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2040年、地球上で韓国の120倍の面積の土地が沈む

登録:2021-01-05 04:16 修正:2021-01-05 07:24
地下水の採取・地下資源の開発などが影響 
世界の陸地の8%…6億3500万人が被害
代表的な地盤沈下地域として挙げられるインドネシアの首都ジャカルタ北部=ウィキメディア・コモンズ//ハンギョレ新聞社

 化石燃料文明は、空だけではなく地中までも壊す。化石燃料が排出した温室効果ガスは大気を暖め海水面を上昇させ、地下水の採取と化石燃料や鉱物の採取などにより空洞化していく地中は地盤を沈下させる。さらに、地球温暖化は干ばつを誘発し、これが地下水をさらに吸いあげて使わせ、地盤沈下の速度を加速化させる悪循環も作ってしまう。

 ジャワ島北部の海岸に挟まれているインドネシアの首都ジャカルタは、海水面上昇と地盤沈下という二つの苦痛に同時に直面している代表的な都市の一つだ。地球温暖化により海水面が年間8ミリメートルずつ上昇するうえ、柔らかくなった土地と地下水の抽出、建物の荷重が重なり、地盤が沈んでいる。ジャカルタ北部地域の地盤沈下の速度は年間25センチメートルに達する。このまま放置しておけば、2050年にはジャカルタ北部地域の95%が水に浸るとの見通しが出ている。この地域に住む人口は現在180万人に達する。問題がますます深刻化すると、インドネシア政府は2024年までにボルネオ島のカリマンタン州に新首都を建設することにした。

世界の地盤沈下危険地域。下は北米と中国の地盤沈下危険地域の拡大図。赤色が最も危険性が高い地域=サイエンス//ハンギョレ新聞社

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人口密度が高く灌漑施設が多いほど危険性が高い

 地層が丈夫な岩盤である韓国としては他人事のように思われるが、このような地盤沈下現象は、オランダ、ベトナム、イタリア、メキシコなど世界各地で今も進行している。スペイン地質鉱業研究所が中心となった国際共同研究チームのシミュレーション予測の結果、このまま放置しておけば、2040年には地球の地表面の8%に相当する1200万平方キロメートルの地域が50%以上の確率で地盤沈下の被害を受けるという見通しが得られた。韓国の120倍、米国とメキシコを合わせた広さの広範囲な土地が沈下するという予測だ。これは全世界の6億3500万人の住居生活に影響を及ぼす規模だ。

 研究チームが地盤沈下に関連する過去の論文を幅広く検討した結果、20世紀に少なくとも34カ国200地域で地下水の枯渇による地盤沈下現象が現れたことが調査された。

 研究チームは、過去10年間の地盤沈下と干ばつの資料、人口増加と経済成長による生活用水および産業用水の需要増加などに基づく全世界の地盤沈下予測モデルを作り、国際学術誌『サイエンス』に1月1日付で発表した。これによれば、研究チームが潜在的な地盤沈下の危険がある全世界7343の主要都市の22%である1596都市を確認した結果、これらの都市の57%は地盤沈下に加え洪水の危険まで抱えている。人口密度が高い都心と灌漑施設が多い地域が特に危険性が高いことが明らかになった。これは、水を多く使う所であればあるほどより危険なことを意味する。

1925年から1977年まで地盤が9メートルも沈下した米国カリフォルニアのサンホアキンバレー地域。電柱に1925年~1975年の地表面の位置変化が表示されている。地盤沈下の主な原因は地下水採取だ=Richard Ireland/USGSから再引用//ハンギョレ新聞社

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中国華北平原・ベトナムデルタなどが最も危険な地域に

 研究チームが挙げた最悪の被害予想地域は、中国の華北平原地帯、メキシコ湾海岸地帯、ベトナムとエジプトのデルタ平野、オランダ、そしてメキシコとイラン、地中海の内陸の堆積盆地だ。研究チームは、地盤沈下の影響を受ける人々の86%はアジアの人々であり、地盤沈下の危険にさらされた30カ国余りのなかで、地域規模や人口の面で危険性が最も高い場所はインドと中国だと明らかにした。エジプト、バングラデシュ、オランダ、イタリアの4カ国は、地盤沈下の危険に直面する人口が全体の30%を超える。

 研究チームは、今回の研究が全世界の多くの国で効果的な地盤沈下対策を確立するための最初の段階で使われることを期待している。研究チームは、地盤沈下の危険を減らすためには、氾濫を防ぎ、水資源を節約する対策が急務だと明らかにした。これには、農業、畜産、石油・ガスの抽出など、地中の水を消費する産業に対する規制が含まれている。

 地盤が沈めば、海水面上昇の危険性が倍になる。研究チームは「海岸地域の場合、地盤沈下の影響力が海水面上昇より10倍以上強まることもありうる」とし、「特にデータベースで確認した地域の21%、すなわち地盤の高さが平均海水面の1メートル未満である場所では深刻な影響を受けることがありうる」と警告した。

 しかし研究チームは、地盤沈下は地球環境への大きな脅威ではあるが、気候変動に比べはるかに容易に対応できると主張した。衛星やレーダーのような技術により沈下地域を迅速に識別でき、地下水の管理対策をうまく立てれば、問題を効率的に解決できるということだ。研究チームは、地下水の管理政策により地盤沈下問題を解決した東京を成功事例として挙げた。東京は2000年に強力な地下水規制政策を確立する前までに、地盤が1900年に比べ4メートルほど沈下した。

クァク・ノピル先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/science/science_general/977100.html韓国語原文入力:2021-01-04 13:10
訳M.S

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