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スカートは短く、ヒールは高く…「韓国版『KuToo運動』で服装規定を告発」

登録:2020-12-29 12:06 修正:2021-01-02 09:11
「韓国版KuToo運動」情報提供された差別事例 
パク・チヨン弁護士「服装を統制する職場を変えるべき」
「怒れる人たち」のホームページよりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 京畿道のあるデパートの代理駐車支援部署で働いていた女性Aさんは、一日中立って荷物を運び、頭を下げてあいさつするのが業務だったが、服装がいつも気になって仕事に集中できなかった。仕事内容は男性職員とほぼ同じだったが、女性職員の場合、会社が提供するスカートと靴を履くのが規定だった。会社側に要求してユニホームのズボンを支給してもらったが、Aさんが受け取ったズボンは男性職員の服とは違い、ポケットもベルトの輪もなかった。だぶだぶのズボンの腰を締めて腰に安全ピンを差したりもしたがしょっちゅうずり落ち、ズボンを押さえて働かなければならない時が多かった。運動靴は最後まで会社の許可を得られなかった。

 社会的弱者の権利実現のための法律プラットフォーム「怒れる人たち」で活動するパク・チヨン弁護士(法務法人ジュウォン)は18日、Aさんの代理として国家人権委員会(人権委)に陳情を行った。同デパートで女性職員の容貌・服装について合理的な理由なく選択の機会を制限し、男性職員と差別しているため、これを是正せよという内容だ。パク弁護士は今月23日、ハンギョレのインタビューで「この事例に接し、『怒れる人たち』とともに韓国版『KuToo運動』を企画することになった」と説明した。「KuToo運動」とは、昨年日本で起きた運動で、KuTooは「くつ」と「苦痛」と「ミートゥー(MeToo)」が合わさった単語だ。俳優であり作家の石川優実さんがツイッターに職場内「ハイヒール禁止法」を作ってほしいという書き込みをし、3日後に2万人余りの署名が集まり厚生労働省に請願、女性差別的な服装規定を告発する運動へと拡大した。

 韓国版「KuToo運動」の情報提供者のほとんどは20代や30代前半のサービス職の女性たちだった。彼らは職場でヘアスタイル、化粧、服装などを細かく統制されていた。「口紅は明るく見える赤色系で」、「爪はお客さんより目立たないベージュ色系で」、「髪はネットでまとめる」、「ズボンではなくスカート」、「スカートの長さは短く、靴のヒールは高く」などの制限だった。

 健康に影響を与える事例も多い。ある情報提供者は「一日中モニターを見ながら仕事をしなければならないが、眼鏡を使わせてくれない」と話した。髪の毛が多い場合、髪をまとめたネットの重さのため首の筋肉に負担がかかるという訴えもあった。ある情報提供者は「夏は女性職員にだけぴたっとしたジーンズを履かせる。冬は男性職員はロングダウンジャケットを着て、女性職員はウエストラインのあるショートダウンジャケットだけが許可され寒さがつらい」と吐露した。

 情報提供者は「服装制限を拒否したときの管理者の対応も問題」と訴える。情報によると、「女に生まれて化粧もしないのか」と性差別的な侮辱を与えたり、「上司と単独面談をしなければならない」「嫌なら職場を辞めろ」と圧力をかけるケースもあった。

パク・チヨン弁護士=パク弁護士のYouTubeチャンネル「弁護士JYP」よりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 美容院への就職を当たっていたBさんは、スカートを拒否したという理由で面接で落ちたりもした。Bさんはハンギョレに「『スカートを履かない』という話をしてから、雰囲気が冷ややかになった。面接をした方が『それでは困る』と言った。普段から活動しやすいズボンを履いているのに、女性職員にだけスカートを強要するのは性差別だと思う」と話した。しかし、スカートを拒否しながら業界で職を見つけるのは容易ではなかったという。Bさんは現実と妥協するしかないと考え、スカートを履くことにして別の美容院に就職した。Bさんは「そうして入社したところでは、下に履くインナーのついた短いスカートをユニホームとして提供した。インナーは短いスカートよりずっと短かいので、あってもなくても同じ。すると美容院からは、体をかがめると下着が見えてしまうかもしれないからスカートの中にインナーをもう一つ着用するように言われた」と明かした。

 このような服装制限は見る人にも負担を感じさせる場合がある。Cさんは最近、ソウル市松坡区(ソンパグ)のある病院を訪れて驚いたという。Cさんは「病院の職員は皆ぴたっとした上衣とスカートに、ヒールの高い靴、透明なストッキングを履いていたが、窮屈そうだった。職員の一人は足に青いあざができているのに、透明なストッキングだった」と話した。Cさんは「数年前に私が働いていたレストランでも似たような規定があったが、今も女性に対する過度な服装規制が変わっていないようで残念だ」と話した。

 パク弁護士は「Aさんが運動靴を許可してほしいと言った時、会社から聞いた拒否理由は『代理駐車の従業員とデパートのラウンジの従業員の服装規定が同じで、片方だけに運動靴を許可することはできない』という趣旨だった。これは一方から変化が始まれば他方も変わり得ることを意味する」と述べた。パク弁護士は「女性が受ける服装差別を変えるための活動だが、結局このような方向が男性も自由にすることがある」と強調した。ごく少数だが、会社が男性職員にだけ髪のカラーリングを制限しているという男性の情報提供もあったという。パク弁護士は「今後、服装で差別を受けるすべての労働者のために、さらに人権委への陳情を行う計画だ」と述べた。

「怒れる人たち」とは?
会員制法律プラットフォームである「怒れる人たち」は、誰もが自分の権利を実現できる世界を作ることを目標として誕生した。ラドン検出ベッド被害者共同訴訟などが「怒れる人たち」のプラットフォームを通じて行われた。現在は、韓国版KuToo運動、新型コロナ感染で中等教師任用試験の受験が制限された人々のための共同訴訟の参加者募集などが進められている。

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イ・ジュビン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/women/976114.html韓国語原文入力:2020-12-28 10:38
訳C.M

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