新型コロナウイルスの新規感染者が3日連続で1000人を超えているなか、感染者が適切に病床を割り当てられることができず死亡する事例が続出している。京畿道富川(プチョン)のある療養病院では、12日に感染が判明した80代の患者が、病床の割り当てを待ちながら16日に亡くなった。この療養病院では、70代の患者2人も隔離病床への移動を待機するなか、病状が悪化し死亡した。政府は18日、12月に入り病床が不足し入院や別の病院への転院を待ちながら死亡した患者は合わせて6人だと明らかにした。2~3月の第1波のときの2人よりはるかに多い。今後がさらに心配だ。ソウル市は、「この日0時現在、ソウルで感染判定を受けながらも自宅待機中の患者は580人」だと明らかにした。京畿道も病床の割当を待つ患者が251人に達するが、大部分が重篤・重症患者だという。
いわゆる「ビッグ5」(ソウル大学病院、ソウル峨山(アサン)病院、サムスン・ソウル病院、セブランス病院、カトリック大学ソウル聖母病院)をはじめとする上級大型病院がコロナ病床を設けているが、患者数の増加に比べ非常に遅いペースだ。まさかと思われた医療システムの崩壊が現実に現れはじめたのではないのか、懸念せざるをえない。
それでも政府は今なお、社会的距離措置(ソーシャル・ディスタンシング)のレベル3への引き上げに踏みきれずにいる。過去1週間に韓国国内で発生した1日平均の感染者は934人で、レベル3への引き上げ基準である「全国800~1000人以上」を超えた。中央事故収拾本部のソン・ヨンネ戦略企画班長は会見で、「レベル3への引き上げの場合は、経済的な被害が相当なものになる」とし、「引き上げのない流行抑制が目標」だと明らかにした。政府は、感染率と移動量などいくつかの指標の流れを肯定的に評価する。実際、14日から臨時選別検査所を通じて検査量を大幅に増やし、過去3日間の感染率は先週より40%ほど減った。12~13日の移動量も、先月19日のソーシャル・ディスタンシングのレベル引き上げ前の週末に比べ、30%ほど減少した。しかし、感染者の増加傾向が弱まらないばかりか、死亡者と重篤・重症患者が急増しているという点で、政府の状況判断が極めて楽観的ではないのか心配になる。政府の予想どおり早期に感染拡大傾向が落ちつけばよいが、今は最悪の状況を前提に対処しなければならない時だ。
ワクチンの問題も同じだ。政府の遅い対応が国民の不安を強めている。政府はこの日、ワクチンを開発中の国外の製薬会社と個別交渉を来年1月までに取りまとめ、11月になるまでに接種を完了する計画だと明らかにした。英国や米国、カナダに続き欧州連合も近くワクチン接種を始めることに比べれば、遅すぎるという批判は避けられない。政府は今からでも、ワクチンの確保と接種時期の短縮に総力をあげなければならない。