チョン・セギュン首相が、新型コロナウイルスワクチンの接種計画と関連し、すでに供給契約を交わしたアストラゼネカ以外のファイザー、ヤンセン、モデルナのワクチンは、来年第1四半期の供給が難しいだろうと述べた。アストラゼネカのワクチンの接種時期は、保健当局の発表通り、「早ければ2月、遅くとも3月には接種が始まる」と再確認した。
チョン首相は20日、「韓国放送」(KBS)の「日曜診断」に出演し、「ファイザー、ヤンセン、モデルナの3社のうち2社とは契約書に署名する直前であり、残り1社の場合もほとんどの条件に合意している状況だ」とし、「近く3社との契約が成立する予定だが、第1四半期に供給するという約束を取り付けたわけではない」と明らかにした。韓国政府が確保すると発表した4400万人分のワクチンのうち、ファイザーの1000万人分、モデルナの1000万人分、ヤンセンの400万人分など、少なくとも2400万人分は来年第1四半期の供給は期待できない。世界的なワクチン共同購買連合体のCOVAXを通じて導入する1000万人分も、来年初めに具体的な物量と供給時期などが提示される見通しだ。
その代わり、チョン首相は、アストラゼネカのワクチンが来年初めには国内でも使用承認され、2~3月には接種が始まると述べた。チョン首相は「(アストラゼネカのワクチンは)来年第1四半期の供給開始が約束されている」とし、「ただ、第1四半期のいつかは特定できてない。我々は2月から開始したいと思っているが、(供給開始の時期が)3月になる可能性もある」と述べた。さらに「今朝のBBCの報道によると、韓国の食品医薬品安全処に当たる欧州医薬品庁(EMA)からアストラゼネカのワクチンが28~29日ごろ使用承認を受ける見込みだという」とし、「食薬処も来年初めには許可すると思われる」と述べた。アストラゼネカのワクチンは来年半ばごろに米国の食品医薬局(FDA)の承認を得ると見られ、その前に韓国で接種してもいいのかという声もあがった。ソン・ヨンネ中央事故収拾本部戦略企画班長はこの日「韓国の食薬処承認過程と米国の承認過程は別の独立的手続き」だとしたうえで、「だとしても十分に検証し、安全性がある程度確認されれば食薬処が承認する」と説明した。
チョン首相は同日、ワクチン確保をめぐる韓国の対応が遅れた側面があると初めて認めた。チョン首相は「政府がワクチンタスクフォースを稼働した7月には国内の感染者数が100人水準だったため、ワクチン依存度を高めることを考えなかった面がある」とし、「感染者の多い米国や英国などは製薬会社にワクチン開発費用をあらかじめ出していた。製薬会社もこうした国々と差を設けざるを得ない」と述べた。
一方、欧州では新型コロナの感染拡大が比較的に緩やかな韓国などアジア諸国が、欧米のワクチン接種を「代理臨床試験」として活用し、最も安全で効果の良いワクチンが現れるのを待っているという指摘もある。英経済紙「フィナンシャルタイムズ」は16日(現地時間)、「アジアの防疫当局は欧米人が“モルモット”のように行動するのを喜んで見守っている」と報じた。同紙は、韓国やベトナム、オーストラリアなどが(当分は)ワクチンを必須というよりも選択と考え、長期的に備えていると指摘した。