コロナワクチン安全性・効果検証諮問団は、アストラゼネカのワクチンについて、条件付きで許可できるとの結論を下した。食品医薬品安全処の発表によると、問題となっている高齢者の予防効果について、諮問団に所属する専門家の多くは「臨床試験の参加者に高齢者が少ないという理由のみでは、高齢者への投与は排除できない」との意見を述べた。
1日、食薬処は前日開かれた検証諮問団会議の結果を発表した。検証諮問団は、中央薬事審議委員会への諮問に先立ち、食薬処が臨床・非臨床・品質などについての専門家の意見を聞く手続きで、今回の会議には感染内科専門医、ワクチン専門家、臨床統計専門家ら8人が出席した。
アストラゼネカが提出した臨床資料は、英国2件(第1・2相、第2・3相)、ブラジル1件(第3相)、南アフリカ1件(第1・2相)の4件。検証諮問団はこのうち、英国(第2・3相)とブラジル(第3相)の2件の試験で効果を評価し、安全性は4件の結果を総合して分析した。
予防効果の分析対象となった臨床試験参加者は新型コロナウイルス陰性の満18歳以上の成人8895人(ワクチン群4440人、対照群4455人)で、標準用量が2回投与された。後に新型コロナウイルス感染症と診断された人はワクチン群27人、対照群71人で、約62%の予防効果を示した。これはコロナワクチンの効果についての世界保健機関(WHO)などの国内外の評価基準(予防効果50%以上)を満たす結果だと食薬処は述べた。投与間隔を変えた時の予防効果の違いは、4~8週が52.57%、9~12週が68.89%、4~12週が60.86%で、間隔を長く取った方が予防効果と免疫反応が増す傾向を示した。
満65歳以上の高齢者の予防効果(660名)と安全性(2109名)を評価したところ、高齢者のワクチン投与群と対照群で新型コロナへの感染は各1件で、ワクチン群と対照群のいずれも入院や深刻な疾患などは発生していなかった。注射部位の痛み、発熱、頭痛、筋肉痛、関節痛など、ワクチン接種後に予測される異常事例は、ワクチン群は約87%、対照群は約74%発生したが、症状はほとんどが軽症から中等症程度で、発生率は全般的に1次投与時より2次投与時の方が低かった。また、ワクチン投与後に予測外の異常事例が発生した割合は、ワクチン群が約38%、対照群が約28%で、やはり症状はほとんどが軽症から中等症程度であった。
食薬処によると、こうした分析結果をもとに議論した結果、諮問団の多くは「試験参加者に高齢者が少ないという理由のみでは、高齢者への投与は排除できない」との意見述べたという。臨床試験計画が満18歳以上を対象者として設計されていること、満65歳以上を含む対象者全体で予防効果が確認されていること、ワクチン投与後の免疫反応が成人と類似していること、安全性プロファイルが良好なことなどを総合的に考慮した判断だ。
しかし「高危険群である高齢者の資料が不足しているため、予防効果は立証されていない」との少数の専門家の意見も同時に提示された。また、抗体価が65歳未満の成人より低く、免疫原性反応と予防効果の相関性が確立されていないため、さらなる臨床などで結果を確認した後に、許可事項に反映するのが望ましいという意見も出たことを食薬処は明らかにした。
その他、安全性に関して検証諮問団は「許容に値する水準と判断されるが、横断性脊髄炎を含む神経系関連の異常反応発生については、許可後もモニタリングが必要だ」という意見を示した。妊娠期間中は投与を勧奨せず、許可事項に「ワクチンが母乳に混入するかどうかについては分からない」と記述することも提案した。
ワクチンの投与量は、申請投与用量である標準用量の2回投与が適切と判断した。投与間隔も申請どおり4~12週が適切だと答申した。ただし許可後に臨床現場で使用する際、投与間隔については専門家への諮問などを経て具体的なガイドラインを提示する必要があると勧告した。
食薬処は、専門家による2度目の検討手続きとなる、法定諮問機関である中央薬事審議委員会への諮問を4日に行い、結果は当日に公開する予定だ。