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[コラム]サムスン電子のイ副会長裁判と朴槿恵前大統領の赦免

登録:2021-01-07 06:21 修正:2021-01-07 07:44
ソク・ジンファンㅣイシュー副局長

 「判決に対する正当な批判を超え、裁判官個人に対する攻撃が加えられる懸念すべき状況が起きている。最高裁(大法院)長官として、裁判の独立を侵害する不当な外部からの攻撃に対し、毅然かつ断固として対処していく」。

 新年を迎え、キム・ミョンス最高裁長官が裁判所のイントラネットに残した書き込み(始業の辞)の一部だ。チョン・ギョンシム東洋大学教授の一審判決とユン・ソクヨル検察総長に対する懲戒処分執行停止決定などをめぐって繰り広げられた判事への過度な攻撃について指摘したのだ。個人的にはチョン教授の判決はやや行き過ぎの感は否めないが、これは控訴審で争えば済むことだ。最高裁長官の懸念は十分納得できる。判事を批判することはできるが、判決が気に入らないからといって弾劾しろという主張は説得力に欠けるだけではなく、対立を生むだけだ。非難の対象になる人も、素直に受け止められるはずがない。

 ならば、このような批判はどうだろうか。「大韓民国が司法から過剰な支配を受けているという国民の懸念が高まっている。政治の司法化、司法の政治化が危険水位を超えたという嘆息が聞こえる」。共に民主党のイ・ナギョン代表が、ユン総長懲戒停止決定後にこれを批判して公開的に書いたものだ。慎重な性格を反映するように、控えめな表現ではあるが、果たしてこれを裁判所が、そして判事たちが厳しく受け止めるだろうか。そうは思えない。的を射ていないからだ。イ代表は「ユン総長も過ちがないわけでもないのに、懲戒が裁判所で止められて遺憾」だと言いかったのかもしれないが、手続き上の過ちや行過ぎた問責によって「なかったこと」になる懲戒はいくらでもある。目的に至る過程の正当性を判断するのは、裁判所の大事な役割だ。

 すでに報道された最高裁長官と与党代表の発言を長々と引用したのは、18日に判決予定のサムスン電子のイ・ジェヨン副会長の破棄差戻し審のためだ。裁判所がどのような結論を下しても、それとは関係なく、1年以上にわたって進められた同裁判の“過程”こそが、イ代表の懸念する「司法の過剰な支配」の事例であり、最高裁長官と多くの裁判官たちが守ろうとする「司法府の信頼」を損なうものだったからだ。

 破棄差戻し審の初公判で、裁判所がイ副会長に注文した内容がまず奇怪だった。故イ・ゴンヒ会長の新経営宣言に匹敵する大胆な革新▽内部順法監視制度づくり▽財閥体制の弊害の是正。サムスンの順法監視委員会は裁判所のこのような注文に合わせて作られ、裁判所は順法監視委がうまく稼働するかどうかを見て、量刑に反映すると宣言した。財閥トップの「過去の個人犯罪」の量刑を、彼が筆頭株主である「会社の未来犯罪予防システム」を見て調整するという論理だ。特別検察官と市民社会の反発にもかかわらず、裁判所の方針は変わらなかった。共に民主党のパク・ヨンジン議員がこう皮肉った理由も理解できる。「金を奪われた被害者(会社)にちゃんと戸締りをしろと言ったわけだ。(裁判所は)被害者がきちんと戸締りをしているかどうかをざっと見て(それなら安心できるとして、不正を働いた人の)刑を軽くすると述べたのだ。本末転倒の裁判だ」。

 裁判所が18日、順法監視委を理由に刑を軽くする結果を出した場合、国民はこれを受け入れられるだろうか。前述したように、裁判所は目的に至る過程が正当だったかどうかを判断する最後の砦であるが、裁判所自らが裁判の過程を公正に進めなかった。どんな結論に至るか、憂慮せざるを得ない。

 イ副会長差戻し審判決4日前の14日には、朴槿恵(パク・クネ)前大統領の最高裁での最終判決が行われる。元日から赦免論を積極的に切り出したイ・ナギョン共に民主党代表は、朴前大統領が赦免の要件を満たす14日の判決日程を念頭に置いたのだろう。しかし、イ・ナギョン代表は国政壟断事件で、朴前大統領とコインの表裏とも言えるイ副会長の判決日程まで考慮に入れたわけではないようだ。

 もし、イ副会長が市民社会の懸念通り「財閥の3-5宣告の法則(懲役3年、執行猶予5年)」の適用を受ければ、赦免を掲げて勝負に出たイ代表はさらに厳しい状況を迎えることになる。これまた仮定のことだが、もしもサムスンという最高経済権力が裁判所の“大胆な決断”により免罪符を受け、李明博(イ・ミョンバク)元大統領と朴槿恵前大統領が政治的決断によって免罪符を受けた場合、多くの人が傷つくだろう。

 あいにく重要な2つの判決と赦免論まで重なり、しばらく論争が続くかもしれない。原点に立ち戻り、過程に力を入れるべき時ではないかと思う。

//ハンギョレ新聞社
ソク・ジンファンㅣイシュー副局長(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/977595.html韓国語原文入力:2021-01-0620:24
訳H.J

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