本文に移動
全体  > 経済

サムスンのトップ不在、「“ニューサムスン”投資に支障」か「財閥改革の出発点」か

登録:2021-01-19 09:33 修正:2021-01-19 12:52
再びオーナー不在を迎えたサムスングループ 
半導体、M&Aなどの新事業に悪影響 
「獄中経営は制限的、機会損失は大きい」 
専門経営者体制の大きな青写真を描くべき 
「前回の拘束時も経営の空白はなかった」 
「横領に対する就職制限」問題で論争起きる予想
サムスン電子のイ・ジェヨン副会長が18日午後、ソウル瑞草区のソウル高等裁判所で開かれた国政壟断事件破棄差し戻し審の判決公判に出席している=キム・ヘユン記者//ハンギョレ新聞社

 「国政壟断贈賄」容疑で法廷に立ったサムスン電子のイ・ジェヨン副会長が裁判所での実刑判決とともに法廷拘束されたことで、サムスンは再び「トップ不在」の事態に直面し、非常経営に入ることになった。一部では「経営の空白」を懸念する声も出ているが、サムスンと韓国の財閥改革の出発点になり得るという評価も出ている。イ副会長の進退をめぐる論議も起こる見通しだ。

■「“ニューサムスン”投資に支障?」か「財閥改革の出発点」か

 18日の裁判所の法廷拘束決定で、これまで「ニューサムスン」を掲げてきたイ副会長は、再び「獄中経営」をしなければならなくなった。オーナー不在の中、企業集団サムスンの59の系列会社では、グループ社長団会議が減り、しばらくは系列会社ごとの各個戦闘体制で対応するものとみられる。特に未来戦略室が解体されてから新設された「事業支援タスクフォース」(チョン・ヒョンホ社長)が、オーナーの拘束で騒然としているグループ全般を調整するという見通しが出ている。しかし、タスクフォースが事実上かつての未来戦略室の復活と同じだという批判もあるため、積極的にグループのコントロールタワーの役割を担うことは難しいという見方も多い。

 昨年10月にイ・ゴンヒ会長が死去した後、イ副会長が名実共にトップとなり、未来新事業の拡大など「ニューサムスン」に変化しつつあったことから、サムスン内部ではグループの動力が弱まるという懸念が大きい。世界的な半導体メーカー間の大規模な買収合併が繰り広げられるとともに、バッテリー産業が急変する中、新事業への投資構想に支障が生じる可能性があるということだ。イ副会長は2019年4月に発表した「半導体ビジョン2030」で、2030年までに非メモリー半導体に133兆ウォン(約12兆6000億円)を投資し、非メモリー半導体においてもグローバル1位を達成するというビジョンを打ち出している。サムスンの幹部は「オーナー経営者としての役割は制限されることになり、一般面会は1日10分だけ」とし、戸惑いを隠せなかった。

 しかし、2017年2月から2018年2月までイ副会長が拘束収監されていた時も、経営の空白への懸念は杞憂であった。これはサムスン系列会社の実績が物語っている。特に今年は電気自動車で半導体の品薄が予想され、グローバルな「半導体スーパーサイクル」の大好況が予想されるなど、経営環境も良好な状況だ。漢陽大学のイ・チャンミン教授(経営学)は「オーナーが拘束されたからといって経営に大きな空白が生じることはほとんどない」とし「サムスンが内部にタスクフォースを設け、オーナーのいない新しい専門経営者体制に関する大きな青写真を描く必要がある」と述べた。

 サムスンと財閥改革の歴史に一線を画す出発点になるという見通しも出ている。高麗大学のキム・ウチャン教授(経営学)は「いくら財界が善処を要請し『経営の空白』の恐怖を打ち出しても、サムスン電子を支配する人であっても罪を犯せば拘束されることを、他の企業も今回のことを見て知った」と話した。イ・チャンミン教授は「最高経済権力であるサムスンとイ・ジェヨン副会長だから、財閥改革において記念碑的な節目とみることができる」と評価した。イ副会長が依然として経営で長期的かつ戦略的な意思決定を行うとしても、長期間刑務所にいるとなれば、専門経営者に多くの権限が与えられ、専門経営者中心の経営体制がより強化されるだろうという声もある。

■「就業制限」でイ副会長の進退も議論に

 イ副会長が現行の「特定経済犯罪加重処罰などに関する法律」(特定経済加法)上の「就業制限」規定に該当するかどうかも争点になる見通しだ。この条項は、横領・背任などを行った経済事犯のうち、犯罪金額が5億ウォン以上の場合、「有罪判決を受けた犯罪行為と密接な関連のある企業には就業できない」と明示している。懲役刑の場合、刑執行期間はもちろん、執行終了または赦免後5年まで就業が制限される。ただし、「法務部長官の承認を受けた場合はこの限りでない」という条項が付いており、イ副会長側が法務部に就業承認申請を提出し、承認を受ければ職を維持することができる。法務部側はハンギョレの電話取材で「承認申請をすれば特定経済事犯管理委員会の諮問を経て長官が承認するかどうかを決める」とし、イ副会長の場合、承認が受け入れられる可能性については「サムスン電子が再上告した場合は刑が確定せず、就業制限が適用されない。まだ話す段階ではない」と述べた。

チョ・ゲワン、ソン・チェ・ギョンファ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/marketing/979307.html韓国語原文入力:2021-01-19 0:47
訳C.M

関連記事