった」と思いを伝えた。

2017年5月25日、当時のカン・ギョンファ外交部長官候補者が人事聴聞会の準備などのためにリュックサックを持ち、ソウル鍾路区の大宇ビルの事務室に向かっている=ハンギョレ資料写真//ハンギョレ新聞社

 実際、カン長官は、北朝鮮と米国が「炎と怒り」(トランプ前大統領)や「グアムとソウルを火の海に」(北朝鮮軍総参謀部)などの“言葉の爆弾”をやりとした時期を経て、在韓米軍の高高度ミサイル防衛(THAAD)配備をめぐる中国の報復措置と関係修復、韓日政府間の日本軍「慰安婦」合意見直し過程など、就任序盤から容易ではない外交環境に立ち向かわなければならなかった。北朝鮮の核問題や朝米、4強外交に対する経験不足と、カン長官特有の‘率直さ’が交錯し、たびたび非難されることもあった。文在寅大統領の信任が厚いことが知られたが、大統領府が朝鮮半島平和プロセスを主導しただけに、「外交部パッシング(Passing)」議論からも逃れられなかった。ただし、カン長官の在任期間中に終始メディアで絶えなかった元職のエリート外交官らの“悪口”は、非主流の女性外交部長官に対する“オールド・ボーイ”の差別的な認識が基になっているという批判も多かった。 一部の外交官が「過去の長官が、はたして何をどれほど上手にやれたかを突き詰めると、特に違うところはない」というのに似た流れだと解釈される。

文在寅大統領が2017年6月18日、大統領府で史上初の非外交官試験出身のカン・ギョンファ新外交部長官に任命状を与えた後、あいさつを交わしている=大統領府写真記者団//ハンギョレ新聞社

 カン長官は辞任のあいさつで「離任する直前にイランの(韓国)船舶(抑留)問題が解決し、本当に幸いだ。私たちの次官と局長、領事室の職員に特に感謝したい」とし、「懸案の一つひとつに対応するたびに『私たちの職員たちは、国益のために献身的に働いているのだ』という思いを持った」とし、感謝の気持ちを示した。辞任のあいさつは「数十年間、国内外の多くの職場で様々なバックグラウンドと能力の同僚と仕事ができた」とし、「その中でもこの3年8カ月の間、大韓民国の外交部長官として、皆さんのトップであり同僚として過ごした時間は、私には最もやりがいがあり、誇らしく、いつまでも私の心をときめかせる思い出として残るだろう」という言葉で締めくくった。カン長官の退任についてある中堅外交官は「国際舞台で誇らしく思える外交部長官は多くない。カン長官が、単に英語が上手なことではなく、韓国を代表する“外交官”として映る姿が誇らしかった」と語った。

カン・ギョンファ外交部長官が8日午後、ソウル鍾路区の外交部庁舎を去り、車の窓から外交部職員を眺めている/聯合ニュース

 カン長官は「新たに就任するチョン・ウィヨン長官は、私たちの大先輩であり、朝鮮半島平和プロセスなどの主要な政策の立案と推進に中心的な役割をはたしてきた」とし、「新しい長官のリーダーシップのもとで、これまで推進してきた政策が実を結び、外交部が引き続き発展していくことを心より祈っている」と述べた。

 カン長官は今後の去就を尋ねる質問には「計画はない」と述べた。周囲にも「何もせず、思う存分休む」と語ったという。さっぱりした笑みを浮かべ去ったカン長官の姿に、外交部当局者は「表情がすべてを物語っている」と述べた。

キム・ジウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/982358.html韓国語原文入力:2021-02-08 18:30
訳M.S

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