ソウルの60代の新型コロナウイルス感染者が、病床の空き待ち中に死亡した。防疫当局の努力にもかかわらず病床不足は解消されていないため、必要時に治療を受けられない患者が増える可能性もあると見られる。
ソウル市は17日の新型コロナについての定例ブリーフィングにおいて、12日に陽性判定を受けた基礎疾患のある60代の患者が、病床待機中だった4日後の15日に死亡したと発表した。ソウル市と東大門区(トンデムング)の説明によると、ソウル市鍾路区(チョンノグ)の飲食店「パゴダタウン」関連の感染者Aさんは、4日に受けた1回目の新型コロナ診断検査では陰性だったものの、11日に同居する妻が陽性判定を受けたため再検査を受けたところ、翌日に感染が確認された。
糖尿病や高血圧などを患っていたAさんは陽性判定後、「首都圏共同対応状況室」で医療陣が問診した結果、喉がかゆいだけで発熱などの症状がない「無症状患者」に分類された。また、糖尿の薬も十分所持しており、調節が可能だろうとして、入院の優先順位は低いと判断された。病床不足に伴い、防疫当局は、呼吸困難や肺炎などの症状のある重症患者に優先的に病床を割り当てており、自宅待機中の患者については医療陣が定期的な「モニタリング」を行うことで管理している。
Aさんもこのようなモニタリングを受けていたものの、14日から症状が急激に悪化した。Aさんは東大門区保健所に、痰に血が混じっており咳がひどいという症状を伝え、同保健所は午前9時と午後1時の2回にわたってソウル市に緊急の病床割り当てを要請したものの、病床数が不足しており、割り当ては受けられなかった。Aさんは翌日(15日)午前1時、先に陽性判定を受けて病院に入院していた妻に電話で非常に苦しいと伝えた後、連絡が途絶えた。15日朝9時に妻が119番に通報し、救急隊が自宅を訪問して確認した結果、Aさんは死亡していた。
これについてソウル市は「感染者の爆発的な増加に伴って行政・医療システムに過負荷がかかり、『首都圏現場対応班(首都圏共同対応状況室)』による病床割り当てに困難があった」とし「あってはならない残念なことが発生したことに対し、重い責任を感じ、二度とこのようなことが発生せぬよう保健福祉部と協議し、病床割り当てシステムなどの公共医療システムを点検・強化していく」と述べた。
ソウル市で病床待機中に死亡したケースが発生したのは今回が初めてだが、病床不足が長期化し、感染者が現在のように増加し続ければ、Aさんのように必要時に治療を受けられず、状況が悪化する患者が増える可能性が高い。16日夜8時現在、ソウル市の感染症専門病院の病床稼働率は86.1%となっており、特に重症患者用病床80床のうち、入院可能な病床はたった1床に過ぎない。無症状・軽症患者が入院する生活治療センターも、1929床のうち、直ちに使用可能な病床は159床にとどまる。当然にも陽性判定後に2日以上入院できない患者が出るということだ。ソウル市では17日現在、感染症専門病院への入院が必要なのに2日以上待機している感染者は50人を超えており、生活治療センターも2日以上の待機者が200人以上にのぼるという。
ソウル市は、今週中に重症患者用の病床をさらに2つ確保するなど、6つの病院で計18病床を確保する方針だ。また、中央事故収拾本部(中収本)の決定により動員された公共病院が感染症専門病院に指定される計画となっているため、状況は好転すると見られるが、その病院が正常に稼動する来週までが山となる見通しだ。ソウル市の関係者は「昨日(16日)も多くの方が入院できなかった。感染者が1日当たり400人確認されており、非常に厳しい状況だ」と述べた。