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日本の敗戦後、日本人の財産は米軍政に帰属…韓国憲法裁が「合憲」初判断

登録:2021-02-04 01:27 修正:2021-02-04 06:54
違法財産の還収・還元は個人財産権の保護より重要との趣旨
憲法裁判所大審判廷=資料写真//ハンギョレ新聞社

 韓国の憲法裁判所は、日帝強占期(日本の植民地時代)に朝鮮半島において日本人が所有していた財産を、日本の敗戦後に米軍政に帰属させた法令に対して、合憲との決定を下した。解放政局における日本人所有財産の処分問題を扱った憲法裁の初の判断だ。

 憲法裁は3日、裁判官の全員一致により、日本人が所有していた財産に対する処分を扱った在朝鮮米国陸軍司令部の軍政庁法令(米軍政庁法令)条項を、すべて「合憲」と決定した。

 同条項が違憲かどうかは、2016年11月にA氏らが蔚山市中区(ウルサンシ・チュング)の土地を競売で落札したことから問題となった。この土地の所有権を取得したA氏は、中区がその土地を道路などとして使い続けたとして、不当利得金返還訴訟を起こした。しかし中区は、「この土地は国有財産」であり、A氏らは所有権を持たない人たちから土地を誤って取得したと主張した。

 A氏が落札した土地の元の所有者のK氏は、1945年8月10日に在朝鮮日本人からその土地を購入したが、これは米軍政庁法令に反する行為だった。同法令は、1945年8月9日をもって日本人が所有する財産に関する取引はすべて無効とし、日本人が所有・管理していた財産は、すべて米軍政庁に帰属すると規定している。K氏は1945年9月に所有権登記移転を終えているが、8月9日の時点で日本人の所有だったため、取引が禁止される帰属財産だったわけだ。A氏は、米軍政庁の法令が1945年9月25日に公布されたにもかかわらず、8月9日をすべての取り引きの無効の基準とすることは遡及立法禁止に反し、韓国人が日本人から取得した財産まで没収することは過剰禁止原則に反すると主張した。

 しかし憲法裁は、重大な「公益上の事由」があれば、遡及立法は正当だと判断した。憲法裁は「違法な韓日併合条約により、日本人が朝鮮で蓄積した財産を保全し移譲するという公益は、朝鮮半島内の私有財産を処分し、日本本土に撤収しようとしていた在朝鮮日本人や、彼らから財産を買収した人たちに対する信頼保護要請よりもはるかに重大だ」と説明した。違法に蓄積した財産を還収し、これを大韓民国に返すことの方が、当時日本人や彼らと取引した人々の財産権保護よりも重要だと考えたわけだ。

 遡及基準となった1945年8月9日は米国が長崎に原子爆弾を投下した日で、第2次世界大戦が終結し、日本の敗戦が明らかとなった日だ。日本の敗戦により、朝鮮半島に残っていた日本人の財産処分問題も、法的保障が不確実になった日だ。憲法裁は、このような混乱した状況においても、日本人が所有していた財産の自由な処分が可能だとの信頼があったとしても、これは「憲法的に保護するだけの価値がある信頼ではない」と判断した。日本の敗戦直後、日本人の財産を凍結し、毀損を防止したのは、その後樹立される大韓民国政府に委譲するためであるから、遡及を通じて成し遂げようとした公益は明らかだと憲法裁は判断した。

チャン・イェジ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/981605.html韓国語原文入力:2021-02-03 13:12
訳D.K

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